2015年08月26日17時47分掲載  無料記事
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沖縄/日米安保

米軍特殊部隊と自衛隊「特殊作戦群」の共同訓練 沖縄・8月12日の米軍ヘリ墜落事故の波紋

昨日25日の参院・安保関連特別委員会で共産党の井上哲士議員による問題提起は波紋を呼んだ。今月12日、沖縄で起きた米軍ヘリ墜落事故の深層である。 
 
  沖縄タイムズによれば12日の午後1時45分頃、米陸軍所属のH-60型ヘリコプターがうるま市伊計島の南東約14キロの沖合で、米海軍の輸送艦レッド・クラウドへの着艦に失敗し、墜落した。この事故で乗員17人のうち、6人が怪我をしたが、そのうち2人は日米共同訓練に参加していた自衛隊員だった。これらの自衛隊員は国際平和協力活動やテロ対策などの専門部隊「中央即応集団」に所属する33歳と40歳の隊員だったとされる(13日付 沖縄タイムズ) 
 
  さらに、16日付の沖縄タイムズの続報では中谷防衛大臣が記者会見しており、ヘリ墜落時に自衛隊員10人がこの共同訓練に参加していたことが明らかになった。このうち8人が輸送艦上におり、2人が墜落したヘリに乗り込んで共同訓練を行っていたという。このヘリの部隊は米陸軍特殊部隊だった。さらに、自衛隊の10人は中央即応集団「特殊作戦群」に所属する隊員たちだった。 
 
  米特殊部隊には海軍特殊部隊もあれば陸軍特殊部隊もある。井上議員は国会の質疑の際、ニューヨーク・タイムズの6月6日の記事を紹介した。そこには米海軍特殊部隊SEALの詳細が報道されている。あのオサマ・ビンラディンを射殺した特殊部隊で「戦争のマシン」と言われているそうだ。憲法9条のもとで、自衛隊もこうした米軍の特殊部隊と共同作戦を展開していくのだろうか。 
 
  今年4月27日、ニューヨークで日米の外交・防衛閣僚が集まり、1997年以来、18年ぶりに日米ガイドラインの改訂を行った。この新たなガイドラインは昨年7月1日に閣議決定された集団的自衛権を解釈改憲で認めたことに対応して、世界規模で米軍と自衛隊が共同作戦を行えるようにするものである。この中で、今回のような共同訓練に関する指針もある。 
 
「 7.訓練・演習 
自衛隊及び米軍は、国際的な活動の実効性を強化するため、適切な場合に、共同訓練・演習を実施し及びこれに参加し、相互運用性、持続性及び即応性を強化する。また、日米両政府は、引き続き、同盟との相互運用性の強化並びに共通の戦術、技術及び手順の構築に寄与するため、訓練・演習においてパートナーと協力する機会を追求する。」 
 
  井上議員が追求したのは自衛隊の特殊部隊が米軍の特殊部隊とどのような作戦行動に今後、携わっていくのか、ということだった。今、安保関連法案が参院で論戦中だが、国会で露見した南スーダンの駆けつけ警護などの安保関連法案制定後の指針を記した自衛隊の内部資料のように、自衛隊や米軍など実務レベルではすでに動き出しているかのような現象が次々と浮上している。 
 
村上良太 
 
■NYT 'SEAL Team 6 : A Secret History of Quiet Killings and Blurred Lines '米海軍特殊部隊SEALを報じた6月6日付のニューヨーク・タイムズ 
http://www.nytimes.com/2015/06/07/world/asia/the-secret-history-of-seal-team-6.html?_r=0 
 
■防衛省 新日米ガイドライン(今年4月27日) 
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/shishin/ 


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