2017年02月17日12時34分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  モロッコが西サハラの塩を泥棒  平田伊都子

「塩を摂らないように」とは、よく聞く言葉です。 しかし、塩は食用よりもその多くが工業用に使われています。 日本では、塩全消費量の85%をメキシコやオーストラリアからの輸入に頼っています。 日本は世界一の塩輸入国だそうです。 
 ヨーロッパでも塩の輸入が盛んです。 モロッコ占領地・西サハラは大西洋に面した1.200キロメートル以上の海岸線持ち、未開拓の天然塩が噴き出ています。 商いに長けたモロッコの王様は西サハラの塩に目を付けて、ヨーロッパと闇取引をしています。 なぜ闇取引なのかって? それは、EU司法裁判所が2016年12月に、モロッコ占領地・西サハラの天然資源に手を付けてはいけないと、決論を下したからです。 
 
(1) デンマークがモロッコ占領地・西サハラ産物の輸入を中止: 
 デンマークのダニッシュ・ヴェジュサルト会社が、2017年1月31日をもって、占領地西サハラ産物の輸入を禁止すると発表した。同社は、「モロッコとEUの自由貿易に関するEU司法裁判所の判決を遵守し、西サハラ天然資源に関して不法な活動や探索は今後一切やらない」と、断言した。2016年12月20日に、EU司法裁判所はEUとモロッコ間のいかなる商取引も、西サハラを含んではいけないと釘を刺している。西サハラは国連が明記しているように、モロッコとは関係のない別の地域だと、同裁判所は断言している。 
 デンマークに拠点を置き、反植民地運動を続けているネット組織<アフリカ・コンタクト>は、ダニッシュ・ヴェジュサルト会社のモロッコ占領地・西サハラ産物の輸入中止を称賛した。 
 
(2)EU (欧州連合)とマグレブ諸国との会議: 
 2017年2月9日にブリュッセルで、ヨーロッパ議会議員たちがモロッコに対して、西サハラ問題に関する国際法を遵守し国際世論を尊重するように呼びかけた。さらに、2012年に結ばれたモロッコとEUの、西サハラを含む漁業農業契約を非難した。 
 <マグレブ諸国との友好>を目指す会合で、ヨーロッパを代表してマリア・ギメネス・バルバは、「AU復帰を果たしたモロッコは、早急にAU憲章とAU原則に従わなければならない。AU憲章3と4のBに、そのことが明記されている」と、モロッコに迫った。モロッコEU代表アハメド・レダ・チャミは、「モロッコはAU原則を認識したうえで、AU加盟にサインした」と反論した。この件に関してヨーロッパ代表マリアは、「モロッコが従うべきAU原則とは、AU参加諸国の独立と領土権を守り尊重することだ」と、モロッコに、AU正式加盟国である西サハラ・アラブ民主共和国の承認を促した。 
 
(3)フランスは、モロッコが盗んだ塩を密輸入: 
 2017年2月11日、フランス・ノルマンデイー地方のルーアンに、西サハラ物産を積んだ2番目の船が着いた。 この町は、1431年にジャンヌダルクが火あぶりにしたことで有名だ。2017年2月4日、「モロッコ占領地・西サハラのラユーン港に塩を積んだBBCマゲララン号が停泊している」という報せを受けたWSRW(西サハラ資源監視)が、ルーアンに張り込んでいた。塩であれ何であれ、西サハラ物産にはUN国連、EU欧州連合、EU司法裁判所などが、禁採掘、禁採取、禁集魚、禁輸出のレッテルを貼っている。にも拘らず、フランスは西サハラの禁輸物産をモロッコから密輸入している。 
 「フランスの魚油専門会社オルベア社が魚油をモロッコから密輸入している」という記憶に新しい事件も多々ある。大量の魚油がモロッコ占領地・西サハラの港で船積みされ、フランス・ノルマンデイーのフェカン港に接岸している。フェカン港はかって、タラ漁で栄えた漁港だそうだ。 
 
日本神道で、塩は穢れを祓い清める力を持つとみなされています。ご存知のように、相撲においては、取組み前に塩を使って土俵を清めます。 
 モロッコ国王陛下、他国の神聖な塩を盗るのはお止めください。 
 モロッコ国王陛下、老婆心ながら、陛下御自身も塩を摂るのをお控えになったほうがよろしいのでは? 金正恩閣下の体形に限りなく近づいてきたようにお見受けします。 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之     2017年2月17日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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