2016年02月22日01時28分掲載  無料記事
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反戦・平和

日本の「慰安婦」支援団体、外務省に抗議声明提出&緊急シンポジウム開催

 突然の日韓合意から1ヶ月が過ぎた2月5日午前中。100人もの人が日韓合意に抗議するため外務省前に集まりました。そして、右翼団体が街宣車から罵声を浴びせる中、外務省に対する抗議行動が始まりました。 
 ピースボート共同代表の野平晋作さんや日韓つながり直しキャンペーン事務局長の矢野秀喜さんたちは、日韓合意の問題点を指摘しながら「被害者たちと話し合う中で解決への道を探していくしかない。日本社会ではこの点がしっかりと議論されていない」などと訴えました。 
 関西から駆け付けた人や若者によるスピーチや、参加者全員によるシュプレヒコールが終わると、外務省に抗議声明を提出し終えた日本軍「慰安婦」問題解決全国行動(全国行動)共同代表の梁澄子さんが登場しました。 
 梁さんは、参加者一人一人の顔を見渡しながら、駆け付けてくれたことへの感謝の言葉を述べた後、表情を一変させて「外務省は何も考えていない!」「日本政府は韓国政府に責任を押しつけて上手いことやったという安心感しかない」と怒りを露わにして外務省を批判しました。 
 
 参加者らは抗議行動後、衆議院第1議員会館に場所を移し、午後から緊急シンポジウム「日本軍『慰安婦』問題 日韓政府間『合意』は解決になるのか?!」(主催:全国行動)を開催しました。 
 まず始めに、梁さんが外務省に抗議声明を提出した際の様子を報告し、その後、慶北大学法学専門大学院教授の金昌禄(キム・チャンロク)さん、神奈川大学大学院教授の阿部浩己さん、韓国中央大学教授の李娜榮(イ・ナヨン)さんの講演が行われました。 
 
 外務省への申し入れに参加した金さんは、日本政府が支払う10億円について質問したところ、外務省職員は当初、「韓国が設立する財団の運営のために使われると認識している」と答えたそうで、「『10億円を被害者たちへの個人補償に使う』と言っている韓国政府と日本政府の間に認識のズレが存在することが明らかになった」と指摘しました。 
 また、今回の日韓合意の内容を村山政権時のアジア女性基金と比較しながら、アジア女性基金より後退していることを説明しました。 
 
 阿部さんは、「慰安婦」問題を二国間外交の枠組みで処理することは古いやり方で、今の国際法は、普遍的な理念や価値観に照らして物事を処理していく考え方が主流になっており、「慰安婦」問題は国際的な場で解決しなければいけないものだと訴えました。 
 
 李さんは、日韓合意後、韓国において、‘韓日本軍「慰安婦」合意無効と正義の解決のための全国行動、日本軍「慰安婦」ハルモニと手をつなぐ正義と記憶遺産(記憶財団)、F本軍「慰安婦」研究会、という組織が立ち上がったことや、記憶財団には被害者の金福童(キム・ボクトン)ハルモニも100万ウォンを寄付し、公式発足から2週間で1億ウォンの寄付が集まっていることを報告しました。 
 
 3人の講演後、質疑応答の時間が設けられましたが、質問の多くは日本で報道されない韓国国内の状況を問うものでした。 
 李さんは、韓国外交省が面会した被害者18人のうち14人が日韓合意に肯定的な反応を示したという報道について、「14人のうち被害者本人が答えたのは3人で、他は被害者保護者が答えたものです」と説明しました。 
 さらに李さんは、日本のメディアが「韓国では日韓合意への反対運動が広まっていない」と報道していることについて、「日韓合意以降、水曜デモに毎週参加していますが、毎回1,000回記念デモのときのような盛り上がりです」と日本の報道を否定しました。 
 
 日韓合意について、日本では肯定的に捉えている人が多く、また批判的に報道するメディアも少ない状況です。 
 一方、韓国では多くの人たちが日韓合意に抗議している様子が報道されています。 
 この日韓の差は、どこから生まれるのでしょうか?この疑問に答えてくれそうなシンポジウムが企画されています。(高木あずさ) 
 
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<日韓「合意」と日本の「慰安婦」問題認識―忘却のための「解決」は許さない> 
講演1:日韓「合意」の何が問題なのか 〜吉見義明(日本史、中央大学教授) 
講演2:「帝国の慰安婦」事態と日本の知識人 〜鄭栄桓(チョン・ヨンファン、朝鮮近現代史・在日朝鮮人史、明治学院大学准教授) 
コメント:北原みのり(作家)、金富子(植民地朝鮮ジェンダー史、東京外国語大学教授) 
主催者あいさつ:中野敏男(歴史社会学、東京外国語大学教授) 
コーディネーター:梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表) 
●日時:2016年2月27日(土)13:30〜17:15(13:00開場) 
●会場:韓国YMCA地下ホール・スペースY(JR「水道橋」東口5分) 
●参加費:一般1000円(非正規・学生500円) 
●共催:日韓「合意」と日本の「慰安婦」問題認識シンポジウム実行委員会、日本軍「慰安婦」問題web サイト制作委員会 
●協賛:御茶の水書房 週刊金曜日 
●問合せ:http://fightforjustice.info/ 
 
<「慰安婦」問題と現代韓国―日韓「合意」の何が問題か> 
講演:韓洪九(ハン・ホング) 
コメント:梁澄子(ヤン・チンジャ、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)、吉見義明(日本史、中央大学教授) 
主催者あいさつ:小野沢あかね(日本近現代史、女性史、立教大学教授) 
コーディネーター:金富子(植民地朝鮮ジェンダー史、東京外国語大学教授) 
●日時:2016年3月19日(土)12:30〜15:45(12:00開場) 
●会場:中央大学駿河台記念館281教室(JR中央・総武線「御茶ノ水駅」3分、丸の内線「御茶ノ水駅」6分、千代田線「新御茶ノ水駅」5分) 
●参加費:一般1000円(非正規・学生500円) 
●主催:日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会(日本の戦争責任資料センター「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター) 
●協賛:御茶の水書房、週刊金曜日 
●問合せ:http://fightforjustice.info/ 


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