2016年07月13日20時14分掲載  無料記事
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コラム

父親の教え

   一家の父親、山田太郎が子供たちを茶の間に集めて、これからのことについて諭した。 
 
太郎 「 いいか、私の言うことをよく聞くんだ。お前たちが学校でどんな教えを受けてきたかは、だいたいわかっている。『言論の自由』とか、『個人の尊厳』とか、意味のない絵に描いた餅ばかりだろう。だが、もうそんな時代じゃなくなったんだ。いいか、自分が話したいことを話すことに特別な意味はないんだ。個人の意見などに意味はないんだ。よく覚えておきなさい。 
  よいか、一郎、みんなが夏休みに海に行きたい、と言っているときに、山に行きたいとか、そんなくだらないことを言うもんじゃないんだ。みんなが『海に行きたい』、というのなら、お前も『僕も海に行きたいです』と言うべきなんだ。そうしたら、みんなが幸せになれる。大切なことはみんなと一緒だということだ。みんなと一緒なら、寂しくない。たとえそれが間違っていたとしても、みんな一緒だから、お前だけいじめられたり、のけものにされたりすることもないからな。 
  それから次郎、もう神社に落書きをしたりするんじゃない。二度とするな。さぁ、わかったら、行きなさい。」 
 
  子供たちが出て行ったあと、太郎が一人、茶の間で新聞を読んでいると、垣根の外から「くそ親父!」という声が聞こえてきた。 


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