2015年11月20日16時03分掲載  無料記事
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国際

ベルギーの「武器市場」 チョコとワッフルとタンタンだけじゃなかった 歴史的に武器となじみが深い国 バルカン・コネクションでソ連崩壊以後、武器が積み上がる

  今回のパリの同時多発テロの実行犯・教唆犯が潜伏していたのがベルギーでした。以下はとても実態と呼べるものではありませんが、ベルギーの団体が国内の武器密輸事件の記録を公開していました。この団体はflemish peace instituteというベルギー政府の外郭団体です。公開された情報が正しいのであればベルギー国内の実情は以下の数字です。 
http://www.flemishpeaceinstitute.eu/sites/vlaamsvredesinstituut.eu/files/files/factsheet_illegal_firearms_in_belgium.pdf 
  2009年から2013年の間にベルギー国家警察が違法の兵器所持で押収したケースは2万5千件に上っているとされ、年間に平均してみると、5700件ほどになります。また外国からの持ち込みの際に押収したケースは年間150件から200件に上っているそうです。 
 
  違法な兵器所持の内訳は3つのパターンだそうです。 
 
1、麻薬関連の犯罪、強盗、オートバイ窃盗などの犯罪関連。 
 
2、テロリスト 
 
3、個人の護身用の所持 
 
 このサイトによると、ベルギーはもともと武器製造の拠点であり、さらに武器輸入の拠点でもあったとされ、歴史的に武器と関係が深い国であると書かれています。ただし、武器の違法所持の問題、密輸の問題はベルギーに限定されず、欧州全域の問題であると書かれています。 
 
 そもそもシェンゲン協定によって欧州域内では人の移動が自由であり、国境で税関申告も検査もないため、ひとたびギリシアなどに持ち込まれた兵器はそのままスルーしてしまう可能性が高い。上記のように国家警察が把握したものはその何割かに過ぎないことになります。 
 欧州の各都市に武器の闇市場があり、ベルギーは歴史的背景および地理的背景から、闇市場の中でもひときわ存在感の大きな国であるとされます。 
 
■ベルギーの兵器企業 FN HERSTAL社 
http://www.fnherstal.com/primary-menu/products-capabilities.html 
  マシンガンからライフル、ショットガン、小銃まで。125年にわたる歴史を持つ兵器製造メーカーの老舗。日本でも日本の兵器メーカーがライセンス生産を行い、自衛隊に納入しているとされる。 
 
■The 12 people and ideas that ruined Molenbeek 
http://www.politico.eu/article/attack-on-paris-molenbeek-dirty-dozen/ 
 
■バルカン・コネクション 
http://www.ft.com/cms/s/0/33a2d592-8dde-11e5-a549-b89a1dfede9b.html#axzz3s0uDuqls 
  フィナンシャルタイムズによると、ベルギーに違法な兵器が大量に流入するようになったきっかけは冷戦崩壊でした。旧ソ連や東欧の軍事関係者がおそらくは私腹を肥やすために兵器を横流していたらしいのです。それらは1990年代のあの血で血を洗うユーゴの民族紛争を経て、バルカン半島から今度はベルギーに流れ込み、欧州で民族紛争・宗教戦争を再燃させようとしているのかもしれません。とにかくベルギーには90年代以後、大量の兵器が保管されているらしく、欧州で兵器を買いたければベルギーへ行く、ということが常態化しているようです。 


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