2017年04月24日00時24分掲載  無料記事
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国際

ND米紙ウィークリーニュース第116号(April 22, 2017)

●目次● 
 
【米国と同盟国 核兵器禁止に向けた協議に抗議】NYT 3/27 
United States and Allies Protest U.N. Talks to Ban Nuclear Weapons 
 
【ドゥテルテ大統領 外交で勝利も運が尽きたか】WP 3/27 
Duterte plays a winning hand with foreign policy, but will his luck run out? 
 
【ロシア政府 若者の反政府運動を警戒】NYT 3/27 
In Protests, Kremlin Fears a Young Generation Stirring 
 
【日露連携を強化 北朝鮮に自制を促す】WP 3/20 
Japan, Russia bolster cooperation, urge NKorean restraint 
 
【米国務長官 習主席と会談 協力関係の強化を強調】NYT 3/19 
Rex Tillerson and Xi Jinping Meet in China and Emphasize Cooperation 
 
【トランプ大統領 防衛費に関してドイツを批判】NYT 3/18 
Trump, Day After Merkel’s Visit, Says Germany Pays NATO and U.S. Too Little 
 
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【米国と同盟国 核兵器禁止に向けた協議に抗議】NYT 3/27 
United States and Allies Protest U.N. Talks to Ban Nuclear Weapons 
 3月27日付のNY Timesは、米国が同日、核兵器の法的禁止は時期尚早だとして、数十国の国連加盟国を率いて、核兵器禁止条約を目指す協議への参加を拒否したと報じた。 
 米国連大使のニッキー・ヘイリー氏は「北朝鮮が核兵器を禁じると考えている人がいるのですか」とも発言。イギリス国連大使は、条約の実効性を疑問視する発言をし、ロシアのラブロフ外相は「時期尚早なのは明白」と述べた。 
 120ヶ国以上が参加した今回の協議は、10月に初めて告知され、同紙によるとオーストラリア、アイルランド、メキシコ、南アフリカ、スウェーデンの6ヶ国が主導となって行われた。この取り組みは軍縮団体や人権団体から強く支持されており、その背景には、核兵器実験を行った北朝鮮への懸念があると同紙はみている。 
 なお、協議の開始時には広島の被爆生存者が「誰も二度と同じ地獄を見るべきではない」とアピールをしたという。2000人以上の科学者が協議を推進する公開文書に署名をし、米元大統領レーガン氏の「核では勝利できず、戦いに使ってはならない」という言葉を引用したと同紙は報じている。 
 
【ロシア政府 若者の反政府運動を警戒】NYT 3/27 
In Protests, Kremlin Fears a Young Generation Stirring 
 3月27日付のNew York Timesは、ロシア各地で26日に行われた反政府デモに若者が多数参加したことを取り上げ、ロシア政府が警戒していると伝えた。 
 ロシア政府は27日、今回のデモの呼びかけ人で野党勢力の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を拘束。同氏は、プーチン大統領やメドベージェフ首相の汚職についてのビデオをYouTubeに流し、変革は可能であるという感触が若者に伝わっているという。 
 ロシアの若者の多くは、ナワリヌイ氏を取り上げない国営メディアからではなくインターネットで情報を得ているとし、政治にあまり関心がなかった若者が、今回のデモに参加したことは、驚くべきことであると同紙は報じている。 
 ロシア経済開発貿易大臣の次官を務めたミハイル・ドミトリエフ氏は、ウクライナ侵攻やクリミア併合といった愛国心を掻き立てる戦争への関心がロシア国民の間で薄れてきており、内政問題に関心が移っていると指摘する。分かりやすい外敵としていたオバマ政権が終わり、米トランプ政権が誕生したことも影響しているとのことだ。若者や中間層は、政府に、生活の質の向上よりも、透明性を強く求めているという。 
 
【日露連携を強化 北朝鮮に自制を促す】WP 3/20 
Japan, Russia bolster cooperation, urge NKorean restraint 
 3月20日付のThe Washington Post紙は、月曜日に日本とロシアが幅広い分野における協調を通じて、長年にわたる領有権問題の解決に向けてより一層の努力を行っていくことに合意したと報じた。 
 同紙によると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と岸田文雄外相両氏は、北朝鮮に対して「挑発行為」を控え、核・ミサイル実験の停止を要求する国連の決議に従うようにするとの要請を行った。この要請は、東京で開催された2プラス2(両国の外務・防衛担当閣僚間)会合で行われたものだという。 
 また、ラブロフ氏は会談直後に米国のミサイル防衛システムの配置についても言及し、「地域のバランスを乱し、北朝鮮の軍備拡張につながるさらなる軍備増強を避けることは極めて重要なことである」と述べ、ミサイル配備は過剰な対応であるとして米国を非難、北朝鮮に周辺国との対話を促すようなアプローチの必要性を説いたと同紙は伝えた。 
 また、日露間の北方領土問題について同紙は、日本がロシアの択捉島のミサイル配備に懸念を示していることや、併合の歴史を説明している。 
 
【トランプ大統領 防衛費に関してドイツを批判】NYT 3/18 
Trump, Day After Merkel’s Visit, Says Germany Pays NATO and U.S. Too Little 
 3月18日付のThe New York Timesは、トランプ大統領が、17日にメルケル首相と会談した翌日に「ドイツはNATOと米国に対して十分な防衛費負担をしていない」と批判したと報じた。 
 トランプ大統領はツイッターの中で、「ドイツは防衛に関してNATOと米国へ巨額な金の借りがある」と投稿した。 
 同紙は、どの国もNATOへ「借り」はないため、上記の発言は誤解を与えると指摘しながら、GDPの2%を防衛費に当てるべきというNATOの指針をドイツが達成していないことをトランプ大統領が非難したとする見方を示した。 
 なおメルケル首相は17日、ドイツはGDPの2%を防衛費に当てる目標を2024年までに達成すると述べていた。 
 同紙は、17日の会談でトランプ大統領がメルケル首相と握手することを拒否して、自由主義的世界秩序の忠実な擁護者である独首相との隔たりが浮き彫りになったと報じた。トランプ大統領は、NATOに対する米国の負担が大きいことに不満をほのめかし、NATO加盟国が防衛費を増大しないのなら防衛貢献を低くすると提起している。 
 
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