2015年08月23日16時01分掲載  無料記事
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反戦・平和

「戦後70年」「シベリア特措法5周年」課題はまだ残されています 〜「抑留70年」体験者・遺族とともにともに祈り、抑留の記憶と歴史(1945⇒1956)を伝えましょう(シベリア抑留者支援・記録センター通信No.10)

 1945年8月23日、スターリンの指令でシベリア抑留が始まってから、ちょうど70年目の8月を迎えます。2010年6月16日に「戦後強制抑留者特別措置法」(シベリア特措法)が議員立法で制定され、即日公布されてから5年が経過しました。 
 
■厚生労働省が抑留死亡者名簿約1万人分を公表■ 
 
 4月30日に、厚生労働省は約1万人分の抑留死亡者名簿を発表し、大きく報じられました。今年に入って読売新聞が国立公文書館で入手した名簿を次々発表して、情報公開を促してきましたが、ようやく厚労省が公表に踏み切ったものです。厚労省はその後も6月5日、7月3日に追加の発表を行い、今後も逐次公表する予定です。名簿は下記の厚労省ホームページで見ることができます。http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/soren/ 
 読売・産経両紙は全名簿を掲載し、地方紙・各紙地方版は地元出身者の名簿を紙面で紹介しているほか、各紙電子版でも報じています。遅きに失してはいますが、情報公開が進んできたことを歓迎します。調査スタッフも増員され、徐々に名簿の漢字表記化も進み、出身地、現地地図、入手資料の一覧表なども追加されて、利用しやすい内容になってきています。 
 しかし、まだ埋葬地などが特定されていない死亡者が約1万人もいるほか、今回、北朝鮮・大連・南樺太のソ連軍収容所での死亡者の名簿が公表されたことから、2010年の特措法の対象者の線引きの問題も浮上してきました。 
 
■6月16日「特措法制定5周年の集い」を開催■ 
 
 調べれば調べるほど、情報が明らかになれば明らかになるほど、疑問は増え、解明されなければならない課題が増えてきています。 
 6月16日に開催した「シベリア特措法5周年」の記念の集いでも、従来の体制では全容解明は到底無理で、ロシアと日本の民間研究者も総動員した総合的な調査・研究体制への移行が必要ではないかと意見が多く出されました(詳細は別項参照)。 
 もっと社会的関心を高め、若手の研究者も育成しようと、このほど「シベリア抑留記録・文化賞」と「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」を設け、記録・表現・研究活動を応援することにしました(詳細は別項参照)。 
 
■8月23日は国民的な追悼を■ 
 
 70年目の8月23日(日)の「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」には、ぜひとも多くの方がご参加くださいますようお願いします。お越しいただけない方には、午後1時に北の空に向かって黙祷を捧げていただけますよう呼びかけます。例年、大臣や国会議員の皆様にご参列いただいていますが、国が主催する追悼式典にはなっていません。国主催の追悼を重ねて要望する次第です。 
 10月には「抑留70年」を、映像やスケッチ、音楽などをとおして心に刻む企画を、関係者の皆様のご協力を得て、準備しています。詳細は次号でご案内しますが、ふるってご参加ください。 
 
■戦後70年「シベリア特措法」制定5年の成果と課題を考える〜官民共同の体制でもっと広く、深く調査を。ロシア側協力も不可欠〜(6/16「シベリア特措法制定5周年記念の集い」報告)■ 
 
 「シベリア抑留」特措法制定5周年を記念して、法制定後5年間の成果を確認し、課題を考える集会を6月16日、衆議院議員会館で開催しました。 
 池田幸一シベリア立法推進会議代表の挨拶の後、厚生労働省の遠藤豊二社会・援護局業務課調査資料室長で最近の名簿発表を含む厚労省の取り組みについて報告がありました(*厚労省HPご参照下さい)。 
 
<関係者の高齢化ふまえ、資料入手・実態解明急げ> 
 ついで、この間ロシア公文書館所蔵の死亡者名簿とその関係者の取材を続けてきた読売新聞の井手裕彦編集委員が取材の中で見えてきた課題について報告。関係者が高齢化している現状をふまえ、北朝鮮・樺太・大連などソ連軍収容所の死亡者名簿の入手と実態解明を早急に進めるよう提起がありました。 
 
<新たな課題、シベリア特措法の改正も視野に> 
 人間文化研究機構国文学研究資料館の加藤聖文准教授は、シベリア特措法施行後に明らかになった課題として、以下の3つを挙げ、戦後70年・特措法を出発点として、戦争の悲劇を国民が共有し、後世へ伝えていくための特別立法が必要と提言されました。 
 
‖仂歟楼茲料定 
大戦末期の戦場は旧ソ連地域ではない。 
(*満洲〈中国東北部〉・北朝鮮・南樺太が戦場=抑留が始まった地域。これらの地域はソ連軍が長期間占領=収容所や埋葬地があった) 
⇒調査対象地域の見直しが必要。 
 
調査収集事業の方法 
資料収集はロシア側に依存=調査収集が受け身。専門知識が無いと効率的な資料収集は不可能。 
(*ロシアの複雑なシステムによって受け身の調査は時間がかかる) 
⇒民間の専門家とチームを作って効果的な調査収集を。 
 
収集資料の活用 
収集資料の整理が追いつかない。収集資料はあくまで遺族への提供に限定。調査収集の成果が実態解明に繋がっていない。 
(*国費投入が国民に還元されていない。シベリア抑留の歴史は急速に忘れ去られている) 
⇒悲劇の歴史を国民全体で共有できる仕組みが必要。戦争犠牲者すべてを包括した新しい取り組みが求められる。 
 
<遺骨身元確定のためのDNA鑑定の条件緩和を> 
 遺骨収集事業の取材を重ねている毎日新聞学芸部の栗原俊雄記者は、特措法制定を高く評価しつつ、遺骨収集・身元判明の難しさを指摘。DNA鑑定が知られていないことと鑑定の条件が厳し過ぎることへの改善を求める要望がありました。 
 
 参加いただいた各党の国会議員の皆様は以下のとおりでした。時間の関係で全員からご挨拶をいただくことはできませんでしたが、特措法制定5年の成果を確認し、明らかになってきた新たな課題への取り組みなどについて前向きのご発言、決意表明がありました。 
 
宮川典子・豊田真由子衆院議員(自民)、長妻昭・大畠章宏・階猛衆院議員・那谷屋正義・藤田幸久・大島九州男参院議員(民主)、斉藤鉄夫衆院議員(公明)、初鹿明博衆院議員・川田龍平参院議員(維新)、畑野君枝(共産) 
(ほかに、円より子元参院議員、石毛えい子元衆院議員や代理の議員秘書も多数ご参加下さいました。) 
 
 衆議院第2議員会館会議室にで、2015年6月16日に新たに設けた「シベリア抑留記録・文化賞」「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」の紹介も行いました。 
 第2部では、4月12日に逝去された画家の宮崎静夫さん(熊本市、享年87歳)の生前の制作活動を記録したビデオを上映し、一同で鑑賞。故人を偲びました。参加者は約80人でした。(文責=編集部) 
 
■「シベリア抑留記録・文化賞」「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」のご案内■ 
 
<シベリア抑留記録・文化賞> 
シベリア抑留に関する記録・表現活動を奨励するため、「シベリア抑留記録・文化賞」を下記のとおり設け、募集します。 
1)目的:戦後70年を機に、シベリア抑留を広く記録に留めることを奨励し、優れた記録作品や表現活動を顕彰するため。 
2)対象:授賞対象はシベリア抑留を記録した作品・表現活動。(ジャンル・国籍・言語は問いません) 
3)募集期間:年1回で、公募期間は9月1日から9月30日まで(第1回は、2015年9月末までに発表された作品を対象とします)。 
4)発表:11月初旬予定(贈呈式は12月の予定) 
5)賞金・副賞:賞金は10万円。副賞は「捕虜体験記」(全8巻) 
6)選考:選考委員会が行います。 
 
<村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞> 
 昨年(2014年)5月11日に逝去された村山常雄さんの業績の不滅の偉大さを長く伝え、鑑とするため、「村山常雄記念シベリア抑留研究奨励賞」を下記のとおり設け、募集します。 
1)目的:2014年5月11日に逝去された村山常雄さんの抑留死亡者研究、名簿作成に尽力された不滅の業績を長く伝え、鑑とし、若手の研究者によるシベリア抑留研究を奨励するため。 
2)対象:授賞対象はシベリア抑留関係の論文類を発表した若手研究者。(40歳以下で、国籍・言語は問いません) 
3)募集期間:2年に1回とし、第1回は2016年3月末までに発表された論文を対象とします。公募します。 
4)発表:2016年5月11日(贈呈式は6月の予定) 
5)賞金・副賞:賞金は20万円。副賞は「捕虜体験記」(全8巻) 
6)選考:選考委員会が行います。 
 
●事務局:シベリア抑留者支援・記録センター 
(TEL)03−3237−0217 
E−mail:cfrtyo@gmail.com 
 
 
■2015年の催し物などのご案内■ 
 
<第7回シベリア抑留体験を語る会札幌> 
 日時:9月12日(土)13:30〜 
 場所:札幌ちえりあ2階(中研修室1) 
 参加費:500円(高校生以下300円) 
 講師:大貫善也さん(北広島市在住、88歳)。 
 *10月は恵庭で開催予定。 
 連絡先090−4871−9789(建部)/natsuko0918@docomo.ne.jp 
 
<四國五郎追悼・回顧「四國五郎のシベリア日記」> 
 日時:10月12〜18日(12日は13時から、18日は18時まで) 
 場所:広島県民文化センター・展示室(中区紙屋町) 
 入場料:無料 
 連絡先:082−291−7615(「四國五郎・追悼の会」池田)/m-ike@y7.dion.ne.jp 
 
<特別企画:映像とスケッチと歌とトークで振り返る「シベリア抑留70年」、そして記憶の伝承へ> 
「シベリア抑留・映像上映会」 
 日時:10月17・18日(土・日)10:30〜 
 場所:日比谷図書文化会館 
 
「シベリア抑留・歌とトークの集い」(図書・資料の展示も予定) 
 日時:10月24・25日(土・日)13:30〜 
 場所:日比谷図書文化会館 
 
 連絡先:03−3237−0217/080−5079−5461(シベリア抑留者支援センター) 
 
     ★     ★     ★ 
 
シベリア抑留者支援・記録センター通信No.10(2015年7月20日) 
―捕虜・抑留体験を語り、聞き、書き、描いて、次の世代と世界に伝えよう!― 
(編集・発行)ソ連による日本人捕虜・抑留被害者支援・記録センター 
(住所)〒162−0823 東京都新宿区神楽河岸1−1 セントラルプラザ10階 TVAC メールボックスNo.69 
(TEL)03−3237−0217 
(FAX)03−3237−0287 
(E−mail)cfrtyo@gmail.com 
(URL)http://sdcpis.webnode.jp/ 
(会費)年会費=3000円・賛助会費=5000円(会員・ボランティア募集中)/郵便振替:00180−3−464926「シベリア抑留者支援センター」 


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