2017年05月29日08時36分掲載  無料記事
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米国

トランプ氏とロシアの関係の底流 オランダTV番組が明かす不正ビジネス 

  トランプ氏とロシアの関係は、現在世界中、特にアメリカでは最大の関心事だが、主要メデイアの報道は偏っているように見える。もう少し深く追求する必要があるが、日本のメデイアは、アメリカのメデイアを丸呑みしている感がある。底流には、大統領がめざすロシアとの関係改善を望まない側の画策が見え隠れし、それにトランプ氏周辺の不正なビジネスがからんで事態を複雑しているのはないだろうか。オランダのZemblaテレビが放映したドキュメンタリーは、その一端を明らかにしてくれる。(落合栄一郎) 
 
 
 先(1)に、トランプ氏とロシアの関係についての投稿で、筆者は次のように述べた。「おそらく、トランプ氏は、ロシアとの商売を拡張するためにロシアとの関係を深めていたことは事実であろう(これは筆者の憶測)。しかし、そのためには、ロシアとの敵対関係を解消し、経済制裁なども解除すると考えていたし、そう主張していた。トランプ氏の考えの大部分は、商売(企業その他)にとって好都合な政策を採ることであり、また倫理観は、人種差別、女性蔑視など、現在の社会常識を否定するものであるが、ロシアとの緊張緩和は、現時点で最も緊急の重要な外交問題である」 
 
 
 今までのところ、欧米や日本での報道の焦点は、先の大統領選でロシアがトランプ氏を勝たせるために、ハッキングなどで介入したこと。その点を、クリントン氏側(CIA、主要報道機関も)は暴き出す努力をしているとしている。このハッキング問題は、以前も申しあげた(2)ように、ロシア側から行われたという確たる証拠はいまだ提出されていない。本当の問題は、クリントン氏側のメール問題の検証なのであり、ロシア側からのハッキングなのではない。コミー氏は、この問題に集中していたが、FBI内には、それに反対し、ロシア側からの介入に焦点を当てようとする側が、ネオコン側の後押しで存在する。この後者の代表がFBI副長官で、現在コミー氏の後を臨時的に埋めているアンドリュー・マケイブ氏だそうである。この人の妻にクリントン氏側は政治的な資金を渡していたそうである。 
 コミー氏の更迭は、トランプ氏自身ではなく、司法長官セッションズ氏が決定し、大統領に押し付けた。また今回は、ロシアのラブロフ外相との会談で、ISに関する秘密情報を明かしたとしてトランプは痛烈に批判されているし、特別検察官まで任命された。これは、セッションズ氏ではなく、長官代行のローゼンシュタイン氏の決定だそうである。やはり、ロシアとの関係改善を望まない側が画策しているようである。 
 
 
 実は、こういう外交・軍事レベルの問題以外でのトランプ──ロシア関係も問題になっているはずなのであるが、アメリカでは報道されていない。それは、トランプ氏のロシア側との商売上の取引、それに付随する不法な動きなどであり、その解明である。おそらくこのあたりのことに関しては、ロシア側は、自分達に有利なように介入する可能性があるし、これはトランプ氏が非常に懸念しているものと思われる。選挙についてのハッカー問題ではない。 
 
 
 このことに関して、オランダのZemblaテレビで、45分間のドキュメンタリーが放送された(3、4)。その詳細はドキュメンタリーを見ていただくとして、概略を記しておく。 
ソ連時代の有力者と様々なルート(その一人はトランプ氏の側近で元ニューヨーク市長で弁護士のジュリアーニ氏)を通して、ベイロック(オランダ企業、Bayrock)というトランプ氏のビジネスパートナーが、そのソ連時代からの有力者のマネーロンダリングに加担していた。アイスランドの投資企業FLグループもベイロックのパートナーの一つであり、不動産開発に手を出し、トランプ氏も署名している。このFLグループの背後には、プーチン氏の側近であるロシアの投資家がいるとのことである。他にもビジネスパートナーには、ロシア人のマフィアなどもいるらしい。このドキュメンタリーは第1回目で、2回目もすでに放送されている。 
 
 
 トランプ氏の不正なビジネスレベルにおけるロシアとの関係の解明も重要ではあるが、ロシアからのハッカー攻撃(大統領選に関する)、そして今回のロシア外相との会談をネタに、ロシアとの関係改善を阻もうとしていることは、非常に危険な動きである。主目的はともかく、トランプ氏が、娘婿を通じてもロシア側と制裁解除について話し合いをしていたらしいことが、また最近浮上した。 
 
 
 大統領選に関するハッキング問題に関して先に(2)に報告したように、ウイキリース側は、民主党内でのクリントン側をもちあげ、サンダース氏を除外する陰湿なやり方に業を煮やした個人が、ウイキリース側にクリントン側のメールをリークしたと主張している。その人物と目されているセス・リッチ氏の不可解な死については、主要メデイアは固く口を閉ざしているが、少しずつその真相が漏らされるようになってきた(5)。リッチ氏は後ろから銃撃されたが即死ではなかったらしい。しかし、病院に搬送されたが、病院の医師達は、それを放置するように指示されていたらしく、死ぬにまかせたとの証言もある。 
 
 
(1)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703261005460 
(2)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201612202026472 
(3)http://www.alternet.org/video/donald-trumps-financial-ties-russian-oligarchs-and-mobsters-detailed-new-documentary 
(4)https://zembla.vara.nl/dossier/uitzending/the-dubious-friends-of-donald-trump-the-russians 
(5)https://www.opednews.com/articles/Keep-Your-Eyes-on-the-Seth-by-Josh-Mitteldorf-Democrats-DNC_Hillary-Clinton_Seth-Rich-170526-842.html 


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