2015年12月29日21時34分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

遺伝子組み換え(GM)今年の動き 脱GMがEU、アジアで広がるも日本はカヤの外

 この1年、お読みいただきありがとうございました。有機農業ニュースクリップも10年目に入りました。タイムリーな記事をと思いながら、なかなか思うようにできない1年でした。今年のGMをめぐる動きを整理してみました。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 今年、遺伝子組み換えに関しては、EU加盟国の3分の2がGM作物栽培禁止を表明し、台湾は規制強化を鮮明にしてきています。タイやフィリピン、インドなどでは、GM反対の農民や市民の声が、GM作物栽培の進展を防いでいます。 
 一方、GM種子大手の一角であるシンジェンタの買収をめぐり、モンサントが手を挙げたものの撤退。すぐさま中国化工集団(ケ 
ムチャイナ)が買収に参戦したかと思うと、ダウとデュポンが電撃的な合併を発表、と寡占化の動きが明らかになってきました。 
 
 ・GM規制を強化する台湾 学校給食からGM食品排除を法制化 
 ・タイ農民運動の勝利 バイオ安全法案棚上げへ 
 ・タイ消費者団体 GM表示規制強化を要求 
 ・フィリピン最高裁 GMナス試験栽培禁止の決定 
    GMダイズ輸入も禁止 
 ・ベネズエラ GM種子生産禁止法案を可決 
    生態系農業への移行促進も 
 ・脱GMを明確にしたキューバ 
 ・GM商業栽培に参入するベトナム 
    モンサントはGM種子の現地生産も計画 
 ・広がるインド・GMマスタード試験栽培反対の運動 
 ・農業セクターの寡占化進める ダウとデュポンの合併 
 
  世界的にはネオニコ系農薬排除の方向がはっきりしてきました。EUは2年間の期限の12月になっても、ネオニコ系3農薬のモラトリアム解除の動きを見せてはいません。米国では、新たなネ 
オニコ系農薬であるスルホキサフロルの認可無効の判決が下され、米国環境保護庁は、正式に認可を取り消しています。一方で、日本政府は、ニテンピラムの規制緩和へ向けて食品安全委員会に諮問し、加えて新たにネオニコ系農薬フルピラジフロンを農薬登録。スルホキサフロルの承認手続きも進めています。 
 
  また、WHO外部機関の国際がん研究機関(IARC)は3月、モ 
ンサントの除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートについて、ヒトに対する発がん性がおそらくあるとするグループ2Aにランクすると発表しました。この発表を契機にして、グリホサート=ラウンドアップ排除の動きが世界的に広がっています。 
 
 ・世界的なネオニコ排除に逆行する日本政府 
    2種類の新ネオニコ系農薬承認へ 
 ・米国環境保護庁 ダウの複合除草剤Enlist Duoの承認取消し 
 ・グリホサート禁止へ向かう欧州自治体 
 ・ネオニコ系農薬使用原料排除を宣言する米国食品企業 
    市民の排除要求がテコ 
 
 
  さて、28日、韓国を訪問した岸田外相がユン外交部長官と会 
 談し、「慰安婦問題」について、政府間の「不可逆的」手打ちを 
 しました。「軍の関与」を明言し10億円の基金拠出も明らかに 
 しました。しかし、この当事者抜きの手打ちが、この問題を解決 
 するとは到底思えません。これも、来年の参院選、場合によれば 
 衆参同一選挙を見越した、安倍の改憲へのスケジュールとみてお 
 くべきだと思います。残念ながら、来年は厳しい年になるのは間 
 違いないでしょう。それでも「良い年を」と望みたい。 


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