2016年02月04日00時17分掲載  無料記事
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反戦・平和

韓国・朝鮮人元BC級戦犯者「同進会」を応援する会 通信No.29(2016年1月9日発行)

<それでも諦めるわけにはいかない――当事者の訴えに迅速な立法解決を――> 
 
 戦争責任をきちんと問いきれないまま、戦後の歩みを始めたこと。それがいかに大きな問題であったかを思い知らされる戦後70年となりました。安倍政権は集団的自衛権に踏み込む安保法制を強引に採決。国家が強いた戦争被害は、またもや放置されたままに、次の被害への不安がぬぐえぬ事態に立ち至っています。 
 李鶴来同進会会長は、昨年12月13日に開催された「未解決の戦後補償を考える」集会(呼びかけ:戦後補償ネットワーク、創史社ほか)において、「今年(2015年)は戦後70年、日韓国交正常化50年、そして同進会結成60年という節目の年で、大きな期待を持っていましたが、残念ながら運動の進展が見られないまま、年の瀬を迎えました。来年こそはぜひこれらの問題の解決を期したいと思います」と、決意を述べています。この訴えを立法へと反映し、戦争の不条理を何としてもただしていかねばなりません。 
 昨年後半は会報の発行がまったくできず、署名提出もかなわなかったことをお詫び申し上げますと共に、本年もどうか積極的なご支援の程、お願い申し上げます。 
 
<成果乏しかった2015年から問題解決に向けて前進する2016年に 〜有光健(世話人)〜> 
 
 「戦後70年」「日韓国交正常化・請求権協定50年」の昨年2015年は、懸案の戦後補償問題の解決に向けて進展が期待された年だった。戦後70年積み残してきた課題と冷静に向き合い、最後の時を迎えている被害当事者の声に耳を傾けて、議論し、解決策をつくり上げるチャンスとみられた。しかし、実際には、すったもんだの末、お詫びはもう終わりにしたいという中途半端な「安倍談話」が8月に出されただけで、日本国内の関心は安保法制に集中し、戦後補償の課題はかすんでしまった。 
 
 長く局長級協議の続いてきた「慰安婦」問題も越年と見られていたが、12月末に急きょ外相会談が行われ、あわただしく政府間合意が発表された。「歴史的」「画期的」と両国外相や首脳が自画自賛するのを受けて、新聞は1面で大きく報じ、「劇的合意」を歓迎した。ところが、直後に、韓国政府は、この間被害当事者にほとんど接触せず、合意内容は被害者には寝耳に水だったことが判明。政府間合意は「被害者ぬきの茶番」「裏切り」「屈辱的」との強い批判にさらされている。 
 
 こうした状況の過の中で、李鶴来さんを先頭を進めてきた韓国人BC級元戦犯者の名誉回復のための立法運動は、この1年間、ほとんど進展がなかった。90歳になられた李鶴来さんら、当事者・遺家族の皆さんには本当に申し訳ない限りである。 
 昨年4月に同進会はとうとう結成50周年を迎え、1925年生まれの会長の李鶴来さん自身も90歳になり、4月1日に衆議院議員会館で記念の集いと誕生祝いをしたが、その後永田町での運動にはかばかしい進捗はなかった。それでも、いくつかの成果が見られた。 
 同進会50周年のニュースは韓国のメディアが比較的詳しく報じ、朝日や毎日、TBS(JNN)報道特集(8月1日放送)でも李さんらの歴史と運動が紹介された。内容はいずれも好意的なものだったが、大きく世論を盛り上げるところにまでは、残念ながら至っていない。 
 藤田幸久参議院議員(民主)は、参議院予算委員会(3月27日)、外交防衛委員会(4月7日、5月12日)の質疑で、安倍首相、岸田外相にこの問題への取り組みを訴えた(本誌28号、下記参照)。岸田外相の答弁は、抽象的に「基本的な認識として、朝鮮半島出身のいわゆるBC級戦犯の方々が今日まで様々な御苦労をされたこと、これは心が痛む思いである。そういった思いを胸に平和国家としての歩みを進め、我が国としての対応を考えていきたい」というものだった。 
 
 7月10日に東京の衆院議員会館で開催された第38回日韓・韓日議連合同総会でも、昨年11月のソウルでの総会に続いて、社会文化委員会で韓国人BC級戦犯者問題が取り上げられ、議論されたが、共同声明文に盛り込まれることは見送られた。日本側参加議員の一部が「BC級戦犯者問題をよく知らない」と発言、さらに検討が必要として先送りされたものだった。 
 例年11月に韓国・ソウルでも日韓・韓日議連合同総会が開催されるが、昨秋は見送られた。今年は、韓国の総選挙(今年4月)、日本の参議院選挙(7月)が行われるので、今年前半の東京での総会もなく、次回は今秋とみられる。当面、日韓の議員レベルで議論される機会はなさそうだが、韓国の総選挙の課題のひとつに挙げて、各党の取り組みを求めることはできる。選挙前に質問状を送るなどの活動が予定される。 
 
 昨年末の「慰安婦」日韓政府合意に対する反発・抗議の声が韓国で広がっている中、1月4日「慰安婦」政府合意の破棄を求める意見書を発表した韓国の大学教授らは、「日韓の過去清算に関する法的紛争は慰安婦問題に限定されたことでなく、在樺太コリアン、韓国人原爆被害者、韓国人徴用・徴兵、女子勤労挺身隊、BC級戦犯を含む強制動員問題などの広範囲にまたがる」と指摘している。 
 現在激しく交わされている「慰安婦」問題の法的な議論は、BC級戦犯者問題にも波及する。今年韓国・大法院(最高裁)は元徴用工の請求権を認めるものとみられる。「慰安婦」問題のみが、進展するのか?BC級など他の戦後補償問題も連動して解決に向けて動くことになるのか?ユネスコの世界記憶遺産登録問題なども関わって、複雑な方程式で、BC級戦犯者の名誉回復や戦後補償問題が進んでいくことになりそうだ。 参院選挙を控えた国会は、例年より早く、1月4日にすでに始まっている。積極・果敢に国会議員・与野党への働きかけに取り組みたい。時間は本当になくなってきているが、積み残した課題を放置しておくことはできない。 
 
<刊行予告> 
李鶴来さん自伝『誰のために何のために――朝鮮人BC級戦犯からの問いかけ(仮)』 
現在「梨の木舎」より刊行準備中! 3月頃刊行予定。詳細は後日お知らせします。 
 
<活動日誌> 
(2015年) 
6月28日 『同進会を応援する会通信』No.28発行 
8月16日 むさしの平和のための戦争展にて李鶴来さん、有光健さん講演 
(2016年) 
1月9日 同進会&応援する会合同役員会、『同進会を応援する会通信』No.29発行 
 
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発行:韓国・朝鮮人元BC級戦犯者「同進会」を応援する会(代表:内海愛子) 
◆連絡先 
(住所)162−0823 東京都新宿区神楽河岸1−1 10階 東京ボランティア市民活動センター気付 メールボックスNo.120 
(E−mail)BCQ@nifty.com または ZXF00410@nifty.com 
(電話) 090‐6548‐7031(大山) 
◆ツイッター https://twitter.com/bcqnakano 
◆ホームページ http://kbcq.web.fc2.com/ 
◆ブログ http://bcq.blog49.fc2.com/ 
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◆銀行振込口座 「同進会を応援する会」三菱東京UFJ銀行 神保町支店 普通2414414 


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