2016年10月13日00時52分掲載  無料記事
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福島から

安全保障関連法成立から1年〜福島で市民と野党が合同街頭集会を開催

 安全保障関連法の成立から1年となる9月19日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、国会前において「戦争法廃止!9.19国会正門前行動」を行い、集まった国会議員や学者、市民など約2万3000人(主催者発表)が安全保障関連法廃止などを訴えた。 
 この行動に連帯した取組は、全国各地で行われ、福島市では9月18日、JR福島駅前において、安全保障関連法の廃止を求めるふくしま県市民連合(以下、ふくしま県市民連合)が主催する「安保法強行一周年抗議・市民と野党の合同街頭集会」が行われた。 
 集会では、県内野党3党(民進党、共産党、社民党)の代表者や市民団体メンバーが「安倍政権の政治は平和を脅かすもの」「次の衆院選でも野党共闘を実現させよう」などと訴えた。 
 
<野党3党代表者の発言> 
 合同街頭集会では、まず始めに、今夏の参院選福島選挙区で野党統一候補として当選した民進党・増子輝彦参院議員ら野党3党の代表者が発言に立ち、今後の野党共闘などについて発言した。 
 
「衆院選は各小選挙区の事情があるので、参院選のように野党共闘が上手くいくかどうかは分かりません。しかし、何より大事なことは皆で力を合わせていくことですから、今後の野党共闘に関して、我が民進党も党内で議論を重ねて、それほど遠くない時期に結論を出さなければならないと考えています。 
 安全保障関連法の成立から1年が経ちましたが、安倍政権が同法に基づき自衛隊の駆け付け警護付与に着手することは間違いありません。また、安全保障関連法によって、日米一体の軍事行動が行われることになり、『日本はアメリカと一体だ』と見なされれば、日本が攻撃対象となるのです。そのような状況を阻止するためにも、今こそ、党派を超えて結集することが必要です。」(民進党・増子輝彦参院議員) 
 
「安全保障関連法成立直前の1年前、国会前では連日、多くの市民が『安全保障関連法案反対』の声を上げていました。そして、法案が成立したとき、国会前にいた人たちは誰一人として諦めた表情をしておらず、『戦いはこれから』『安全保障関連法廃止、安倍内閣退陣』『野党は共闘』といった声が響き渡っていました。 
 このような中、共産党は『国政選挙で野党が共闘し、安全保障関連法を廃止させよう』と呼びかけましたが、その背中を押してくれたのは福島県を始めとする全国各地で声を上げてくださった市民の皆さんの力があったからです。市民が時の権力に勝手なことをさせないのが立憲主義であり、その思いが野党共闘につながったのです。 
 主権者は市民一人一人なのですから、安倍政権の憲法無視の暴走を許さず、改憲阻止の戦いを続けていきましょう」(日本共産党・高橋千鶴子衆院議員) 
 
「今、安倍政権が憲法に盛り込もうとしている緊急事態条項は、国家のためなら市民の生活を犠牲にしても構わないというものであり、国家のためという理由で市民の行動する自由を奪ってしまおうとしています。また、安倍政権は、トルコに対して原発を輸出しようとしていますが、この根本には核兵器を作る技術を日本に取り入れようとの考えがあるのです。 
 安倍政権が進める政治は、平和を脅かす政治そのものです。社民党はこのような政治を許さず、憲法25条に規定する生存権を市民一人一人が享受し、平和を守る政治の実現のため、次の衆院選でも民進党、共産党とともに力を合わせていきます」(社民党福島県連合会・紺野長人代表) 
 
<市民団体メンバーの訴え> 
 続いて、安全保障関連法廃止などを目標に掲げて、福島県内で結成された各市民団体のメンバーが、安全保障関連法の廃止や野党共闘の継続を求めて声を上げた。 
 
「安倍政権は、憲法に緊急事態条項を盛り込み、大災害があったときに首相に全権限が集中するようにしようとしています。このような条文が憲法に規定されれば、市民の権利は全て奪われてしまいます。今夏の参院選では、東日本大震災被災地の福島・宮城・岩手3県全てで野党統一候補が当選しており、緊急事態条項は必要ないということが示されています。市民の手に政治を取り戻すため、引き続き力を合わせていきましょう」(「ふくしま県市民連合」共同代表・坂本恵さん) 
 
「今、私たちが望んでいることは、憲法に則った政治を行ってほしいということです。参院選での野党共闘は、野党間の都合で決めたことではなく、私たち市民の政治を変えてほしいという思いから実現したものです。野党には、そうした市民の思いに最大限応えてほしいと思います。それと同時に、私たちも政治家任せにすることなく、一緒に政治を作っていく、政治を変えるという思いを持ち、次の衆院選でも野党共闘を実現させましょう」〔DAPPE(平和と平等を守る民主主義アクション)・久保田亮さん〕 
 
「1年前、安全保障関連法が成立した時、私たちに負けたという気持ちは全くなく、むしろ、ここからがスタートなんだという気持ちを強く持ちました。その後も『立憲主義を守れ』『憲法を守れ』と叫び続けてきた結果、福島県では野党が共闘し、参院選福島選挙区での野党統一候補当選につながったのだと思います。私たちの声をしっかりと聞き、それを国政の場で実現してくれる野党が団結することを願っています」(「ミナセンなかどおり」共同代表・人見やよいさん) 
 
「安全保障関連法が施行されたことで、海外派遣される自衛隊が戦闘に巻き込まれ、命の危険に晒されるということが現実的になっています。また、子どもたちの貧困が問題となっている今、経済的徴兵につながるのではないかということが危惧されます。現役自衛官の命を守り、そして、子どもたちの未来を守るためには、安全保障関連法を廃止するしかありません」(「戦争法廃止・立憲主義の回復・福島原発全基廃炉を求めるふくしま市市民連合」・村上弘美さん) 
 
 集会の最後に、ふくしま県市民連合共同代表の坂本さんは「衆院選でも野党が共闘するためには、とりわけ各地域での市民の力が重要になってきます。今後も、これまで以上の取り組みを県内各地域で進めていきましょう」と集まった市民に呼びかけた。 
 
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 東京・永田町では、年明け早々の衆院解散が囁かれ始めているという。次期衆院選に向けて、福島県内の野党共闘をいかに進めていくべきか。民進・共産・社民の県内野党3党だけでなく、市民団体側も対応が急がれよう。ふくしま県市民連合を始め、県内各地域の市民団体の取組に注目していきたい。(館山守) 


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