2016年01月25日09時40分掲載  無料記事
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安倍政権を検証する

TPPの震源地 アメリカでの甘利経済再生担当大臣の賄賂報道

  今、事務所が賄賂を受けた疑いで週刊文春をはじめ、国内メディアで報じられている渦中の甘利明経済再生担当大臣と言えば10月に大筋合意したTPPの立役者として株を上げた矢先のこと。 
 
  TPPの震源地米国のニューヨーク・タイムズ国際版では’Key Abe ally in Japan is accused of selling favors '(安倍首相の重要な腹心が賄賂で告発される)という見出しで報じられた。安倍首相の腹心、ということで安倍という名前が報じられていることに注目だ。 
 
  さらに’Economy minister denies breaking law in dealings with construction firm' (経済閣僚は建設会社との違法な裏取引については否認)と書かれている。本文では'potentially damaging accusations that he received funds from a construction company in return for political favors' (ファンドの金を受け取った見返りに、政治的贔屓を行ったとする告発は甘利明経済再生担当大臣にとってダメージとなりうる)。 
 
  この報道では秘書を含めて甘利大臣側が建設会社から1200万円を受領したと報じられている。建設会社はその見返りに政治的な贔屓を求めたと報じられていることがしっかりと書き込まれている。もしかすると、秘書に責任を被せて幕引きを考えている可能性があるとも書かれている。 
 
  さらに安倍首相が過去に多数の側近をスキャンダルで失ったことが米メディアの中心とも言えるニューヨーク・タイムズで報じられている。21世紀型の自由貿易協定を結んだ立役者が賄賂で足元をすくわれることは安倍政権にとっては想定外の大きな痛手となるだろう。なぜなら、これから批准作業を残すTPPにとって、汚点を残したからでもある。つまり、「自由貿易」とはほど遠い、賄賂国家としてのシンボルとみなされてしまったからだ。安倍政権にとっては中国で横行する賄賂を批判する根拠も失いかねない事態となる。 
 
  自民党には多額の政治献金が注ぎ込んでいるが、今、自民党が行っているアベノミクスや、円安政策は一部の大企業が有利になる反面、損失を被り続ける企業群があることを忘れてはなるまい。ニューヨーク・タイムズでは2007年の安倍政権に遡り、続々と側近閣僚が金銭などのスキャンダルで辞職してきた歴史が記載されており、単発の問題でなく、安倍政権と自民党の構造的問題であると明示されている。この記事には単なる一記事を超える何かが文の間から立ち上ってくる印象がある。国内メディアなら呼びつけて恫喝することができただろうが、米国メディアにもその手が通用するだろうか。 
 
 
■ニューヨーク・タイムズの報道 
http://www.nytimes.com/2016/01/23/world/asia/japan-akira-amari-bribery-claims.html?_r=0 


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