2016年10月15日22時03分掲載  無料記事
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国際

プーチンのパリ訪問は最終的に中止 戦争犯罪者の受け入れをオランドは躊躇  飛田正夫

 日本では安倍政権がプーチンを迎えて領土問題解決と浮かれているが、フランスでは10月19日に予定されていたロシアのプーチン大統領のパリ訪問が中止になった。仏国営ラジオ・フランス・アンフォが11日午後に最終的にロシアはフランス訪問を中止したと伝えた。フランス政府はシリアの独裁者アサド大統領を支援しアレッポ(Alep)東部地区を空爆するロシアを軍事犯罪行為と批判していた。(パリ=飛田正夫) 
 
 国連安保理ではロシアは孤立化して15カ国の常任理事国の2カ国しかシリアを支援する国は無くなった。パリ訪問の中止はフランスの強靭なシリア空爆停止にロシア側が躊躇したためだと思われる。先週、オバマ米大統領もロシアの戦争犯罪を指摘していてロシア側の態度が緊迫してきた模様。オランド仏大統領にあってはこのような態度のロシアのプーチン大統領を共和国フランスに迎えるべきなのかどうかに躊躇していたという。 
 
 
 オランドは、サルコジがシリアの独裁者アサド大統領を招待して赤い絨毯を踏ませ7月14日のパリ祭の軍隊の閲兵式まで謁見させている。リビアの独裁者カダフィを国家来賓で迎えたり、ガボンのオマーとその息子アリ・ボンゴの50年に渡る独裁政治をサルコジが称賛していて父親にレジョンドオヌール勲章を贈ったりしたが、オランドはそのような悪者との付き合いはしたく無いと考えている。 
 
 プーチン大統領のフランス訪問は在ロシア大使がロシア文化センターの開幕式に私的な訪問を通告していたもので、当時はオランド仏大統領はこの開幕式に参加しプーチンとの会談も考えていた。しかし春ごろからシリアのアレッポ(Alep)への攻撃が強化され人権を損ねた病院施設などへの空爆や殺戮行為に対し、フランスは人権擁護の立場から停戦と空爆の即刻停止を国連に要求していた。 
 
 フランスのジャン・マルク・アイロー首相はロシアのプーチン大統領のシリア空爆を辞めさせようとロシアを訪問したが、会見を拒否されて成功しなかった。 
 
 ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergueï Lavrov)外相は交渉は別にしてプーチンはオランドとシリア危機に関し会談することを宣言していた。アイロー首相はもしプーチンが来るというのなら、それは外交辞令ではなくて真実を語る為に来るべきだとし、アレッポ東部地区を空爆するロシアの支援は戦争犯罪の共犯だと訴えていた。 
 
(「仏メディアの旅」から) 
 
【参考記事】 
http://www.francetvinfo.fr/monde/russie/visite-de-poutine-a-paris-la-valse-hesitation-de-la-france-en-cinq-actes_1866465.html 
http://www.atlantico.fr/pepites/visite-vladimir-poutine-en-france-reportee-2846810.html 
http://www.francetvinfo.fr/monde/russie/visite-de-poutine-a-paris-la-valse-hesitation-de-la-france-en-cinq-actes_1866465.html 
http://lemonde.co.il/2016/10/11/la-visite-en-france-de-vladimir-poutine-prevue-le-19-octobre-est-reportee/ 


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