2016年02月19日18時04分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】アメリカが来た!! 平田伊都子

 2月15日、モロッコが国連事務総長の3月訪問を拒絶しました。 そして、モロッコの拒絶を国連安保理が拒絶すると、モロッコは7月に延期しろと言ってきました。 なぜ7月なんでしょうね? 仮に7月なったら、また延期をするのでしょうか? 結局、パン国連事務総長の任期切れを待っているのでしょうか? これは、モロッコの巧妙な<ズルズル引き伸ばし戦術>にすぎません。 1991年にデクエヤル第5代国連事務総長が国連西サハラ住民投票を提案し、モロッコと西サハラは国連提案を呑み停戦しました。 6代目のガーリは一期で退陣、7代目のアナンはモロッコから別荘を貰って、国連提案を実施せずほったらかしにしたまま退陣しました。 そして8代目のパン国連事務総長、、モロッコには、国連西サハラ住民投票をやる気がないのです。 
 
(1) 駐アルジェリア・アメリカ女性大使が難民キャンプ訪問: 
 2016年2月16日、ホアン・ポラシク駐アルジェリア米国大使を団長とした、マーガレット・マッカーフィー米国務省アフリカ難民移民局女性局長やアメリカ政府高官やアメリカ外交官などの一行が、西サハラ難民キャンプに入った。米国大使は「アメリカは西サハラ人民の民族自決権と、その行使に向けて努力する国連を支持する」と表明した。一行は西サハラ赤新月社や英語塾を訪れ、若者たちの代表と会ったりした。2013年10月以来、アメリカは23,000,000$の人道的物質援助を西サハラ難民キャンプに拠出している。その内の4,000,000$は、2015年10月の大洪水による災害復興支援に充てられた。 
 
(2) ロス国連事務総長西サハラ個人特使が難民キャンプ訪問: 
 2016年2月17日、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)のハッダード西サハラ交渉団長が、「クリストファー・ロス国連事務総長西サハラ個人特使が今日、西サハラ難民キャンプを訪問し、西サハラ難民政府高官たちと、国連事務総長の西サハラ難民キャンプ訪問に関して打ち合わせをする」と、発表した。モロッコは国連事務総長訪問に反対していて、訪問日程は未だに確定していない。ロスの西サハラ難民キャンプ訪問は国連安保理に報告する定例の西サハラ地域視察で、アルジェリア、モーリタニア、モロッコなども訪問する。 
 アメリカの外交官クリストファー・ロスは、1943年10月4日にエクアドルのキトで生まれた。1988年8月12日から1991年8月14日まで駐アルジェリア米国大使を、1991年8月2日から1998年3月22日まで駐シリア米国大使を務めた。 2003年からアメリカ国務省のアラブ外交専門家として働く。2009年1月7日に国連事務総長西サハラ個人特使に任命され現在に至る。 英語(当たり前)、フランス語、アラビア語、に精通している。 
 
(3) AU安保理: 
 2016年2月18日、AU安保理がUN安保理に国連西サハラ住民投票に向けて具体的な計画表を、一日も早く提示するよう迫った。さらに、国連が未確定地域に指定し、その領海や大地で漁業や地下資源開発を禁じている西サハラで、モロッコが生産活動をしているのを禁じるよう要求した。さらにさらに、モロッコ占領地・西サハラでの西サハラ住民に対する虐待と、西サハラ人政治囚への不法な拘束と拷問を非難し、国連の介入を強く求めた。安保理はUN(国連)だけにあるのではない。AU(アフリカ連合)にもあるんだ。 
 エチオピア首都のアジスアベバで、アフリカ大陸の54か国が、アフリカの治安と安定を討議してきた。AUの、一番の目標はラストコロニー(アフリカ最後の植民地)を開放することだ。アフリカ大陸で一国だけ、アフリカ人を馬鹿にしてAUに加盟していないのが、モロッコだ。1984年OAU(アフリカ統一機構でAUの前身)が西サハラを正式加盟国と認めてから、モロッコはOAU=AUから撤退して今日に至っている。 
 
 西サハラに、いよいよアメリカが乗り込んできました。 難民第一世代である独立闘争を始めたお爺さんやお父さんたちは、複雑な思いでアメリカの登場を見ているようです。 
 しかし、1991年にソビエト連邦が崩壊し、社会主義革命武装闘争のスポンサーがいなくなってしまいました。 と同時に国連により<国連西サハラ住民投票>という和平提案が出され、敵のモロッコも西サハラもこれを呑み、武装闘争から政治闘争に大転換しました。 
 第一世代は当惑し、第二世代は受け入れ、第三世代は勉学中です。 
 第二世代には、第一世代のようにアメリカを毛嫌いする風潮はありません。 
 しかし、そのアメリカの大統領予備選挙で、資本主義の権化と社会主義の信者が夫々の陣営でトップを取りつつあります。 繰り返してますね、歴史は、、 トランプさんとバーニーさんに、ぜひ、アフリカ最後の植民地・西サハラのことを聞いてみたいで〜す、、 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2016年2月19日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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