2017年05月26日14時16分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】大飯原発3.4号機「適合」決定に反対する   柳田 真

 原子力規制委員会は5月24日(水)、関西電力大飯(おおい)原発3.4号機(福井県、出力各118万キロワット)が、新規制基準に適合したことを示す審査書を決定した。しかし、この決定はいくつもの重大な点でおかしい。反対する。 
 
 第1は、地震動を関西電力も原子力規制委もすごく「過小に評価」していることだ。原子炉にとって、どういう地震がおそうかは最も重大な点だ。大きな地震がおそうときは原子炉も建物もガン丈につくらねばならない。巨額の費用がかかる。電力会社はこの巨額費用の負担を必死で避ける。 
 
 基準地震動を小さく、小さくしたい。今回も前規制委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授の指摘−昨年4月の熊本地震の解析データをもとにして、「地震動があまりにも過小だ」と具体的に指摘したのに…。関西電力と原子力規制委員会の誤りを指摘しているのに…。 
 
 第2は、原発の集中立地の問題点である。いわゆる「原発銀座」復活になることだ。若狭湾に関西電力の7基(高浜原発.2.3.4号、大飯原発3.4号、美浜原発)が林立する。近い将来さらに2基(大飯原発1.2号機)を関西電力はふやすつもり−60年延長を狙っている。 
 
 大飯原発4基と高浜原発4基は近接している(13km)。東京電力福島第一原発(1〜4号機)事故では、近くの福島第二原発(1〜3号機)も危機的状態に陥った。1つが放射能放出事故をおこせば、作業員は逃げざるをえない。近くの原発も危険になる。同時多発事故=空前の大惨事となる。 
 
 原発周辺の人々=福井県、京都府の人々はどうやって逃げられるか? 
 関西の水がめ=びわ湖が放射能汚染され、1,500万人が飲み水に困る。 
 
 第3は、関西電力の根深く大きい安全軽視体質である。古くは、美浜原発3号機で重大事故(2004年8月二次系蒸気配管損傷による蒸気噴出で11人の死傷者)をおこした。新しくは、本年1月、高浜原発2号機でクレーンの倒壊事故(使用済み燃料プールへ倒壊という重大事)をおこした。 
 
 京都府や市町、滋賀県などは、関西電力のクレーン倒壊事故対策−報告書がいいかげんで信頼できないとして、再説明を要求し、高浜4号機の再稼働をみとめていない。住民の安全を守る自治体の立場として当然だ。それほど関西電力の安全対策はいいかげんだ。 
 
 第4に、「老朽原発・60年延長」の突破口に関西電力がなりつつある。大飯原発1.2号機は、1979年運転開始で、ともに出力117.5万キロワット。老朽、オンボロ原発である。関西電力はこの大飯原発1.2号機の最長20年(60年へ延長運転)の申請を狙っている。 
 
 老朽原発がいかに危険か−普通の原発の危険の上にさらに、もっと危険が急増することは心ある研究者からきびしく指摘されている。もうけ第一優先の会社の申請をみとめようとしている原子力規制委員会・経産省・安倍内閣は日本全土を放射能まみれにして、亡ぼす元兇犯人といえる。 
 
(たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワーク) 


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