2016年08月23日15時00分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201608231500552

農と食

ネオニコ系農薬の使用が野生のミツバチ減少と関連 英研究チームが解析

 英国の研究チームは8月16日、1994年に始まったネオニコ系農薬の使用が、野生のミツバチ類の長期的な個体数減少と関連しているとする研究結果をネイチャーに発表した。最大30%ミツバチの減少を関連付けた最初の研究結果だとしている。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 英国の政府系研究機関である自然環境研究会議(NERC:Natural Environment Research Council)・生態学・水理学研究センター(CEH:Centre for Ecology and Hydrology)は、1994年から2011年にかけての18年間について、英国・イングランドにおけるネオニコ系農薬の使用と62種類の野生ミツバチ類の個体数の変化を調べた。その結果、ネオニコ系農薬の使用と、野生のミツバチ種の大規模で長期的な減少との間に関連があることを示唆しているという。 
 
 2002年からネオニコ系農薬によるナタネの種子処理が始まり、現在ではナタネ種子の85%に及んでいるという。この結果、ナタネから花粉や花蜜を得ている種が影響を受け、最も影響を受ける5種では少なくとも20%、最大30%減少したと見積もっている。いろいろな種類に訪花している種の影響との違いは約3倍あったという。 
 
 減少要因がネオニコ系農薬だけにあるわけではなく、気候変動などの要因も考えられるとしているが、ネオニコ系農薬(殺虫剤)で種子処理されたナタネから花粉と花蜜を得ている種は、10%以上の影響を受けているとしている。 
 
 EUは2013年12月、3種類のネオニコ系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)を一時的に使用禁止とした。欧州食品安全機関(EFSA)は2017年1月までに、一時禁止のネオニコ系農薬の検討を行っているが、このCEHの研究結果が、EFSAの検討に影響を与える可能性がある。 
 
 EUの一時禁止を受けて英国でも使用禁止となった。英国政府は2015年、緊急措置としてイングランドの一部でナタネへの使用を認めてる。 
 
 ・Nature Communication, 2016-8-16 [論文] 
  Impacts of neonicotinoid use on long-term population changes in wild bees in England 
  http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12459 
 
 ・NERC Centre for Ecology and Hydrology, 2016-8-16 [リリース] 
  New study: neonicotinoid insecticides linked to wild bee decline across England 
  http://www.ceh.ac.uk/news-and-media/news/new-study-neonicotinoid-insecticides-linked-wild-bee-decline-across-england 
 
 ・Nature, 2016-8-16 [記事] 
  Controversial insecticides linked to wild bee declines 
  http://www.nature.com/news/controversial-insecticides-linked-to-wild-bee-declines-1.20446 
 
 ・Guardian, 2016-8-16 [記事] 
  High pesticide levels on oilseed rape crops harm wild bees, scientists prove 
  https://www.theguardian.com/environment/2016/aug/16/high-pesticide-levels-on-oilseed-crops-harm-wild-bees-scientists-prove 
 
 
 英国での研究では、ナタネの種子処理に使われているネオニコ系農薬が大きな要因だとされた。日本では、イネの育苗からネオニコ系農薬が使用され、斑点米カメムシの防除としても散布している。農水省は、諸外国と使用形態に違いがあり、単純に比較できないという立場を崩していない。その一方、斑点米カメムシの防除に使用されるネオニコ系農薬がミツバチに被害を与えていることを認めている。しかし、残念ながら、禁止や使用規制などの有効な対策を採るつもりはないようにみえる。 
 
【関連記事】 
 ・No.712 ミツバチ被害:ネオニコ系農薬が原因 早い規制が必要 
  http://organic-newsclip.info/log/2016/16070712-1.html 
 ・No.718 フランス 18年9月からネオニコ系農薬を禁止 
  http://organic-newsclip.info/log/2016/16070718-1.html 
 ・No.713 英国 ネオニコ系農薬の緊急使用申請を却下 
  http://organic-newsclip.info/log/2016/16070713-1.html 
 ・No.564 EU:ネオニコ系農薬の一時禁止を決定 
  http://organic-newsclip.info/log/2013/13060564-1.html 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。