2016年06月03日16時22分掲載  無料記事
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国際

フランスの労働法改正問題 日本人から「甘えている」と責められるフランス人労働者

  フランス議会で論じられている労働法改正問題について。労働時間の「フレキシブル化」とか解雇要件の緩和など、世界の熾烈な競争の中でフランスの国際競争力を維持するためには理想ばかり言っていられない・・・週35時間制など現行の労働法制定の中核になった社会党自身がそんな提案をしています。週46時間くらいの労働が普通にできる状況へと政府は舵を切って行こうとしており、労働者や学生の反発を呼んでいます。そして、残業に適用される割増料金をできるだけ格安に切り詰めるように改革を進めようとしているのです。 
 
  このことは日本から見ると対岸の火事なんでしょうか。仮に同じ商品を生産する場合、国際競争力という点で見れば長時間のサービス残業が当たり前の日本が価格の点で国際競争力をつけるのは明らかです。勤務時間が週60時間を超える労働者が600万人にも及ぶとされています。週休2日だとすると、1日12時間以上の労働時間になります。また日本ではさらに過労死の基準を月80時間の残業時間と設定していますがそれ以上働いて過労で死ぬ人がいます。さらに今後労働時間ではなく成果に対して賃金を払う脱時間給制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)も導入されます。日本企業はますます価格競争力をつけることになろうとしています。 
 
  こうした日本のような労働慣行がフランスの豊かさを侵食しているとも言えます。労働問題は一国だけの問題ではありません。すべての国がグローバル経済の中で関係しあっています。ところが日本人の中には「フランス人は甘えている」という声があるから驚きです。確かに日本の労働者を基準にしたら、様々な権利に守られてきたフランスの労働者は「甘えている」と見られるかもしれません。しかし、過労死を出してきた日本の労働現場、あるいはサービス残業を当たり前にしている日本の労働現場をグローバルスタンダードにすることが果たして正当なのか?という問いも浮かんで来ます。 
 
  そんな中、フランスでは仕事の時間が終わったら、仕事のメールは送らない、受け取らないとする法案が審議されています。これも日本基準からすればなんと甘い、と見られるのでしょう。グローバル時代においては経済は互いに関連しあっているため、一国で取られる政策は必ず他の国や地方の労働者の生活に影響を与えているのです。ですから、双方の暮らしを念頭に置くことで初めて一国の労働政策も形成できるのだと言って過言ではありません。軍拡競争を避けることが肝要なのと同様、労働政策も過剰な競争に陥らないように国境を越えて調整しあう必要があります。 
 
 
■脱時間給、ホワイトカラーに来年導入へ 
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO84122210Z00C15A3000000/ 
 
■外食チェーン店とアルバイト 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201408170228320 


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