2016年08月10日14時19分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

「対岸の火事」ではない米国の食品情報の隠蔽

 米連邦議会が遺伝子組み換え食品の表示を義務付けた州法を骨抜きにする法律を制定(本紙既報)した出来事は、日本の消費者にも重大な影響がある。日本は遺伝子組み換え食品の大市場であり、その大部分は米国から輸入されている。その米国で情報隠ぺいが国策として行われていることは、国内の食の安全に重大脅威といえる。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 7月14日に米国連邦議会で成立した「農業マーケッティング法改正」は、遺伝子組み換え食品に限ってとはいえ、この食品表示の方法は、「情報弱者」といわれる人びとへの配慮がないという前に、明らかにすべき情報を隠そうという意図が透けて見え、反消費者の立場を鮮明にしているといえる。こうした食品表示情報の隠蔽は、決して米国特有のことではなく、日本の消費者委員会での食品表示をめぐる議論の中でも出てきている。「技術革新」であるとか「情報化社会」といった美名によって、明示すべき情報を隠されてはかなわない。 
 
 米国農務省による表示基準がどのようなもになるかはまだはっきりしない。しかし、その内容がどうであれ、ただでさえ不十分な日本の遺伝子組み換え食品表示制度への波及は無視できないだろう。TPP協定では遺伝子組み換え作物に関し情報交換のための作業部会の設置が決まったと伝えられている。こうした場や、日米2国間協議の場において、米国の表示を認めるように要求してくることは想像に難くない。表示基準の策定は遅くとも2年と期限を切られている。少なくとも、米国農務省による表示基準への注視が必要だ。 
 
 
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 ・No.713 米国上院 「GM食品非表示」法案を可決 
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