2016年06月16日20時19分掲載  無料記事
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市民活動

「2016年参院選は、市民が作る新しい政治の出発点だ」〜市民連合が記者会見で選挙闘争開始を宣言

 2016年参院選(7月10日投開票)の注目点は、選挙結果次第で改憲に踏み出す可能性のある与党に対し、それを阻止せんとする民進・共産・社民・生活の野党4党と、野党共闘態勢の構築に大きな役割を果たしてきた「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(略称:市民連合)や「ミナセン」(みんなで選挙)などに集う市民有志の頑張りで、与党の獲得議席数をどこまで削れるかにあると言える。 
 
<市民連合 記者会見> 
 
 その市民連合は6月4日、東京・御茶ノ水の連合会館において記者会見を開き、参院選闘争の開始を宣言した。 
 市民連合構成団体の1つ「安全保障関連法に反対する学者の会」の佐藤学さん(学習院大学教授)は、 
「市民の連帯による運動が野党を支えたからこそ野党共闘が実現しましたが、この運動は野党が共闘したら終わりというわけではありません。来る7月10日に予定されている参院選に向けて運動をさらに強めるため、野党統一候補を実現させた32の1人区そして複数区を合わせた全ての選挙区において新たな闘いに臨む市民有志が決意を新たにするため、今日の記者会見を準備させていただきました。今回は全く新しい選挙戦です。私たちの想定では、数万人規模の市民が直接的に選挙に関わることになります。かく言う私も、初めて選挙戦に参加しています。手探りで闘いの準備を進めているわけですが、これは市民が作る新しい政治の出発点だと考えています」と語り、市民連合として参院選勝利の最低ラインを“61議席”で設定し、野党で過半数を取って安倍政権を退陣に追い込むとの決意を表明した。 
 
 同じく市民連合構成団体の「SEALDs」(自由と民主主義のための学生緊急行動)からは、諏訪原健さん(筑波大学大学院生)が登壇し、政府・与党による争点ぼかしに惑わされてはならないと訴えた。 
「安倍首相が先日の記者会見で争点として出てきたのは、1つは“アベノミクスの是非を問う”、そしてもう1つは“増税延期という考え方への是非を問う”という2点でした。これは“争点をぼかしたい”という意思に他なりません。それらは政府・与党が選挙に勝つために“道具”として持ち出してきたものであり、参院選の争点として本来問われなければならないのは、『安保法制の廃止と立憲主義の回復についてどう評価するか』です。また、彼らは“自民党改憲草案に基づく改憲”を念頭に置いていますので、それをどう考えていくのかも争点にしなければなりません」 
 
 会見には、参院選“1人区”の長野選挙区、徳島・高知選挙区、栃木選挙区、熊本選挙区で活動する地方版市民連合の関係者が遠路はるばる駆け付け、野党統一候補の擁立に至るまでの経緯や現在の活動状況を報告した。 
 
「参院選長野選挙区の野党統一候補である杉尾秀哉さん(民進党公認)とジャーナリストの鳥越俊太郎さんの2連ポスターは、信州市民連合が提案して作ったポスターです。そのポスターを今、共産党と社民党がもの凄い勢いで貼っています。このポスターには、よくよく見ると、目立たない小さな文字で『民進党』と書いているのですが、そのポスターを共産・社民両党の人たちが貼っているというのは、これまでにはなかったことです」(「信州市民連合」代表世話人・松本猛さん) 
 
「今、私たちが一番意識しているのは、“いかにして無党派層に選挙に行ってもらうか”、そして“『一緒に選挙戦を闘おう』という思いを伝えられるか”であり、それが我々の一番の使命であると思っています。徳島では、吉野川可動堰を阻止した住民運動の伝統が残っていまして、その運動に関わった人たちを中心に、方言で『選挙に行こう』と訴えるプラカードを作って街頭で掲げるという運動に取り組んでいます。大学生や未組織の人たちに訴えるため、若者たちを中心に音楽を取り入れた街宣用テープや、Tシャツやグッズも用意しました」(「市民連合・徳島」世話人・佐和正意さん) 
 
「6月19日の“栃木県民パレード”の成功に向けて準備を進めています。そして、『選挙事務所の中に市民が入って活動できる場を作ろう』ということで、民進党栃木県連事務所の中に野党統一候補・田野辺隆男後援会用のスペースを作り、そこに市民が入り込んで電話掛けなどいろんなことをやっています。さらにはボランティアを募集してチラシの戸別配布などいろんな取り組みを行っていく予定です」(「戦争法の廃止と立憲主義の回復を求める栃木県民ネットワーク」事務局・福田宏至さん) 
 
「5月15日に選対事務所開きを行いました。事務所は相当広く、入り口右側にくまみん事務所、左側が連合熊本・県南地域協議会、奥に社民・民進・共産各党のスペースがあります。市民の方々も、くまみん事務所に入って宛名書きなど一緒に活動しているところです。また、選挙カーで被災地にどうやって入るのか、音を出さずに静かに入るべきなのか、タスキを外すべきなのか、などの点について悩ましく思っています。ほとんどの方が被災していますし、労働組合員や政党関連の人は復興に向けて力を入れているところなので、きちんと選挙に行ってもらうこと、そして支持拡充に苦労しているところです」〔「熊本から民主主義を!県民の会」(くまみん)事務局長・福永洋一さん〕 
 
<全国市民意見交流会> 
 
 また、記者会見の後には、全国の市民連合関係者約100人が一堂に会した「全国市民意見交流会」が連合会館近くの全電通労働会館ホールで開催された。 
 その中で、「安全保障関連法に反対する学者の会」の山口二郎さん(法政大学教授)は、参院選の前哨戦となった衆院北海道5区補選(4月24日投開票)の結果を次のように分析した。 
 
● 「自民党vs野党統一候補(池田真紀さん)」という明確な対決構図を作ったことによって池田さんへの票が集まったことから、野党結集には大きな効果があった。 
 
● 「共産党アレルギー」というものは無いことが明らかになった。 
 
● 投票日の出口調査結果から、各党の支持層が9割以上固まったことが明らかになった。つまり、「野党結集だ」と言って盛り上がると、相手側も「負けられない」ということで活性化した。 
 
● 「支持無し」層は“7対3”の割合で圧倒的に池田さんに票が向かっているので、無党派層はやはり野党支持者が多い。 
 
● 「選挙で最も重視した政策や争点」は、第1位が「社会保障」で回答全体の約4分の1を占めた。 
 第2位は「景気・雇用」だが2割に達していない。「景気・雇用よりも社会保障だ」という新しい現象が見られる。加えて、市民が“アベノミクスで景気を良くする”という話をあまり期待していないことも示している。 
 第3位の「安全保障問題」は10.9パーセントで割と大きい。北海道5区には自衛隊の大きな基地を有する千歳市が含まれており、自民党は千歳市における目標得票数を3万票に設定していたが、結果は4千票足りなかった。自衛隊関係者を含めて安保法制に対して静かなる反対の意思表示があったと解釈できる。 
 
<市民連合の最大の任務とは> 
 
 そして山口さんは、今年の参院選が日本の行方を左右する選挙となることを強調し、32選挙区ある参院選1人区を中心に、野党結集で“安倍を倒す”という構図を演出することが“市民連合の最大の任務”であると訴えた。 
「今度の参院選における私たちの課題は、やはり“投票率を上げる”、そして“選挙戦にいろんな人が自分の問題として参加していく”ことです。単なる受け身の一投票者に留まるのではなく、自分たちが応援する候補を当選させるために一緒になって動くことが、今度の参院選のテーマでしょう」 
 
「今度の参院選の争点は大きく3つあります。1つ目は『安倍晋三にこのまま総理大臣を続けさせるのかどうか』で、安倍晋三という人間のキャラクターの問題を大きく争点化していくべきです。2つ目は『憲法と立憲主義の危機』で、与党は参院選で勝ったら間違いなく“改憲”を唱えるに決まっています。したがって、与党と補完勢力が参議院で3分の2の議席数を獲得することは絶対に許してはいけない。3つ目は『アベノミクスに終止符を打ち、人間を尊重する社会保障と経済政策を導入する』です」 
 
<市民参加型の選挙を作りたい> 
 
 3・11(東日本大震災&福島第一原発事故)を機に様々な運動を始めたというSEALDsの山本雅昭さん(獨協大卒)は、昨夏の安保関連法成立後に米国へ渡って直接見聞きした、米大統領選で民主党の候補者指名を争うヒラリー・クリントン前国務長官やバーニー・サンダース上院議員の選挙運動や、自らも参加した衆院北海道5区補選での池田真紀さんの選挙運動を紹介しながら、「今年の参院選では、市民参加型の選挙を作っていきたい」と熱く語った。 
 山本さんが強調した点は、次のとおりである。 
 
● 2014年衆院選における比例区の投票結果を見ると、有権者を1億人とすると、与党に投票した有権者は約2,500万人、野党に投票した有権者は約2,700万人、投票所に行かなかった有権者は約5,000万人であった。 
 この5,000万人は、消極的与党支持層・消極的野党支持層・完全無関心層に分類できるが、私たち市民連合がターゲットにしていかなければならないのは“消極的野党支持層”である。 
 消極的野党支持層の特徴は、仝柔権の政治は良くないと思っている、▲▲戰離潺スの失敗を認識している、生活が苦しく、政治を変えたい気持ちはある、ぬ簑螳媼韻呂△襪韻廟治が遠い、というものであり、ここから導き出せることは、“安保法制以外の生活イシューにも取り組むことが必要”、“「自分の問題だ」と思っていない有権者にも耳を傾けてくれるような取組が必要”ということになる。 
 
● 海外の選挙は、「投票に行く市民をどうやって自らの選挙運動に参加、応援させるか」を戦略として考えている。我々としても、選対本部と市民が協力し合い、候補者と市民の一体感を演出するための構図を作って宣伝していくイメージ戦略が重要である。 
 
● 衆院北海道5区補選の際、無党派層を呼び込んで投票率を上げるべく、小冊子「選挙ガイド」を作成したことは有権者からの反響が良かった。また、池田真紀さんの選挙運動に参加したい市民向けに情報サイトを立ち上げるなどインターネット上で池田真紀さんのPRに力を入れた。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、ムーブメント作りを促進する道具として有益である。 
 
 市民連合は今後、野党勝利の鍵を握る参院選1人区の32選挙区全てで野党統一候補と推薦の協定を結ぶことを目指しつつ(記者会見の時点で15選挙区)、各選挙区の野党統一候補選対と支援者の要望・要請に応じて現地に飛び、支援活動に当たっていくということだ。 
 
【市民×4野党党首 有楽町大街宣】 
 
ついに今週の日曜日!参院選のゆくえを左右する、とても重要な街宣があります。 
 
日時 6月19日(日)午前10時30分〜 
場所 東京・有楽町イトシア前 
登壇者 市民連合+4野党党首 
(民進党・岡田克也代表、日本共産党・志位和夫委員長、社民党・吉田忠智党首、生活の党・小沢一郎代表) 
司会 SEALDs(奥田愛基、高野千春) 
 
詳しくはこちらから http://sealdspost.com/archives/2033 


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