2017年04月07日12時24分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  生き残るか、西サハラPKO  平田伊都子

 フランス大統領を目指す8候補の中で一番注目を浴びているのは、極右政党<国民戦線>のルペン女史(48)です。 移民反対、EU反対、<フランス人のフランス>をキャッチフレーズにする、フランス国粋主義者だそうです。 しかし、「勝手にフランスやってれば、、」と対岸の火事と選挙戦を眺めていられないのが、アフリカのフランス語圏諸国。 ルペン女史は、「大統領になったら、フランス語圏アフリカからフランスは手を引く。この地域の共同通貨CFAフラン(セーファーフラン)を廃止!」と、訪問したチャドで、爆弾宣言をしました。 未だにフランスの傘下にある元フランス植民地諸国は、戦々恐々です。 国連安保理でフランスの庇護下にあるモロッコも、然りです。 
 
(1)ガリ西サハラ大統領がグテーレス国連事務総長に書簡: 
 2017年4月3日、ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領兼ポリサリオ戦線事務総長は、アントニオ・グテーレス国連事務総長に嘆願書を送った。その中でガリ西サハラ難民大統領は、「グデイム・イジク・平和デモの裁判が、モロッコ王の命令で又もや5月8日に、何の説明も理由もなく延期された。平和デモは2010年10月10日に、モロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンから12キロメートル離れたグデイム・イジクという名の砂漠で、約30,000人の西サハラ住民が約8,000張のテントを立てて始まった。ところがモロッコ占領軍は、1か月後の11月8日にこのテント村をヘリコプターや軍用車で急襲し、催涙ガスと機関銃で住民を蹴散らし、テントを完全に焼却し数百人を逮捕した。以後6年以上、平和デモ参加者の24人は、裁判決議もなく劣悪な監獄に繋がれ、拷問が続いている」と、グデイム・イジク平和デモ参加者の即時釈放を請願した。 
 
(2)国連安保理のMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)討議予定: 
 2017年4月3日、国連安保理は文書で、4月27日にPKO(国連平和維持軍)MINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)の任期延長を公表し、採択が行われると、発表した。国連安保理ではMINURSOに関する討議を、4月19日と4月25日に予定している。 
 ニッキー・ヘイリー米国国連大使は4月国連安保理議長の就任記者会見で、4月国連安保理は、国連PKOと国際平和と安全のための人権問題に焦点を当てると話した。そして、PKO活動を改革する必要性を強調した。 
 MINURSOを妨害し、MINURSOの廃止を目指してきたモロッコは、まだ公式発表をしていない。モロッコの庇護者であるフランス常任理事国の力を借りて、4月末に予定されている安保理決議採択ギリギリまで邪魔をするのは間違いない。PKO(国連平和維持軍)のトップの席を、悪名高かったハーベ・ラドス前代表が同じフランス出身のジャン・ピエール・ラクロワに禅譲したのだが、モロッコの悪巧みが功を奏さないことを祈る。 
 
(3)世界地雷の日; 
 4月4日は<世界地雷の日>だ。20年前の1997年は、対人地雷全面禁止の年だった。1月15日、故ダイアナ英国妃がアンゴラの地雷原に入ったことから、歴史的な一年が始まった。8月31日、対人地雷廃絶キャンペーンの花だったダイアナ妃が自動車事故で殺されると、キャンペーンは逆に勢いづいた。12月3日、<対人地雷全面禁止条約>が締約され、12月10日にはノーベル平和賞が<地雷廃絶キャンペーン>に贈られ、華々しい花火の一年が幕を閉じた。地雷の原価は約300円と安いが、その恐ろしい結果は計り知れない。国連の予想によると、世界に埋められている地雷の総数は、4500万個~5,000万個で、79か国に埋められている。被害件数は年間約4,000だそうだ。年間10万個足らずしか除去されていないのに、新たに200万個ほどが埋められていて、差し引き埋蔵地雷は増加しているのだ。地雷産業は儲かるとか?ダイアナ妃を殺した犯人は誰だ?? 
 アフリカ最後の植民地.西サハラには、国連の推測によると700万個以上の対人地雷や対戦車地雷が埋まっているそうだ。宗主国モロッコがイスラエル軍高官の指導で作った<砂の壁>は地雷原なのだ。<砂の壁>は、北はアルジェリア国境線から南はモーリタニア国境まで全長2,720キロメートルある。これまで2,500人以上の地雷犠牲者を出している。 
 
 西サハラ難民キャンプには、モロッコの地雷を踏んで四肢をもぎ取られた犠牲者たちの、リハビリ・センターがあります。 筆者は何度かそのセンターを取材しましたが、義足も義手もないままで生きています。 日本は素晴らしい義手義足の技術を持っていて、ワンコウも義足で走り回っています。 
 ロナルドさんというカナダの人道大道芸人が日本で中古の義手義足を集めて、幼い3人の子供に手伝わせ、せっせとカンボジアに運んでいました。 ロナルドさん、今度は西サハラ難民キャンプに運ぼうよ! 
 
 
文:平田伊都子 ジャーナリスト 写真:SPS(サハラ・プレス・サービス)2017年4月7日 


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