2017年03月17日04時52分掲載  無料記事
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政治

萩生田光一内閣官房副長官と加計学園と安倍首相夫妻 そして二人の文科省官僚OB

  萩生田光一衆議院議員(はぎうだ こういち、自民党)はホームページにも記載していることだが(3月17日現在)その経歴に「千葉科学大学客員教授」とある。千葉科学大学と言えば岡山県に本部を持つ加計学園グループが営む大学。理事長の加計孝太郎氏は安倍首相の親友。安倍氏は「腹心の友」と加計氏との間を表現してきた。 
 
  現在、安倍首相の側近である内閣官房副長官こそ萩生田光一氏で、「平成27年、第三次安倍内閣にて内閣官房副長官を拝命」と誇らかにウェブサイトに記載している。参院議員・有田芳生氏のツイッターによると、この報道は週刊新潮(3月23日号)で行われたらしい。 
 
  内閣官房副長官は菅義偉(内閣)官房長官の部下である。内閣官房長官は内閣のスポークスマンであり、内閣の調整役と言う重要なポストであり、副長官はその右腕ということになる。つまりは首相の側近である。もちろん、マスコミ対策も主要な業務である。そして今、加計学園に関係した人間が首相の側近でスポークスマンの業務を担っているのだ。第二次安倍内閣の時の内閣官房副長官はNTT出身の政治家、自民党マルチメディア局長をつとめたあの世耕弘成氏だった。こう書けばそれがどのようなポジションかわかるだろう。 
 
  安倍首相と加計学園には「腹心の友」という以上の深いつながりがあるようだ。第二次安倍内閣の内閣官房参与・木曽功氏(元・文部科学省高官)は現在、加計学園が経営する千葉科学大学学長である。そして、現在、安倍内閣の内閣官房副長官・萩生田光一氏はかつて千葉科学大学の客員教授だった。 
 
  安倍首相と加計学園のつながりの深さを知る情報は他にもある。加計学園には平成23年4月「以降」、文科省から官僚OB2名が天下りしている。このうち一人は先述の通り、第二次安倍政権の内閣官房参与だった。だがもう一人いると言うのだ。安倍首相―加計学園―文科省には極めて濃い関係があることがわかる。 
  今、国会でも質問が始まったが、愛媛県今治市が国家戦略特区に指定され、そこに52年ぶりに獣医学部が設けられたことに不自然さがあることが指摘されているのだ。それまで長年、文科省によって認可されなかった獣医学部が安倍首相になってから急に国家戦略特区に指定され獣医学部が新設されたのである。公募に応じたのは安倍首相の腹心の友の経営する加計学園グループだけだった。しかも正月あけの約1週間しか公募期間もなかった。 
 
  安倍首相は福島みずほ議員に国会で公募期間の短さを指摘されると、<国家戦略特区の公募期間はみな同じだ>といったことを声を荒げて答え、<もっと勉強した方がいい>などと恫喝した。安倍首相の答弁によると、こういうことは業界の人間には知れ渡っているからこの程度の期間でいい、ということだ。しかし、普通の人の感覚からすると、あまりにも短い。しかも、何をもって<みんな知っている>などと言えるのだろうか。全部が同じ期間だから問題がない、というより、むしろ全部が怪しいのではないか、とすら思えてくる。国家の戦略で行う大切な地域づくりをたかだか1週間の公募期間で進める必然性がどこにあるのだろうか。むしろ、国家戦略特区は首相に近しい人々に美味しいめをさせるための装置になっているのではないか。そしてこの加計学園グループの「御影インターナショナルこども園」でも昭恵夫人が名誉園長に就任していた。 
 
  さて、安倍首相の側近となった萩生田光一氏もまた日本会議のメンバーのようだ。日本会議のウェブサイト(平成19年10月、設立10周年大会開催)によると、萩生田光一氏は「日本会議国会議員懇談会事務局長」とある。そこで次のようなコメントを残している。 
 
 萩生田光一「入会直後直面した、「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができましたし、又、皇室典範改悪阻止に向け、「皇室の伝統を守る国会議員の会」を立ち上げ、日本の国柄を守る一助となる事ができたと自負するところです。」 
 
 ちなみにここで萩生田氏が触れている「ジェンダーフリー」とはウィキペディアに以下の説明がある。「社会的性別(ジェンダー)に対する一般通念にとらわれず、自分の生き方を自己決定出来るようにしようという、『固定的な性役割の通念からの自由を目指す』思想、および、この思想に基づいた策動を指す。」 
 
  さてこの萩生田氏が客員教授をつとめたのが千葉科学大学で経営するのは先述の加計学園グループである。加計学園が岡山で営む岡山理科大学附属中学では育鵬社の歴史と公民の教科書が使われているようだ。以下は「平成28年度 岡山県小学校・中学校 教科書一覧表」である。これを見ると、加計学園グループの歴史観や道徳観も安倍首相に近いのではないか、と推測される。 
http://www.chuoh-kyouiku.co.jp/pdf/corporation/support/h28/h28_okayama.pdf 
  安倍首相は思想や言論、教育を非常に重要視してきた政治家である。だからこそ、寿司屋や中華料理店にマスコミ幹部を集めて説明を聞かせてきた。また高市早苗総務大臣を通して放送局に自由に報道させないように中立性を侵したら「電波停止」もあると恫喝した。さらに戦後の民主主義教育を敵視する安倍首相は文科省にも影響力を強めたいと考えているはずである。皮肉にも教育と思想こそ人間にとって、さらに国家にとって最も大切である、という真実を安倍首相くらい理解している政治家はいないだろう。 
 
 
 
■文科省官僚が退官後、加計学園の理事になっていた。一人は第二次安倍内閣の内閣官房参与となる 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703150239073 
 
 
■採択相次ぐ!「育鵬社教科書」本当の問題点(東洋経済) 
http://toyokeizai.net/articles/-/81377 
 
■国家戦略特区と安倍首相のブレーンたち 新浪剛史氏と竹中平蔵氏、そしてオリックス 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703181709096 


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