2016年04月08日11時45分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201604081145035

アフリカ

【西サハラ最新情報】「国連西サハラ住民投票監視団」任務延長 平田伊都子

 あなただけに、そっと教えます。 MINURSO「国連西サハラ住民投票監視団」の延長が内定しました。 本来なら、4月28日に国連安保理が発表することになっているのですが、国連安保理4月議長を務める中国の国連大使が、ばらしてしまったんですよね、、詳しい文書はこれから作成するようですが、国連の中で秘密という言葉はあっても存在しないようで、守秘義務などあるんでしょうか?  が、我々、外野にいる者にとって、有難い限りです。 以下、西サハラに関する情報を包み隠さず申し述べます。 
 
(1) モロッコ、必死に外交活動: 
 <占領>という言葉を使ったパン国連事務総長は謝罪し消去しろと、モロッコは国連事務総長に迫った。西サハラはモロッコの領土で、<モロッコ・サハラ>あるいは<南モロッコ>とモロッコは呼んでいる。CORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)によると、「モロッコ国王陛下は自らロシアのプーチンをモスクワに訪ね、ケリー米国務長官には電話をされた。モロッコの西サハラ領有権を容認する言質を取ろうと努力された」と、ある。が、失敗されたようだ。さらにCORCASは 、「カタール、ブルンジ、ニジェール、サウジアラビアなどが、モロッコのサハラ・モロッコ地方自治政策案を支援している」と、主張した。が、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を排除しようとするモロッコの画策は成功しなかった。国連安保理はMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を承認し、その継続を発表した。 
 
(2) 国連安保理がMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を承認: 
2016年4月6日(日本時間4月7日)、中国国連大使劉結一が、「MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の任務の一年延期を、4月28日に公表する」と、国連安保理で発言した。MINURSOの任務は一年毎に更新される。4月1日、非公式に行われた4月予定会議で、西サハラ問題が議題に載せられた。その結果、西サハラ問題に関してはパン国連事務総長の報告前に3回の会議を開くことを決めた。 
 ボリビアとベネズエラの提案を受けた国連安保理は、4月8日にパン・ギムン国連事務総長に対して西サハラ訪問の報告をするように求めた。 
 
(3) EU(ヨーロッパ連合)法廷の決議とEU(ヨーロッパ連合)理事会: 
 国連安保理のMINURSO承認を受けて、4月7日、西サハラ側MINURSO代表モハンマド・ハッダードが、「モロッコは、<西サハラ領海におけるEUモロッコ漁業協定を廃棄すべきだ>とのEU法廷決議を遵守すべきだ。決議は2015年12月10日に出され、EU理事会はモロッコに対して、EU法廷決議に従ってEUモロッコ漁業協定の廃棄を促している」と、声明を出した。 
 さらにハッダードは、「EU理事会はモロッコの西サハラ領有権を承認していない」と、謳っている。2002年、当時の国連事務総長法律顧問ハンス・コラールも、「国連が指定した未確定地域(植民地)の天然資源を、採掘や漁労をしてはいけない」と、西サハラを含めた植民地の天然資源に関して国際法的結論を出している。 
 
(4) AUアフリカ連合、国連と国連事務総長と西サハラを支援: 
 国連安保理のMINURSO承認を受けて西サハラ担当AUアフリカ連合特使ジョアキム・チサノ(元モザンビーク大統領)は、「アフリカ諸国はより一致団結して、西サハラ解放を妨害するモロッコに立ち向かっていかなければならない。かって、アフリカは南アフリカのアパルトヘイトと戦い勝利を得た。今、我々に課せられた使命は、アフリカ最後の植民地・西サハラの解放だ」と、2016年4月6日、エチオピアのアジスアベバにあるAUアフリカ連合本部で声明を出した。 
 
 パン・ギムン国連事務総長のモロッコ訪問とモロッコ占領地・西サハラ訪問を食い止めたモロッコですが、国連安保理に圧力をかけてMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)を撤去することはできなかったようです。 4月8日(日本時間4月9日)にパン・ギムン国連事務総長がモロッコの妨害にも拘らず決行した<西サハラ地域訪問>の報告を、国連安保理で報告します。 さらに、2012年から現在に至るクリストファー・ロス国連事務総長個人特使に対するモロッコの妨害行為にも、言及するかもしれません。 
 
 人に意地悪をするもんではありません。 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2016年4月8日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。