2017年06月13日01時15分掲載  無料記事
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欧州

フランス エドゥアール・フィリップ首相が「非常事態」を永続化するための法案を作成  「非常事態」解除後も令状なき家宅捜索・召喚・パソコンや携帯の押収などが可能に

  マクロン新大統領が抜擢した元共和党のエドゥアール・フィリップ首相が「非常事態」を永続化できる法案を作成したことが市民の恐怖を呼んでいる。「非常事態」は先日の英国のテロ事件を受けて延長されたばかりだが、今、提出される法案は「非常事態」を解除した後も常時、テロとの戦いのために「非常事態」と同様のことを可能にするものだという。ルモンドが最初に報じ、それが様々なメディアに波及している。 
 
  たとえば指定された一定の地域に限って、内務大臣の承認があれば警察組織がいつでも住人を警察署に召喚することができ、さらに令状なしで家宅捜索することが可能になると言う。また特定施設の閉鎖や不審人物の捜査・触診、電子機器類の押収、監視装置の装着の義務付けなども常時、可能となるようだ。これらは「非常事態宣言」があって初めて可能になっていたが、フィリップ首相の法案が通った後は非常事態宣言があろうとなかろうと常時、可能となる。 
 
  市民が案じているのはこの法案は「テロとの戦い」よりも、むしろ市民運動の弾圧に使用される可能性が高いことだ。とくに去年、実際に起きた「労働法改正反対闘争」のような市民運動や労組主導のデモなどに対して、活動家の捜索や逮捕などを通して、政権側に市民運動を取締る強い権限を与えることになる。実際、去年、マクロン氏が経済大臣だった時期に市民による大がかりな反政府デモが各地で頻発した。今回、マクロン大統領が率いるEn Marche!が国会議員選挙で圧勝することになればこの法案もスムーズに可決され、新政府の政策に反対する運動は予防拘禁も含め、厳しい弾圧を受けることになるだろう。 
 
■フランス24の報道 
http://www.france24.com/fr/20170609-france-projet-loi-antiterroriste-executif-pourra-priver-liberte-base-soupcon-macron 


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