2015年08月20日17時27分掲載  無料記事
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政治

参院論戦8 安保関連法案 参院ではどんな風に審議日程が組まれていくのか? 「来週あたりそろそろ・・・」

  7月27日に参院で審議が始まった安保関連法案。あれから土日などの休日も含めると、今日の8月20日で25日目。しかし、衆院から参院に法案が移ったのが7月16日だから、この日を含めると36日目になる。そして、参院での審議を衆院が強制的に打ち切ることができる憲法59条の4、いわゆる60日ルールは次だ。「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」ここで言っている「休会」は土日などの休日のことではない。 
 
  この先、安保関連法案の審議の行方はどうなるのだろうか。早期に採決があるのか、それとも60日ルールを使って衆院で再議決となるのか。テレビの夜のニュースで国会の審議のハイライトが紹介されるが、毎日、どのように審議の日程が組まれているのだろう。参院の関係者に質問してみた。 
 
Q 参院の特別委員会での審議のスケジュールはどのように組ま 
 れているんですか? 
 
A 審議の日程は理事会で決められています。基本的に、安保関 
  連法案の審議は週三回、火水金の中で行っています。しか 
  し、この間のように審議拒否になって審議日程が変わるこ 
  ともあります。 
 
Q ということは長期スパンでスケジュールがあるわけではない 
  んですか? 
 
A 基本的に1回ごとに次の審議の日程と、その場合の審議時間 
  を決めていますね。それを決める理事会は審議の前か後で 
  開かれています。 
 
Q 議員が質問を行うときは事前に質問内容を提出しておくんで 
  すか? 
 
A ええ、質問内容は告知しておきます。 
 
Q それは審議時間が決まったあとの段階ですか? 
 
A そうです。最初に理事会でどの会派が何時間質問するかを 
  決めて、そこからその日の全体の審議時間を決めます。 
  で、そのあとで持ち時間に応じて、議員に割り振り、議員 
  が具体的な質問内容をリストアップして通告するのが一般 
  的です。 
 
Q  衆院で議論が100時間を越えたから、十分審議したといっ 
  た話を聞いたことがありますが(安保関連法案の時は衆院 
  での審議時間は116時間)、参院では目下、累積すると、何 
  時間審議しているんですか? 
 
A  今日の段階の資料が手元にありませんが、8月11日の段階 
  で41時間審議したことになります。 
 
Q  この先はどのくらい審議するというような基準はあるんで 
   しょうか?夕刊紙などでは、自民党は60日ルールを使わ 
   ず参院で早めに可決を狙うのではないか、という観測記 
   事もありましたが。 
 
A  時間に関して言えば、少なくとも衆院の審議時間に相当す 
  る審議はしないといけないでしょうね。それ以下だとなん 
  だ、ということになるでしょう。衆院が百十数時間審議を 
  したのですから、目安ということになればそれ以下だと野 
  党は採決を拒否するでしょう。 
 
Q  採決の可能性について言えば、今、どんな状況なんでし 
  ょうか? 
 
A  筆頭理事たちの話が伝わってくるところによると、そろ 
  そろ、もう十分話をしてきたね、というムードに持ってい 
  きたい印象です。審議は明日、午後1時から3時間。 
  来週は先ほど申しましたが火水金が候補日ですが、基本的 
  に、毎回、1回ごとに審議をして次の審議の予定を組むとい 
  う風に進めております。 
 
以上 
 
  関係者の参院の審議の進め方の話を聞いて意外だったのは、審議が1回ごとに決まっていくシステムだったことだ。臨機応変という良さはあるにしても、一回ごとにテレビ受けしやすいネタに注力して、それが何回か続くうちに、逆にあの話はもう十分聞いたよ、という風に話題が消費されてしまう恐れもある。しかし、今回の安保関連法案は20近い関連法を修正する複合体であり、その1つ1つの法律を見ていけば詰めるべき点はたくさんあるに違いない。野党にとってはこれから後半戦、どう話題を継続していくかが勝負になるだろう。 
 
※ 「休会」はコトバンクによると「国会または議院が会期中一定期間その活動を休止すること。国会法の定めるところによれば,国会の休会は両議院一致の議決が必要とされるが (15条1項) ,各議院は 10日以内に限りその院の休会を議決することができる (同条4項) 」これを参照すると、土日などの休日のことではない。 
 
 
参考 
 
■「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」 
 参院で議論されている安保関連法案は次の参議院のウェブサイトに全文が書かれています。 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/189/pdf/t031890721890.pdf 
 
■総務省行政管理局の日本の法令データベース 
 これに知りたい法律名を入力すると、条文がすべて読めます。 
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi 
 
■参院論戦1 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」 それは自衛隊法の改正である 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507261839570 
■参院論戦2 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜在外邦人の「保護措置」について〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507271607251 
■参院論戦3 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜周辺事態と重要影響事態〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507272151391 
■参院論戦4 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 〜存立危機事態〜 国家総動員体制と人権が制限される可能性 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507281158172 
■参院論戦5 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 自衛隊PKOの変化 〜南スーダンで自衛隊の戦闘開始の可能性 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507301309184 
■参院論戦6 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」を読む 国連決議がなくても自衛隊の派遣が可能に 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507311431095 
■参院論戦7 「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」 改正される法律を数えてみたら少なくとも19あった…混乱を防ぐために 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508012351436 
■27日月曜から参議院で安全保障関連法案の審議開始 <我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会> 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507260938000 
 
 
■参議院の傍聴をする方法 本会議は開会30分前に傍聴券を配布・先着順 委員会は議員を通して委員長の許可が必要 27日(月)本会議は13:00〜、安保特別委は14:30〜 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201507261127400 


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