2016年04月22日18時33分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201604221833095

遺伝子組み換え/ゲノム編集

中国 とりあえずGMイネの商業栽培は慎重な姿勢

 中国農業部の遺伝子組み換え担当部の次長はこのほど、「中国 
 の遺伝子組み換えイネの開発は進展しているが、短期的には商業 
 規模での栽培は行わない」と述べた、と環球時報が報じた。(有機b 農業ニュースクリップ 
 
  中国の遺伝子組み換え政策は、2016年の中国共産党中央委 
 員会の中央1号文書では「農業の遺伝子組み換え技術の研究開発 
 と監督管理を強化し、安全を確保した上で慎重に普及させる」と 
 して、慎重姿勢を崩してはいない。 
 
  中国化工集団公司 (ChemChina)によるシンジェンタを買収 
 (16年2月)では、中国がその遺伝子組み換えに慎重な姿勢を 
 積極的導入へ転換するのではないかとする見方もあった。環球時 
 報のニュースは、一応、こうした見方を打ち消すことになる。 
 
  中国では、商業的な栽培が承認されている遺伝子組み換え作物 
 はパパイアと綿だけだが、武漢の研究施設から「流出」した害虫 
 抵抗性のGMイネによるGM汚染が広がっていると見られている。 
 日本や欧州でも中国産のコメやビーフンから見つかっている。 
 
  今年1月には、遼寧省で販売されるトウモロコシの種子や市場 
 で販売されているトウモロコシから遺伝子組み換え成分を高率で 
 検出したとグリーンピースが発表している。 
 
  環球時報は3月初め、中国東北部に位置し最大の穀物生産地域 
 である黒龍江省の省長が、同省は遺伝子組み換え作物を栽培しな 
 いと明言する一方で、GM技術は支持するとする発言を伝えてい 
 る。 
 
  中国の遺伝子組み換え作物の商業栽培には、消費者のGM食品 
 への懸念が最大の壁となっている。米国で、バーモント州の義務 
 的GM表示が米国全体でのGM表示につながってきたように、消 
 費者の強い意思が必要といえるだろう。 
 
 
 ・Global Times, 2016-3-7 
  Heilongjiang won’t produce GM food, 
  more research required 
  http://www.globaltimes.cn/content/972226.shtml 
 
 ・中国農業部, 2016-03-09 
  発展の新理念を実行に移し、農業近代化を加速し、 
  全面小康の目標を実現することに関する若干の意見 
  (2016年中央1号文書) 
  http://japanese.agri.gov.cn/flfg/201603/t20160309_167232.htm 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。