2016年10月03日23時51分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201610032351021

反戦・平和

シベリア抑留者支援センターEメイル・ニュース No.46(2016.9.22発行)

 9月11日(現地時間)に急逝された加藤九祚先生に続いて、昨日(9月21日)に世話人の猪熊得郎さんが他界されました。 
 猪熊さんは、8月23日国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑での「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」で閉会の挨拶を述べていただいたばかりで、ここ2年ほどは車椅子での登壇でしたが、今年は杖をついて立ってしっかりお話されていて、すこし回復されたかと喜んでいたのですが、急な逝去の報に驚きました。 
 
 加藤九祚先生のご遺体は、定子夫人とともに帰国。内輪の家族葬を終え、偲ぶ会は未定・調整中です(決まり次第ご案内します)。 
 今年もミャンマー、ウズベグに仏教遺跡を訪ねる旅と翻訳作業を最後まで続けておられました。11月の公開講座などの打ち合わせもあり、今年4回ほど吉祥寺の研究室でお目にかかり、歓談しましたが、本当に残念です。 
 NHKEテレで「こころの時代 シリーズ私の戦後70年 こころの壁を超える〜文化人類学者・加藤九祚〜」の再放送が9月23日(日)朝5時、10月1日(土)15時から予定されています。ぜひ録画を。 
 
 昨年10月に日比谷での抑留70年記念コンサートに車椅子で来てくださった101歳の金子武次さん(1956年12月26日に最後の興安丸で帰還。江東区在住)も9月1日に永眠されました。この1年間の時間の重さを痛感します。 
 
 10月8日から公開講座が始まります。11/5の第2回は加藤九祚先生の追悼講座になります。 
 
 第2回「シベリア抑留記録・文化賞」候補推薦の締切は9月30日です。推薦をお願いします(自薦・他薦可)。 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
【訃報】猪熊得郎さん(88歳)逝去 
 シベリア抑留者支援・記録センター世話人で、不戦兵士の会代表世話人、戦場体験保存放映の会呼びかけ人、平和祈念展示資料館(新宿)の語り部などを務めておられた猪熊得郎さんが昨日9月21日逝去されました。 
 19日に持病の胆石治療・手術のため横須賀市民入院したところ、肺炎・敗血症を併発して急に容態が悪化して、昨日(21日)朝7時に横須賀市内の病院で逝去されました。(死因は敗血症) 
 昭和3(1928年)年9月16日東京・日本橋生まれ。享年88歳。 
 二つ上の実兄は海軍の人間魚雷回天特攻隊白龍隊員として沖縄出撃途上18歳で戦死。自身は15歳で志願し、満州で敗戦。陸軍伍長。17歳の時にソ連に抑留され、アムール州シワキ、沿海州クラスキノ、ワエントーラ、ウオロシロフ等の収容所で製材、伐採、貨車積載、道路工事、ソフオーズなどの労働に従事。1947年12月ナホトカより舞鶴港に上陸復員(19歳)。 
 晩年、戦争体験を語る活動に参加し、戦争反対を訴え続けてこられました。ドキュメンタリ−映画「語らずに死ねるか!無名の元兵士たちの声」(長尾栄治監督、ユニモト製作、2009年)では主人公を務めるなど発信力のある方でした。先月8月23日国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で開催された「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼の集い」の最後に閉会の挨拶(別記)をされたのが、公の場での最後の発言となりました。 
 心よりご冥福をお祈りします。 
 
 なお、猪熊さんの肉声証言やインタビュー、手記はかなり多く残されています。 
ブログ:「少年兵兄弟の無念」 http://shounen-hei.blogspot.jp/ 
証言: 
http://www.jvvap.jp/inokuma_tokurou.html 
http://www.heiwakinen.jp/library/video/kataribe2.html 
https://www.youtube.com/watch?v=cEro8XccUhs&feature=youtu.be&t=5m25s (MBS) 
https://www.youtube.com/watch?v=AG--updqzB4 (2015.10.15TBSラジオ) 
http://www.yokosuka.bona.jp/Image/Inokuma-Shonenheinomunen.pdf (横須賀市民九条の会講演録) 
 
■8/23 第14回「シベリア・モンゴル抑留犠牲者追悼のつどい」閉会の挨拶〔猪熊得郎(元抑留者・神奈川)〕 
 このお暑い中、多数お集まり下さいまして、ありがとうございます。 
 私は15歳の時に少年兵を志願して、戦争が終わり、アムール河を渡り、シベリアに抑留されたのが、17歳の時でした。私の収容所では、6人に1人の戦友が亡くなりました。戦友が亡くなる時、「日本に帰りたい」「米の飯が食いたい」「お母さん」・・・そう言って亡くなったことを私は忘れることがありません。 
 私自身も、左足の親指が2cmほど短くなっています。凍傷にかかりました。薬もありません。皆に肩を押さえてもらって、はさみで足の指先を切り離しました。お蔭で、骨まで至らず、歩けるようになりました。 
 戦友が下痢をすると嬉しくなりました。「ああ、この戦友の飯が食える」と。「できれば、明日もこの戦友の下痢が続いてくれ。明日もまたこの戦友の飯が食える」と、そう思ったのでした。 
 戦友たちが亡くなると、遺体は医務室の前に並べてあります。翌日の朝までには全部裸になっていました。戦友たちの衣服は皆がはぎ取って、ロシア人とパンと交換して生き延びたのです。そういう中で、何とかしてたちはあの零下30度の冬を働き、貧しい生活の中を生き抜いてきました。戦友たちがどんなに、国に帰りたかったでありましょうか。 
 何の理由もなしに、シベリアに抑留され、重労働を課せられ、零下30度の寒さの中で働かされ、貧しい食事の中で生き抜いてまいりました。 
 私たちは、あの戦友たちの亡くなった悲しさ、苦しさを忘れることができません。どんなに日本に帰りたかったでしょうか。どんなに家族に会いたかったでしょうか。私たちは、亡くなった戦友たちのことを想い、このようなシベリア抑留などというようなことが再び起きることのないよう平和を求め、闘い続けたいと思います。 
どうかよろしくお願いいたします。 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
【情報&催し物案内】 
◆特別展示「収容所の日々 シベリア抑留を描く Vol.4」 
<日時>10月4日(火)〜10月10日(月・祝)10:00〜19:00 
<会場>九段生涯学習館 2階 九段ギャラリー⇒ http://www.kudan-ll.info/guide/info 
<展示>小澤耕一郎《戦いは終って》、小野文雄《作業に行く》、佐藤清《収容所の冬景色》、早田貫一《バーム鉄道建設》など 
詳しい情報はこちらから⇒ http://www.heiwakinen.jp/event_outsite/20160715-1594.html 
 
◆公開講座「日ソ共同宣言・シベリア抑留帰還60年―日ソ・日ロ関係と帰還者たちの歩み」 
 シベリア抑留にピリオドを打った1956年「日ソ共同宣言」が日本とソ連・ロシアの戦後に与えた政治的・外交的・社会的な意義と課題について考える。 
 また、昨年に続いて90歳を越える体験者の貴重な記憶と意見を聴き、抑留体験が戦後の個人史にどう反映したのかを考える。抑留体験を父親や関係者から聴き、活字や漫画で伝える試みの意味と可能性を、執筆者を招いて考える。受講料=各回千円。 
<会場>大阪経済法科大学・東京麻布台セミナーハウス(港区・神谷町) 
(会場地図)http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/access.html 
 。隠扱遑呼(土)14:00『日ソ共同宣言』60年目の課題―領土・平和条約・抑留解明―」 
講師=下斗米伸夫(法政大学教授) 
◆。隠鰻遑菊(土)14:00「抑私のシベリア抑留体験―考古学者・加藤九祚さんに聞く―」 
講師=加藤九祚(国立民族学博物館名誉教授) 
 12月10日(土)14:00「抑留体験の伝承と表現―体験はどこまで伝えられるか?―」 
講師=おざわ・ゆき(漫画家)+山崎まゆみ(フリーライター) 
申込・連絡先⇒大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター 
(Tel:03−5545−7789 Fax:5545−7788、WEBでも申し込み受付中) 
詳細⇒ https://www.keiho-u.ac.jp/academia16/ 
 
◆「引揚70周年記念の集い」―満州・樺太・朝鮮・台湾、いま振り返る「引揚げ」の検証― 
<日時>10月20日(木)13:30〜17:30 
<会場>銀座ブロッサム中央会館(入場無料) 
<内容> 
基調講演:加藤聖文氏(国文学研究資料館准教授) 
シンポジウム:藤原作弥(元日銀副総裁)、松重充浩(日本大学文理学部教授)、渡邊三男(全国樺太連盟会員)、井上卓弥(毎日新聞記者)、河原功(台湾協会理事) 
<主催>国際善隣協会 
<共催>台湾協会 
<後援>厚生労働省・東京都・NHK 
<協力>樺太連盟 
 
◆ロシア・東欧学会(JSSEES)2016年合同研究大会シンポジウム「記憶の政治とシベリア抑留問題」 
<日時>10月30日(日)14:10〜16:50 
<会場>京都女子大学C501号室 
(会場地図)http://www.kyoto-wu.ac.jp/access/index.html 
司会:藤本和貴夫(大阪経済法科大学) 
基調報告:富田武(成蹊大学名誉教授)「記憶の政治と抑留研究」 
報告:薄井憲二(公益社団法人日本バレエ協会前会長、抑留体験者)、長嶺睦(舞鶴引揚記念館学芸員) 
討論:袴田茂樹(新潟県立大学) 
 連絡先(E−mail): jarees_office@yahoo.co.jp 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
【図書・資料ご案内】*事務局で取扱中 送料は100円 
● 加藤九祚著『わたしのシベリア体験から』(関記念財団、2015年)400円 
● 渡辺祥子著『魚と風とそしてサーシャ』<第1回シベリア抑留記録・文化賞受賞>(桜美林大学北東アジア総合研究所、2013年)800円 
● 原田充雄著『シベリア抑留・虜囚の詩』(自費出版、1999年)2,000円 
● 池田幸一著『アングレン虜囚劇団』<復刻版>(サンケイ出版、1981年)1,500円 
● 『捕虜体験記』(ソ連における日本人捕虜の生活体験を記録する会刊、全8巻、1984〜1998年) 
全8巻セット特価23,000円、各巻特価3,500円(送料込) 
第4巻「ハバロフスク地方篇」、第7巻「タイシェット・イルクーツク篇」は在庫なし。 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
【事務局より】 
 _弾6繝、猪熊得郎さんらの相次ぐ訃報にショックを受けています。急ぎ、年表などをまとめて、「通信」次号に掲載します。14号の発送作業は9月30日の予定です。16頁の予定が8頁の増頁になりました。 
 
◆仝詰淮閏圓遺された資料・原稿・図書・録音テープなどをご遺族より寄託され、大阪経済法科大学・東京麻布台セミナーハウス7F(「抑留問題資料室」)で整理作業を行っています。作業を手伝って下さるボランティアを募集中です。当面、毎週月曜日を作業日にしています。(10月3日、17日、24日、31日。いずれも10:30−15:00 *10月10日は祝日のため休みます。) 
 
 資料等を寄贈いただく場合は、下記の宛先にヤマト・宅急便(着払い)でお送り下さい。 
(宛先)〒106−0041 東京都港区麻布台1−11−5 大阪経済法科大学・麻布台セミナーハウス7F 
 抑留問題資料室あて(Tel:080−5079−5461) 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
≪シベリア抑留者支援・記録センター≫ 
(住所)〒102−0074 東京都千代田区九段南2−2−7−601 
(Tel)03−3237−0217 / 080−5079−5461 
(Fax)03−3237−0287 
(E-mail)cfrtyo@aol.com / cfrtyo@gmail.com 
(Web)http://sdcpis.webnode.jp/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。