2016年04月28日14時32分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】AU西サハラ特使が国連安保理に切り込む! 平田伊都子

 2016年4月26日、国連安保理が西サハラ問題に関して非公式会議を開きました。 
非公式会議なので、記者発表はないし、会議報告欄には<closed(未公開)>の特注がついてます。 BBC英国TVは、「北西アフリカにある紛争地・西アフリカ、再燃するか?」というテーマで、4月27日に報道しました。 
 何が話されたのか?守秘義務のかかった安保理会議室を、そっと覘いてみましょう。 
 
(1)AU(アフリカ連合)西サハラ特使が国連安保理に殴り込み: 
 2016年4月26日、ジョアキム・チサノAU(アフリカ連合)西サハラ特使が、国連安保理の非公式会議に出席し、緊急を要する西サハラ情勢を訴えた。この会議は、アンゴラとベネズエラの要請に応じて開かれた。フランス、エジプト、セネガル、アンゴラの4か国は西サハラ会議開催に反対した。 
 元モザンビーク大統領ジョアキム・チサノは、「国連は速やかに西サハラ紛争を解決すべきだ。国連活動の長期停滞が、西サハラ難民キャンプに絶望的なフラストレーションをもたらしたている。モロッコ軍の挑発行為は軍事衝突を引き起こしかねない」と、安保理に強く警告を発した。さらに、チサノAU(アフリカ連合)特使は、「ラバト(モロッコの首都、モロッコ政府の代名詞)が84人の国連職員をモロッコ占領地・西サハラから追放した暴挙は、許しがたい行為だ」と、ラバトが国連に下した妨害行為を非難した。そして、チサノAU特使は、「MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)が創設されて25年経ったのに、未だに全く進展がないのは残念だ。西サハラの人々が自由に彼らの未来を、彼ら自身で選ぶことができる住民投票の具体的な日程を、早急に決めなければならない」と、安保理を促した。 
 AU(アフリカ連合)にはAUPSC(アフリカ連合平和安保理)という名の、UNSC(国連安保理)に倣った組織もある。アフリカを馬鹿にするアフリカのモロッコは、アフリカ大陸で唯一、AUに加盟していない。AU(アフリカ連合)は強く大きく成長したんだぞ! 
 
(2)ニューヨークで待機する西サハラ難民外交団:       2016年4月末日の国連安保理西サハラ決議に備えて、西サハラ難民政府外交団はニューヨークに集結している。アハメド・ブハリ国連代表、モハンマド・ハッダードMINURSO交渉代表、ムロウド・ワシントン代表、、などなど。進展状況に応じて、西サハラ難民大統領やハトリ難民国会議長も合流する予定だ。 
 西サハラ決議を前にしたニューヨークの記者会見で、ハッダードが、「AU(アフリカ連合)の力強い西サハラへの支援に感謝する。モロッコが追放したMINURSO(国連西サハラ住民投票)の職員が、一日も早く職務に戻れることを切望する。国連事務総長の西サハラ訪問で露呈したモロッコの国連愚弄は、国連の権威と信用を深く傷つけている。そのモロッコをバックアップするフランスとスペインも同罪だ。国連は自らが約束した国連西サハラ住民投票を実施して、西サハラ人の民族自決権行使を実現するべきだ。必要とあらば、明日の国連西サハラ決議に、モロッコに対する制裁の一項を明記すべきではなかろうか?そして、早急に<Negotistion Table ネゴシエーション・テーブル(交渉の席)>の予約をしてほしいと、語った。 
 
(3)BBC英国TV発、「国連西サハラ派遣団は25年前に設置された」: 
 2016年4月27日、BBC英国TVは西サハラ特集を報道した。MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の画像を載せ、「国連は16年間続いた戦争に終止符をうつため、1991年、モロッコと西サハラの人々の戦闘員に停戦を提案した」と、MINURSO誕生を説明し、「そのMINURSOに働く84人の民間職員を、モロッコが追放した。国連総長が<占領>という言葉を当該地域(西サハラ)に対して使ったというのが、理由だ。さらにモロッコは、アフリカに展開している国連PKOで従軍するモロッコ兵を撤退させると、国連を脅している」と、非難している。さらにAU(アフリカ連合)西サハラ特使チサノの言として、「西サハラ紛争は小さい問題かもしれない。しかし、小さい火の粉は森林を燃やし尽くす可能性がある事を忘れてはいけない」と、言及している。一方の国連は、国連職員が追放されたため、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の日常業務が滞って困ると、苦渋を呈している。 
 同日、AFP通信は、「チサノAU(アフリカ連合)西サハラ特使が、<モロッコの国連職員追放や撤退は、国連PKO撤退の連鎖反応を引き起こす危険性に満ちている>と警告した」と、伝えている。 
 一両日中に、国連安保理が西サハラ決議を公表します。 その頃、日本列島は連休に入っています。 もし筆者のように、金も予定もない方は、国連安保理の報告書を検索してみて下さい。    もしそんなの面倒だと思われる方は、筆者の西サハラ最新情報158を覘いてみて下さい。 
 
文:平田伊都子 ジャーナリスト、写真構成:川名生十 カメラマン、写真提供:AU 


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