2017年03月01日11時21分掲載  無料記事
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政治

連戦連勝の自民党にとって難しい時期 安倍政権続投のリスク

  連日、森友学園を巡る疑惑で国会での質問が首相に集中し、求心力が低下している安倍政権。安倍総裁を抱える自民党にとっても2012年以来の正念場だろう。疑惑が晴れ、次期選挙でも安倍総裁で連戦連勝を続けることに賭けるか、あるいは再悪の場合、2009年の再来が起き、野党に大敗して少数政党に再び甘んじるか。腰を据えて安倍首相と運命を共にするか、どうか。 
 
  森友学園のような中韓を刺激する教育を行う学校と関係していた極右政治家というイメージがワシントンD.C.で強まっていくにつれ、安倍首相が頼みとするトランプ大統領としても安倍首相と組むことは東アジアの安保政策で得策ではない、と判断する日が来るかもしれない。ついに影響力を持つワシントンポスト紙も安倍首相のスキャンダルを伝える記事を出した。安倍首相の妻に関係があった幼稚園が中国や韓国を貶める教育をしていることや戦前の軍国主義思想を幼児に強要していること、安倍首相の国会での発言が時に応じてフラフラ変わっていることなども書かれている。そして学校の経営者が日本会議の幹部で安倍首相と同じグループであることもだ。 
 
  トランプ大統領は過去に中国に批判的な発言をしているが、しかし、共和党のひいき筋には中国投資で利益を得ている資本家が数多く、トランプ氏自身にとっても中国は投資先の可能性のある国である。その巨大なビジネスチャンスを逃したくはないだろう。それ以上にアメリカ・ファーストを掲げるトランプ大統領にとって、軍国主義の日本はアメリカ人が血を流して戦った敵だった国でもある。 
 
  自民党はこの5年来、強い総裁のリーダーシップで結束してきた。総裁になることに意欲を持った野田聖子氏のような政治家ですから総裁選を辞退せざるを得なかった。自民党には安倍総裁以外の総裁候補がまったくいないのだろうか。安倍首相の肝いりの稲田防衛大臣の株も下がっている。マスメディア対策より、自民党は次回の選挙のことを真剣に考える時期が来ているのではなかろうか。だが、国民は首相を選ぶことはできないのだ。それは自民党員の問題なのである。 
 
 
■ワシントンポスト紙が首相のスキャンダルを伝えた記事 
”In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe”(日本で小学校を巡るスキャンダルが安倍に絡みつく恐れ) 
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-japan-a-scandal-over-a-school-threatens-to-entangle-abe/2017/02/27/29486b94-fa1a-11e6-aa1e-5f735ee31334_story.html?utm_term=.ed2297c70d2d 
 ”Japan’s prime minister is facing the biggest crisis of his tenure, caught up in a burgeoning scandal that involves a shady land deal, allegations of a coverup and a kindergarten sending out notes about “wicked” Koreans and Chinese.・・・・” 
 
 (日本の首相は就任以来、最大の危機に直面している。スキャンダルは日増しに大きくなっている。国有地の怪しい処分、隠蔽という疑い、関連幼稚園では韓国人と中国人を邪悪だとするメモを配ったことなどだ・・・・) 
 
 
■野田聖子議員が「不出馬」に追い込まれた深層〜7日夜の岸田派会合が勝負を決めた(東洋経済) 
http://toyokeizai.net/articles/-/83684 
  注目されるのは岸田派の動きだろう。岸田外相の器が試される時だ。安倍首相の右腕で生涯を終える政治家か、どうか。 


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