2016年11月06日15時06分掲載  無料記事
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アフリカ

FBI長官ジェームス・コミー  アメリカ大統領戦の人形使い  平田伊都子

 いまいち盛り上がらなかったアメリカ大統領戦を、クライマックスで外野の日本人に面白く見せてくれたのは、操り人形使いのFBI長官ジェームス・コミーです。 彼に操られる人形は、主役の共和党大統領候補トランプと民主党大統領候補クリントン、、そして、続々と登場してくるのが、ビル・クリントン、フマ・アベディン、アンソニー・ウィナー、、、そして、ジョン・エドガー・フーバー、、などなど、そうそうたるキャラクターです。 
 
(1) アメリカ大統領戦の人形使い: 
 2016年10月28日、FBI長官ジェームス・コミーが アメリカ大統領選民主党候補のヒラリー・クリントン国務長官在任中に、政府の重要機密情報を取り扱ったとみられるメールが新たに見つかったので、捜査を再開したと議会に書簡を送った。メールは、クリントンの最側近の一人、フマ・アベディン氏と夫のアンソニー・ウィーナー元下院議員が使っていたコンピューターから見つかった。  ウィーナーのコンピューターは9月に、未成年者の性的な写真などを送った児童ポルノ容疑で、没収されていた。 
 クリントン・メール再捜査発表は、FBI長官本人が大統領選挙攪乱を狙っていたのか?大統領選挙を操ろうとしていたのか?誰かの指示を受けたのか?真相はジェームス・コミーFBI長官本人にしか分からない。とにかく、アメリカは、特にクリントン選挙対策本部は大騒ぎになった。なりふり構わずコミーFBI長官を攻撃した。クリントンはオバマ大統領や司法長官や議会にあたり散らし、反コミーFBI長官のキャンペーンを張った。 
 そして、肝心の大統領選挙戦では、相変わらず「尻を触った、胸を触った、、」という類の下ネタを買い漁り、悪口雑言で相手候補者を揶揄する。下ネタに関しては、クリントン家の長・ビル・クリントンの方が百倍助平なのに、クリントン一家は全く知らん顔、、お行儀のよろしい超一流のエリート一家は、娘まで登場させ、「マミーの方が好き」とヒラリー候補の応援を続ける。母・ヒラリー本人は「トランプは女性を馬鹿にし、有色人種を侮辱し、身体障碍者をないがしろにする」と、有権者に向かって叫ぶ。 
 日本人は、誰がアメリカ大統領になろうと部外者なのだが、土壇場にきてのみっともないクリントン一家のキャンペーンには、唖然としガッカリした。 
 
(2) FBI長官ジェームス・コミーとは?: 
 ジェームス・コミーは1960年アメリカ生まれの弁護士で、共和党を支持している。2002年12月から2005年8月まで、コミーはアメリカ司法省第二級高官を務めた。と同時にCIA関係のイリノイ州シカゴ市弁護士でもあった。その後もアメリカ法曹界で活躍し、2013年、オバマ民主党大統領から、FBI(連邦捜査局)長官の指名を受けて現在にいたっている。 
 7月にクリントン氏を起訴しないという発表をした時、コミー長官はクリントン氏の行動を批判し、新たな情報が見つかれば調査を再開すると発言した。この時点で自動的に、コミー長官は議会に対して事件の報告を続けることを義務づけられたと、推測する元連邦検察もいる。が、FBIには伝統的に<アンタッチャブル>、触れるな!関与するな!の精神が流れている。 
 イスラエル紙ハーレツは「民主党のオバマ大統領から指名を受けたコミーFBI長官は、民主党に歯向かっているのではない。彼は淫らなビル・クリントンに反発しているのだ。それは潔癖さくる一途な嫌悪感がなせる業だと言える。1970年代までにフーバーFBI長官が築き上げた栄光の組織を、フーバー長官死後に起こったウオーターゲート事件を始めとして、民主党が潰した、、そのおかげで、FBIの権威はもがれ、FBI長官の任期は10年と制限がつけられた、、FBIは、(胴饌臈領、➁米国司法長官、J胴餤腸颪箸い三大ご主人に、頭が上がらなくなった」と解説している。 
 
(3) アメリカ大統領の人形使い: 
 FBI)はアメリカ合衆国司法省配下の法執行機関。連邦法に関する事案の捜査を任務としている。逮捕権のみで起訴権をもたず主にアメリカ国内で捜査を行う。1908年7月26日、セオドア・ルーズベルト政権当時に、財務省の秘密捜査部から独立して数人の規模で、BOI(Bureau of Investigation : 捜査局)が司法省内に設立された。現在のFBIに改名したのは1935年7月1日だ。 
 1924年5月10日にジョン・エドガー・フーヴァーが29歳の若さで長官となり、綱紀の粛正を徹底し職員の私生活を調査し、不倫・同性愛・借金、さらには体重などを理由に次々に職員を解雇していった。8代の大統領に仕え以後48年間に渡り、ギャング狩り(1930年代)、スパイ摘発(第二次世界大戦中)、政治活動家の調査(冷戦期以降におけるマッカーシズムによる、いわゆる“赤狩り”)など、時代の要請に応じて様々な捜査活動を指揮した。フーヴァーはFBIとは別に非公式に政治家達の情報を収集し、スキャンダルも記録していたので、大統領も彼に手を出せなかった。フーヴァーはまさに、<アメリカ大統領の人形師>だった。ケネディ大統領も、海軍に勤務していた20歳当時、女性との性的な関係を実際にフーヴァーから盗聴されていた。 
 しかし、他人をスキャンダルで脅迫するフーヴァーこそ、スーパー・スキャンダラス人間だった。競馬など賭博好きのフーヴァーは、賭博に強い影響力を持っていたフランク・コステロやサム・ジアンカーナ、マイヤー・ランスキーなどのマフィアに対しては、手を出さなかった。彼の死後、マフィアから収賄があったことが明らかになっている。フーヴァーが同性愛者であり、カワイ子ちゃんルックを身に着ける服装倒錯者だった。FBIアシスタント・ディレクターのクライド・トルソンと40年以上関係があり、二人は共に休暇を取り、毎日昼食を共にしていた。二人とも生涯独身だった。 
アメリカ大統領の人形使いに興味をお持ちの方は、<大統領たちが恐れた男(Official and Confidential・公式かつ機密)>をお読みください。 
 
 FBIと言えば、実録映画「アンタッチャブル」(1987年パラマウント配給)を連想してしまいますが、正義の主人公エリオット・ネスはアメリカ財務省捜査官でFBI捜査官ではありません。 
ギャングの親分アル・カポーネを逮捕したことで「アンタッチャブル」(触るな)という題の自伝をオスカー・フレイリーに書かせ、ネスは英雄になりました。 ネスはFBI捜査官を目指しましたが、フーヴァーFBI長官が阻んだそうです。 理由は、アル・カポネ逮捕を目指していたフーヴァーが、先を越されたネスに焼き餅を焼いたからだとか? 
 下々によくある下ネタですね、、 
 
 
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 イラスト:川名生十 カメラマン 


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