2015年12月31日15時15分掲載  無料記事
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橋本勝21世紀風刺画日記

254回 21世紀版「楢山節考」

ああ、わからない わからない 
日本って いい国? わるい国? 
 
たとえば日本は長生きできる国 
日本人の平均寿命は83・4歳で世界のトップ 
なんと誇らしい数字でしょう 
それは長生きできる条件が 
そろっているからに他ならからです 
そんな日本で生きられるなんて 
なんと幸せなことか 
 
ああ、わからない わからない 
日本って、いい国? わるい国? 
 
でも2015年の6月30日に 
とてもショックな事件が起きました 
新幹線の車内で71歳の男が油をかぶって 
焼身自殺をしたのです 
これに巻き込まれ、一人の女性が死亡しています 
男は生活苦から前途を悲観しての死でした 
一歩間違えれば大惨事になりかねませんでした 
この事件には、今の日本の現実が透けてみえてきます 
 
ああ、わからない わからない 
日本っていい国? 悪い国? 
 
世界でもまれにみる長寿国になった日本ですが 
長生きしている老人にとって日本はけっして 
生きやすい国ではないことを 
象徴している事件だったといえます 
「下流老人」ということが大きな話題になるように 
生存ぎりぎりの収入しかない、孤独死、認知症、 
とにかく格差社会が凝縮されているのが、 
日本の高齢者なのです、老いることが災いとなる・・・・・ 
あの深沢七郎の有名な小説『楢山節孝』の 
21世紀版という社会が現実化しかねないのです 
安倍政権は、貧しい高齢者へ 
一律3万円を支給することを決めましたが 
そんな場当たり的なことで、 
老人が廃棄される 
現実をごまかすなと言いたい。 


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