2017年03月27日15時46分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  陸上自衛隊、次のPKO任地お薦めは、安全西サハラ  平田伊都子

 2017年3月10日、安倍首相はアフリカ南スーダン国連PKO部隊に派遣していた陸上自衛隊を、5月までに撤退させると発表しました。 反対を押し切って戦場に送り出し、おっかないから帰ってこ?、、勝手だね!  それでも私たち庶民は、危険な思いをさせられた自衛隊員の皆さんに、「よかったね!早く無事なうちに戻っておいでよ!!」と、早期帰国を促したい気持ちで一杯です。 3月24日には、6人の国連文民要員が何者かに首都ジュバトとピボルの間で待ち伏せ攻撃され、惨殺されました。 
 
(1)ハーベ・ラドスPKOトップ退陣サヨナラ記者会見: 
2011年11月に国連PKO局長に就任したハーベ・ラドス(67)は、狡猾なフランス人外交官だ。 
 2016年10月23日、国連PKO局長は国連西サハラ総長個人特使を出し抜いて、西サハラ難民キャンプの恒例視察を代行した。そして、西サハラ難民に国連の西サハラ紛争解決を約束した。しかしその足で、モロッコを訪問しマラケシュCOPをアレンジし、国連本部への帰路に立ち寄ったパリでは<フランス語圏アフリカPKO会議>に出席している。国連本部では記者たちが、約束されていた西サハラ地域視察報告を待ち受けていた。が、PKO局長は国連安保理で未公開の報告を行っただけで、記者会見はすっぽかした。 
 3月一杯でPKO局長を退任するラドスは、やっと、2017年3月24日、国連記者会見室の席に着いた。辞めていく国連幹部に、記者はねぎらいのおべんちゃらを言うだけで、鋭い突っ込み質問をやらないことを、パン前国連事務総長の<さよなら記者会見>からラドスは学んでいた。副報道官とぐるになって、ラドスは会見を切り抜けた、その中で、共同通信の記者が、南スーダン撤退後に日本自衛隊への予定地に関して質問があった。ラドスは、「これから交渉するが、マリとか中央アフリカとか、、」と、暗示した。両国とも、影響下にあるフランスの元アフリカ植民地で、テロが横行する、限りなく危険な地域だ。 
 
(2)西サハラ難民政府、モスクワに直訴: 
 3月第4週の末に、西サハラ難民政府代表団がモスクワを訪れた。一行はハダッドMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)西サハラ代表、マフムウド治安情報大臣、ファティマ女性連盟会長などで、アリ・サレム西サハラ・モスクワ代表が加わってロシア外務省に、2016年4月に国連安保理が出した決議2285を推進するよう要請した。これに対して、2017年3月23日、ロシア外務副大臣で中東アフリカ大統領特別顧問のミハイル・ボグダノブが応じて、「この超長期紛争に関して、ロシアの立場は変わらない。ロシアは、国連決議の下に紛争両当事者が直接交渉し、双方が納得のいく平和的解決を見出すことを望んでいる。そのために、モスクワは全ての関係者に働き続けるという強い想いを抱いている」と、表明した。 
 
(3)AU安保理決議: 
 安保理は国連の専売特許ではない。アフリカ連合にも安保理がある。但し、アフリカ連合の方には<平和>の一言が入り、AUPSC(アフリカ連合平和安保理)となる。 
 AUPSC(アフリカ連合平和安保理)は2017年3月の第4週に年次会議を開き、「西サハラ紛争の平和的解決の支持を国連や国際社会に強く訴える」 という決議を最終日の3月24日に出した。さらにAUPSC は、AU委員会やAU西サハラ地域代表の西サハラ最新報告に注目していくことを、確認した。AUPCS は2017年1月31日にAUアフリカ連合に復帰したモロッコにも当然、会議への招待状を出し席を設けた。が、モロッコは一度も現れなかった。 
 
(4)PKOの現状: 
 2017年3月末現在、PKO(国連平和維持活動)は世界の17地域で展開している。アフリカではスーダン・ダルフール、南スーダン、リベリア、コンゴ民主共和国、西サハラ、チャド及び中央アフリカ、コートジボワール、の8地域。アジアでは東ティモールとインド及びパキスタンの2地域。ヨーロッパではコソボ、グルジア、キプロスの3地域。中東ではレバノン、ゴラン高原、パレスチナ及びイスラエル、と3地域。ここにハイチが加わるが、うち、リベリア、コートジボワール、ハイチの3地域からは、近々に国連PKOは撤退する予定だ。従って、14地域で活動を続けていくことになっている。 
 当該地域の西サハラではMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)が展開している。約230名が国連PKO軍事要員として活動している。その他、現地雇用も含め文民要員が200人ほど働いている。このうち84名がモロッコ政府によって2016年3月18日に追放された。モロッコは30%弱を職場復帰させたが、残りは追放したままだ。さらにモロッコは8月11日、国連緩衝地帯にモロッコ兵を侵攻させた。これは明らかに停戦違反だ。新国連事務総長がモロッコ国王に電話をしたところ、モロッコ国王は一時的に兵を後退させた。が、数百メートル離れたところにモロッコ兵は張り付いていて、モロッコの停戦違反は続いている。 
 
 MINURSO国連PKOは設置されて26年目を迎えますが、戦闘行為はありません。 
 ちなみに、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の役目は次の4点だそうですが、どれにも手を付けておりません。 
 1.停戦の監視および両軍の配置の確認 
 2.政治犯の釈放 
 3.難民などの故郷帰還の支援 
 4.住民投票の有権者の確定および住民投票の実施 
 
楽チンでしょ? 
 
 自衛隊の皆さま、防衛大臣殿、次期任地にはぜひ西サハラをご指定ください。夏は限りなく熱く、冬は日本同様に零度を切ります。 砂漠の厳しい気候の中で、サバイバル・ライフを楽しめます。 
 但し、早期撤退をした日本にPKO配置の注文はつけられないかも?  国連安保理と国連PKOが命じるままに、赴任するしかないかも?、、 
 
 
文:平田伊都子 ジャーナリスト  PKOマーク:提供UN 国連  2017年3月27日 


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