2015年08月15日01時49分掲載  無料記事
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米国

オバマの負の遺産となるか 米国防省が戦争報道に強い統制へ 同盟国にも影響する可能性 NYT、RT、ガーディアンなど国際紙が一斉に批判

  8月11日にニューヨーク・タイムズ国際版の社説が警告を発したのは米国防省が戦争に関する米国の法律の運用と解釈をめぐって1176ページにもわたるマニュアルを出したからだ。 
 
  ニューヨーク・タイムズだけでなく、英国のガーディアンやロシアのRT、グローバル・リサーチなど、様々なメディアが今、猛烈にこの米国防省によるマニュアル<Law of War Manual>を警戒していて、ただならぬ気配が漂っている。 
 
  それらによると、戦争報道に関してジャーナリストは基本的に軍当局への事前許可を必要とする、としているらしいことだ。もし、当局の許可なく、軍の作戦行動をジャーナリストが自由に取材活動して、そこで得た情報で報じた場合、インテリジェンス活動、もっと露骨に言えばスパイ活動に当たるとみなされる可能性がある、と言っているそうである。だから、軍の許可を得よ、と。ニューヨーク・タイムズはこうした検閲は権威主義国家の報道規制であり、報道とスパイを混同するものだと強く批判している。 
 
  グローバル・リサーチはこのマニュアルの内容が曖昧であるため、容易にジャーナリストが拘束されたり、刑を課されたりする可能性があると批判している。グルーバル・リサーチは以下のリンクの記事において、すでに過去に戦争を報じた優れたジャーナリストたちが何人も、証拠なしに数ヶ月から数年に渡って拘束されている、としている。これまでにすでに、報道の自由度は落ちていたのだが、この新たなマニュアルによって、ジャーナリストたちは大きなリスクを負うだろうとしている。 
http://www.globalresearch.ca/obamas-brutal-war-on-the-press-pentagon-manual-calls-for-treating-journalists-as-unprivileged-belligerents/5468746 
  アメリカと同盟関係にある日本にとって見ると、すでにわが国は特定秘密保護法によって、外交や軍事の分野の特定秘密が何かすら知ることが許されない事態にあるのだが、さらに米軍の報道統制により米メディアが萎縮し、米メディアが米当局の統制を受けることになれば、日本のジャーナリズムが報じられない真相を米メディアから知るという、もうひとつの道も閉ざされることになる。もし、これらの報道が正しいのなら、これは日米の切れ目のない報道統制と言えるものだ。 


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