2017年04月30日00時54分掲載  無料記事
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政治

社会党バルス前首相の「裏切り」 社会党のアモン候補に見切りをつけマクロン候補に投票 

  フランスの大統領選は5月7日の決選投票に向けて動いている。とはいえ、報道はエマニュエル・マクロン大統領誕生の秒読みモードに入っていると言えよう。そして、話題はその先に向かっている。 
 
  まずは第一回投票でブノワ・アモン候補の得票率が6%台と第五位に低迷した社会党である。ルモンドではアモン候補も、1月の予備選でアモン氏に敗れたマニュエル・バルス前首相(大統領選立候補控え、昨年12月にカズヌーブ氏に交代した)も、いずれにしても今後、社会党で生きていくにはなかなか厳しいものがあると報じた。 
 
  特にバルス前首相は1月の時点ではアモン候補に投票すると言っていたのだが、第一回投票が近づくと、「マクロン候補に投票する」と宣言した。確かに、アモン候補はすでにアンケ―ト調査で5位に沈んでおり、勝ち目はなかったとはいえ、社会党の前首相が自党の候補を差し置いて第一回投票からマクロン候補を応援したことで、いろいろ取りざたされているのである。フランスでは多くの人が思うことだろうが、バルス氏はマクロン候補が大統領になったら、マクロン氏と組んで内閣に入るつもりなのではなかろうか、ということである。とはいえ、マクロン候補もまだ今の段階で組閣の人事を語るほどもちろんナイーブではない。 
 
  とはいえ、ことは水面下で進行している可能性がある。まずマクロン候補と近しい中道政党のフランソワ・バイル氏がバルス氏を讃える発言をTVでしており、何がしか匂わせていることだ。ルモンド紙でも「プログレシスト(進歩派)」グループと称して、マクロン、バイル、バルス氏らで中道政党を確立するのではないか、という可能性をほのめかしている。とはいえ、ルモンドの観測記事ではマクロン候補は社会党と正式なコアビタシオン(同居=他党との政策協力)はせず、社会党議員と個別に交渉するのではないか、という見立てがある。つまり、社会党議員を一人一人個別に閣僚に釣り上げていくのではないか、そしてその中にバルス氏も入るのではないか、という見方があるようだ。セゴレヌ・ロワイヤル氏も「マクロンは時代がわかっている」と賛美していると報じられた。もしかすると、マクロン大統領のもとで、環境大臣を狙っているのだろうか。 
 
  大統領選が5月7日に終わり、マクロン大統領が誕生したとすると、フランスは今度は翌月に控える国会議員選挙(下院議員選挙、任期5年、577人)に向けて動き出す。この選挙で国会議員(下院)も総入れ替えになる。その時、マクロン氏のウイングから出馬するか、社会党から出馬するか、ということがある。だから、今、水面下で様々な動きが起きているだろうし、様々な憶測が生まれている。政党の候補者名簿が締め切られるのが5月19日。それから選挙戦が始まり、投票は6月11日と6月18日である。下院議員選挙も一回目の投票で過半数を取った候補者がいなければ決選投票が行われるが、この場合は間が1週間と短い。決戦投票は6月18日である。マクロン氏が首相を任命して、首相のもとで内閣が生まれるとしても、閣僚となる(であろう)議員たちがどの政党から立候補するかはこの3週間ほどで決めなくてはならない。 


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