2015年11月02日08時22分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】砂漠の大洪水災害にシカト 平田伊都子

 10月17日から振り続いた大雨は、10日経ってやっと止みました。 しかし、アルジェリアの砂漠にある西サハラ難民キャンプでは、テントはずぶ濡れでボロボロに、避難の泥小屋は砂漠に溶けてしまいました。 20万西サハラ難民のうち9万人が住む場所を無くしました。 災害避難民となった難民は、半壊の診療所や学校や集会場に逃げ込んで、国連関係機関のテントを待っています。 が、世界中が天災と人災だらけで難民避難民が続出し、サハラ砂漠に取り残された避難民の悲劇には<シカト>しています。 10年に一度の砂漠大洪水に見舞われた西サハラ最新情報をお届けします。 
 
(1)国連事務総長西サハラ個人特使の難民キャンプ訪問: 
   2015年10月24日、25日、26日と、国連事務総長西サハラ個人特使が、アルジェリアにある西サハラ難民キャンプの一部を訪問し、西サハラ難民政府幹部や<モロッコと西サハラ交渉>にあたっている西サハラ代表団に会った。<モロッコと西サハラ交渉>は、モロッコが拒絶し、2012年から開催されていない。西サハラ政府はロス個人特使に交渉の早期再開と国連西サハラ住民投票の早期実現を強く迫った。ロス個人特使は、「今年の末に、国連事務総長自らが難民キャンプと西サハラ紛争当該地域を訪れる」と告げた。 
 
(2)アルジェリア援助キャラバン到着: 
   10月25日、数トンの緊急食糧を積んだ数台のアルジェリア赤新月社トラックが西サハラ難民キャンプセンターに到着した。到着したアルジェリア食料援助物資は、西サハラ赤新月社の倉庫に運び込まれ、西サハラ難民赤新月社総裁が陣頭指揮を執って、最も被害が大きいダハラ難民キャンプへの食糧運搬準備が行われた。難民センターからダハラ難民キャンプまで約190キロメートルある。赤新月社とは、赤十字社と連携するアラブの国際医療組織だ。西サハラ難民赤新月社総裁は「いつもすみません。我々は40の国際援助組織にSOSを発信しましたが、すぐに駆け付けてくれたのは、あなたがたアルジェリアだけです」と、感謝した。援助物資はまず、西サハラ難民赤新月社の倉庫に入り、それから、数個の難民キャンプ配給班にわたり、難民夫々平等に配られる。このガラス張りの配給制度で西サハラ難民は、40年間、生き延びてきた。 
 
(3)AUアフリカ連合が洪水被害援助: 
   10月26日、AUアフリカ連合のサラ・ハンマド事務官が、「我らがアフリカの兄弟姉妹である西サハラ難民が、難民キャンプを襲った大洪水で、未曽有の被害にあっている。住むところも食料も流されてしまった西サハラ難民のために、我々AUアフリカ連合は50,000$の資金援助をする」と、緊急記者会見をエチオピアにあるアジスアベバAUアフリカ連合本部で開き、表明した。さらに、ドラミニ・ズマAUアフリカ連合議長は、200,000$の援助を約束した。 
 
(4)UNHCRアルジェリアが緊急声明発表: 
   10月29日、UNHCR国連難民高等弁務官アルジェリア支部が緊急援助要請を発表した。UNHCR国連難民高等弁務官は、「先の大雨で、アルジェリア南西部にある5つの西サハラ難民キャンプが大被害をうけた。我々、アルジェアにある4つの国連団体、UNHCR国連難民高等弁務官、WHO世界保健機構、WFP世界食糧計画、UNISEF国連児童基金は、緊急の援助を国際社会に要請する。被害状況に関する記録文書は我々が作成した」と、世界に要請している。 
 
 友達のムハンマドは、2006年大洪水で住む所を無くし、以来お姉さんのテントに居候しています。 このテントは高場にあるので、今回の大洪水は凌げたようです。 
 西サハラ難民政府は同胞難民に向かって、「10日間の試練に、我々西サハラ難民はよく耐えた、、よくやった!この厳しい被害状況を、あらゆる手段を駆使して国際社会に訴えていく。団結すれば苦難は乗り越えれる!」と、鼓舞しました。 
 
 西サハラ難民が当てにしている国際社会は、他の難民や他の天災で大忙し、、西サハラ難民の悲劇に<シカト>したくなくても、ついつい<シカト>してしまいます。 
 焦って過激な行動に出ないように、、国連の尻を叩き続けましょう。 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2015年11月2日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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