2017年02月01日03時51分掲載  無料記事
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国際

トランプ大統領のムスリム入国禁止令に市民団体ACLUらが訴訟  <大統領令は米憲法・修正第五条と移民法に抵触している>

  アメリカの市民権擁護団体ACLU(American Civil Liverties Union)はそのホームページで他の組織とともに、7か国を対象としたいわゆるムスリム入国禁止令を大統領令として出したトランプ大統領に大使て訴訟を行ったことを発表した。 
https://www.aclu.org/cases/darweesh-v-trump 
  原告の一人がHameed Darweesh氏でイラク人。妻と3人の子供を持つ。イラクで米軍の仕事を行っていたことで命が危なくなっているため渡米しようとしていた。もう一人の原告も米国との関係によって地元で危険が生じているとされる。 
 
  トランプ大統領の大統領令は1月27日に出された。そのため、イスラム7か国の国民は米国に一時的に入国できなくなっており、先ほどのDarweesh氏らもNYのJFK空港に降り立ったものの入国できず、空港内に留め置かれ、送還される危険もあるとされる。 
 
  ACLUはトランプ大統領の大統領令は米憲法修正第五条のデュープロセス(法の適正な手続き)に違反しており、さらに移民法にも反しているためとしており、これが訴訟の理由のようだ。犯罪者でもないのに自由に入国できないのは市民的権利の不当な制限であり、アメリカ国内法および憲法の定める法的手続きも無視したものであるということだろう。 
 
  原告をサポートする原告団は以下。市民権の擁護団体以外に、難民支援団体、移民法に関する組織、イェール大学のロースクール内の組織、そのほか法律事務所も参加している。 
 
 Counsel for plaintiffs are the American Civil Liberties Union, the International Refugee Assistance Project at the Urban Justice Center, the National Immigration Law Center, Yale Law School’s Jerome N. Frank Legal Services Organization and the firm Kilpatrick Townsend & Stockton. 
 
 
※修正第五条 (ウィキペディア) 
(大陪審の保障、二重の処罰の禁止、デュー・プロセス・オブ・ロー、財産権の保障) 
 ・何人も、大陪審の告発または起訴によらなければ、死刑を科せられる罪その他の破廉恥罪につき責を負わされることはない。ただし、陸海軍、または戦時、もしくは公共の危険に際して現に軍務に服している民兵において生じた事件については、この限りではない。 
 ・何人も、同一の犯罪について重ねて生命身体の危険にさらされることはない。 
 ・何人も、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されることはなく、また法の適正な手続きによらずに、生命、自由または財産を奪われることはない。 
 ・何人も、正当な補償なしに、私有財産を公共の用のために徴収されることはない。 
 
 
■Hameed Darweesh氏、拘束を解かれて米国に入国を認められる(ABC) 
https://twitter.com/ABC/status/825423374570643456 
  入国を認められたDarweesh氏は「アメリカは自由の地だ。とてもうれしい。感謝する」と答えている。 
 
■Here Is Some of the Human Misery Caused by President Trump’s Muslim Ban From Those Most Impacted 
https://www.aclu.org/blog/speak-freely/here-some-human-misery-caused-president-trumps-muslim-ban-those-most-impacted 
  Darweesh氏は入国を許可されたものの、未だに足止めを食らっている人々が多数に上るらしい。ACLUは大統領令を裁判で争う構えだ。そして、このウェブサイトで何人かの足止めを受けている人々の声を伝えている。米国に入国を目指してきた人々の中には祖国で売れるものはすべて売り払ってきたという人もいるようだ。 


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