2017年04月09日09時44分掲載  無料記事
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国際

フランス大統領選 最新アンケート結果 マクロン元経済大臣と国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が23%で同率首位、その後ろに共和党のフィヨン候補と左翼党のメランション党首が19%と差を詰めて肉薄中 社会党のアモン候補は8%台に沈む

  4月23日に行われる仏大統領選の一回目投票。フランス大統領選で誰に投票するかというBVAのアンケート調査の最新報告。あくまで抽出された少数によるアンケート調査結果に過ぎないが、1ポイント以下の端数を切り捨てれば、エマニュエル・マクロン候補とマリーヌ・ルペン候補が23%で同率首位。その後ろをフランソワ・フィヨン候補とジャン=リュク・メランション候補が19%につけて差を縮めていることに注目が集まっている。社会党のブノワ・アモン候補は8.5%と最下位に落ちその差も広がりつつあるようだ。 
 
マクロン  23% 
マリーヌ・ルペン  23% 
フィヨン   19% 
メランション  19% 
アモン      8.5% 
 
(BVA−Salesforce調べ) 
 
  実はこの5人以外にも大統領選への立候補者はいるのだが、いずれも泡沫候補と見られているため、報道でも当選圏内にいる5人に絞られている。フランスの大統領選挙の公式選挙委員会のホームページによると、立候補者は全11人である。 
https://presidentielle2017.conseil-constitutionnel.fr/ 
M. Nicolas DUPONT-AIGNAN 
Mme Marine LE PEN 
M. Emmanuel MACRON 
M. Benoit HAMON 
Mme Nathalie ARTHAUD 
M. Philippe POUTOU 
M. Jacques CHEMINADE 
M. Jean LASSALLE 
M. Jean-Luc MELENCHON 
M. Francois ASSELINEAU 
M. Francois FILLON 
 
 
 さて、もしこのアンケートが信頼できるのだと仮定すれば主要な5人の候補のうち、2週間後の5月7日の決選投票に出場可能なのは2人だから、左派はこれを見ると、社会党のアモン候補に降りてもらってメランション候補で一本化したいと考える可能性がある。左派の中にはメランション候補にアレルギーのある人もいるようだが、一定程度の人が合意して実現すれば左派連合が首位に浮上する。その場合はマクロン候補、フィヨン候補、マリーヌ・ルペン候補の中で残り一枠を巡って激闘が行われることになる。フランスの場合は2回投票制が基本にあるため、政党間の政策協力は日常である。すでに緑の党とエコロジスト党は社会党のアモン候補に合流している。ただ、メランション候補の場合、左派連合によって1回目投票で首位に立ったとしても決選投票で中道・右派票を取り込めるかは疑問も伴う。 
 
  恐らく危機感を強めているのはマリーヌ・ルペン候補だろう。これまで少なくとも第一回投票ではトップを走ると見られていたのだが、すでに1回目の投票段階でトップに立てない可能性も出てきたからだ。このことはルペン候補と思想的に近しいアメリカのトランプ政権の支持率の低下がフランス大統領選に影響している可能性はないのだろうか。 
 
 
※BVAはフランスの世論調査や消費者のアンケート調査などを行う企業。設立は1970年。現在は一大グループとなり、様々な分野のリサーチを手がけている。 
 
 
■L'express  最新の大統領選アンケート結果の報道 
http://www.lexpress.fr/actualite/politique/elections/presidentielle-fillon-et-melenchon-a-egalite-selon-un-sondage_1896952.html 
 
■Midi Libre (南仏の新聞) 
http://www.midilibre.fr/2017/03/24/sondage-bva-presidentielle-macron-en-tete-des-intentions-de-vote-au-1er-tour,1483842.php 
 これは3月末のアンケート結果。この時点ですでにマクロン候補が首位に立った。2回目投票でマリーヌ・ルペン候補と決戦になった場合、マクロン候補圧勝のアンケート結果が出ていた。(BVA調べ) 
 
 
■大統領選挙に見るフランス政治のパラダイムシフト(山田文比古 東京外大教授) 
http://www.newsweekjapan.jp/yamada/2017/04/post-2.php 
 山田教授の分析にあるように、社会党の衰退の原因はグローバリズムへの対応を誤り、安易に欧州連合に乗っかりすぎてしまったことにある。それは経済大国ドイツや欧州連合の背後にある英国のシティ金融勢力、ひいてはシティの背後に潜む日米などグローバル金融勢力の圧力を受容してしまったことを意味する。この反動が今日起きているナショナリズム現象だろう。山田教授の分析で興味深いのはグローバリズムに批判的なのが極右勢力では国民戦線だが、左翼勢力ではジャン=リュク・メランション候補になっていることだ。メランション候補の上昇ムードはアメリカのバーニー・サンダース現象と似ている側面があるという理解だろう。 
 
 
■迫るフランス大統領選  国民戦線が初大統領を生むか、それとも?  テレビ討論会が始まる 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703280626182 


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