2017年02月11日03時46分掲載  無料記事
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里中哲彦著 「英文法の魅力〜日本人の知っておきたい105のコツ」

  里中哲彦著 「英文法の魅力〜日本人の知っておきたい105のコツ」は中公新書から出ている一冊です。里中氏は著者の紹介欄を読むと、河合塾の講師や翻訳の仕事などをしてきた人です。で、この105のコツを1つ1つ読んでいくと、とても面白い。どう考えてよいのか、もやもやする表現というのが常にあるものですが、それを文法的にどう考えればよいのかを1つ1つ説明しているのです。 
 
  たとえば「will be 〜ing」という表現の解説が#18でされています。この表現は確かに新幹線に乗ると必ず耳に残る表現です。 
 
  This is the Nozomi Super Express bound for Shin-Osaka .We will be stopping at Okayama and Shin-Kobe stations before arriving at Shin-Osaka terminal. 
 
で、この表現には3つの用法があり、その1つが上のように「あらかじめ決まっている予定をあらわす」とされます。考えてみると、このような未来の進行形は耳にすることがあっても、自分から一度も使ったことがありません。それは文法的な意味がわかっていなかったからに他ならないと思います。 
 
  で、こんなの習ったことなかったな、と思って高校生向けの参考書を取り出してみると、未来進行形の説明が確かに出ていました。現在進行形や過去進行形より使用頻度はずっと低いともあります。「未来進行形は意図を含まず、成り行きや外部の事情で決まったことを表すことがよくある」(INSPIRE総合英語)。僕が忘れただけで、習っていたのかもしれません。 
 
  ただ、それとは別に里中氏も3つの用法で説明しているように「未来における進行形」もあります。これが未来進行形の一番わかりやすい用法でしょう。だからこそ、意図を含まず、あらかじめ決まっている事情を伝えるこの用法が盲点になっていたのだと思います。 
 
  さて、先ほどの#18の「will be 〜ing」の解説は、これは41歳の女性の質問に答える形での解説になっています。もともと東京新聞と中日新聞の「英語の質問箱」という欄に掲載されていたコラムをもとにまとめられたものだということです。ですから、たくさん寄せられた質問の中で文法事項がしっかり語れて、読者に有益なものを選んで編纂されたのでしょう。実際、ちょっと盲点になっているところを手当してくれる一冊です。 


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