2017年06月19日10時21分掲載  無料記事
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米国

コンピューター選挙の弊害 ハッキングによる得票改竄の先例 落合栄一郎

 先にロシアがアメリカの大統領選挙の選挙システムにハッキングし、選挙結果に影響を与えたらしいという報告を紹介した(1)。最近のセッションズ氏の公聴会での発言で、ロシアは、アメリカの39の州でハッキングを行ったらしいことがわかった。ただし、それらが、選挙の結果にどのような、どの程度の影響を与えたかの詳細は不明である。この問題、コンピューターに依存する選挙システムへの介入による選挙結果の改竄は、以前から問題になっていて、今回も特に、勝敗を左右したいくつかの州でそのようなことが起ったのではないかと考えられるようである。ただし、ロシアからのハッキングとは限らず、国内からの可能性が高い。それは、大方の予想と投票者の出口調査が覆されたケースが多いからでもある。ロシアからよりも、アメリカ国内からのハッキングのほうが、よりやり易いし、すでに先例は沢山あり、その可能性は充分にある。しかし、この点は、追求されていない。 
 
 アメリカにおける先例のいくつかを、この問題についての報告(2、「アメリカの選挙への介入はロシアからのハッキングなど必要ない」)から引用しておく。 
(あ)1988年8月ニューハンプシャー州での共和党1次選挙で、初めてコンピューターが大規模に使われた。選挙当日の予想では、前CIA長官のブッシュ(父親)候補が、対立候補のドール氏に8ポイントの差をつけられていた。ところが、選挙結果は、ブッシュ氏が9ポイントの差をつけて勝った。この17ポイントの急変は、統計学的には不可能な数値である。 
 
(い)1996 年のネブラスカ州の上院議員選。現職の民主党州知事でポピュラーなネルソン氏に対抗する共和党のヘーゲル候補。この候補は、コンピューター投票器の制作会社のオーナーの1人で、この会社の社長は彼の選挙財政参謀。このことは選挙前には市民に知らされていなかった。そしてこの機器は、ネブラスカ州のほとんどの選挙区で使われた。結果は自明。 
 
(う)2000年の大統領選は、最後まで不確定であったことはよく知られている。それを決めたのはフロリダ州だったが、ある選挙区で集計に携わった人はこんなことを云った。“集計しようとしたら、ある選挙区でのアルゴアー(ブッシュの対立候補)の得票数が、マイナス16022と出てきた。どうしてなのか、責任者に聞いたが返答はなかった。” 
 などなど、ハッキング、改竄の例は、多く知られているが、この方式─選挙のコンピューター化の再検討の動きはまだ見られない。アメリカの選挙が本当に民意を代表しているかは、不明である。日本の選挙は? 
 
(1)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201706072103363 
(2)https://www.opednews.com/articles/1/It-Doesn-t-Take-a-Russian-by-Bob-Fitrakis-Cross-Check-Crosscheck-Voter-Disenfranchisement_Election-Theft-170617-485.html 


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