2016年03月05日11時10分掲載  無料記事
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東日本大震災

フクシマ原発労働者相談センターが総会を開催(その1)

 東京電力福島第一原発廃炉作業の拠点である福島県いわき市において、昨年2月6日、被曝の恐怖におののきながら働く原発・除染労働者への賃金不払いや労災など労働問題や健康被害に対応するため、フクシマ原発労働者相談センター(以下、相談センター)が開設された。 
 その相談センターは、開設から1年が経過した今年2月13日、いわき市内で総会を開催し、1年間の活動を総括するとともに、今後の運動方針を確認した。2回に分けて報告する。(館山守) 
 
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<主催者挨拶> 
 
 相談センターの狩野光昭代表は、相談センターが取り組んだこれまでの活動を報告し、今後の抱負を語った。 
「相談センターを設立してから1年が経過しました。この1年間で37件の原発・除染労働に関する相談を受けてきました。被曝労働特有の労災・職業病に関する相談もありましたが、相談の多くは賃金や危険手当の不払い問題でした。また、相談者の多くは下請け企業を退職した人たちでした。相談センターでは、こうした相談を受けて東京電力や下請け企業との交渉、労働基準監督署への申し入れを行い、解決を図ってきました」 
 
「原発労働者は不安定雇用であるため、労働条件の改善がなければ熟練労働者の定着はなく、それでは40年と云われる福島第一原発の廃炉実現は困難となり、福島復興の大前提が後退することになります」 
 
「今や原発・除染労働問題は社会問題化しつつあり、我々の取り組みは、ますます社会的意義の大きな活動になっていくと言えます。これからも原発・除染労働の相談活動を強化し、労働者の労働条件改善を図るとともに、原発廃炉の実現につなげていきたいと思います」 
 
<来賓挨拶> 
 
 脱原発福島県民会議の小川右善共同代表は、福島第一原発が収束どころか大きな問題を山ほど抱えている状況にあると訴えた。 
「中間貯蔵施設や指定廃棄物最終処分場の建設、地下汚染水処理とこれに対応するべく建設を始めた凍土壁も、3年掛かって未だ実用化に至らない状況です」 
 
「我々は“脱原発”を掲げていますが、その中でも福島県では福島第一・第二原発の全基廃炉を求めています。これは福島県知事、そして県内各自治体の首長も同様であり、この間、国や東電に対して訴えていますが、国と東電は曖昧な対応に終始し、お互いに責任をなすりつけ合うような状況で、福島第二原発に関しては廃炉にするかどうか明確になっていない状況です」 
 
「福島第一原発や除染作業現場で働く労働者からの相談によって、下請け構造が非常に大きな問題になっており、相談センターとしても、この問題の解決に向けた取組は非常に重要だと考えています」 
「福島県内の原発を全基廃炉にしない限り、福島の復興は望めない訳ですから、そのためには福島第一原発そして除染作業現場で働く労働者の労働条件や生活環境の改善が急務となっています」 
 
<経過報告> 
 
 相談センター事務局は、これまでに寄せられた原発・除染労働者からの相談内容の特徴点、国や東電との交渉結果、原発労働に対する政府の対応や方針について報告した。 
「これまで相談センターに寄せられた原発・除染労働者からの相談件数は計37件に上ります。相談内容の特徴点としては、…其發篌蠹等の不払い、∧射線法定限度を超えた労働者や熟練労働者による原発労働現場からの離脱増加、若年労働者の原発作業に対する不慣れ、は働関連法違反の雇用の蔓延、などです。相談者の多くは、原発・除染労働退職者か、これから退職しようとしている人たちであり、現役の労働者からの相談は少数となっています。また、相談者が労働組合に加入した上で、労使交渉による問題解決を図るといった例は少ない状況です」 
 
「福島第一原発で相次ぐ労災事故に対して、相談センターはこれまで3度にわたって東電に要請活動を行ってきました。東京電力に対する要求は、]災事故の原因究明と再発防止、第三者機関の設置、B申轍疾舛厩渋い糧緩榲改善、さ澣洌緡鼎寮鞍、ザ杁淹被曝限度250mSv、生涯被曝限度1000mSvといった線量の法制化中止、κ‥臑莪豸業1号機及び2号機の排気塔亀裂による倒壊防止措置、という6項目です」 
 
「他団体とともに取り組んだ例としては、昨年(2015年)8月、福島第一原発で連続した労災死亡事故により、安全確認のため業務が一時中断されて労働者が自宅待機となり、待機期間中の賃金が支払われないということがありました。相談センターはこの相談を受けて、脱原発福島県民会議や脱原発福島ネットワークなどの市民団体とともに東電との交渉に当たり、待機期間中の賃金を全額補償させることができました。この他、平成29年度以降は年金、雇用保険、医療保険といった社会保険未加入の下請け企業を原発・除染作業に選定しないと確認することもできました」 
 
「2015年10月20日、厚生労働省は福島第一原発事故の収束作業に当たった労働者が白血病を発症したことに対して労災を認定しました。原発事故後にがんを発症し労災が認定された初めてのケースになります」 
 
「原子力規制委員会が示した新規制基準に基づき、原発再稼働に向け電力各社が申請を行っています。さらに、厚生労働省及び原子力規制委員会は、緊急時の被曝限度を250mSvに引き上げるため、改正法の施行を2016年4月にも実施するとしています。このような原発事故を前提とした原発再稼働や労働者の犠牲を強いる原発維持に反対し、労働者の人権や健康破壊に抗議するための署名活動に取り組むとともに、政府交渉などを行ってきました」 
 
(その2に続く) 


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