2017年06月19日16時38分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201706191638531

コラム

首相の午後6時からの記者会見  今度はどんな妄言で目くらましか?

  安倍首相が今夕、18時(午後6時)から記者会見するという。「共謀罪」の強行採決や今後の見通しなどを説明するとみられるが、市民からはメディアの前で一方的に説明するのでなく、きちんと国会で野党の前に立って質問に答えるべきだったという声が出ている。 
 
  今回の首相の説明は日本国民からすると、「デジャビュの感覚」(既視感)を伴う。なんでも3か月すると忘れてしまう忘れやすい人はすでに記憶にないかもしれないが、覚えている人は2014年11月のNHKでの記者会見を思い出せばよい。 
 
  首相は当時、支持率がじわじわ下がっていた。なぜかと言えばその春実施した消費税の8%への引き上げで経済がすっかり冷えついてしまったからだ。さらにその秋には小渕優子経済産業大臣の「ドリル事件」や松島みどり法相の「うちわ事件」などの腐敗疑惑がたて続けに起こっていた。このままでは支持率の低迷から、内閣総辞職すら迫られかねなかった。そこで安倍首相はこれらの支持率のじり貧を一気に解消するために、国会を解散して総選挙に打って出たのだった。 
 
  国民はなぜ国会を解散するのか、と訝しんだ。なぜなら首相サイドから出された解散の理由が「次の消費税の引き上げを一時延期するが、2017年には必ず行うから、これでよいかどうか国民に真意を問う」というような、実にくだらない理由だったからだ。その時、国民に説明するとして会見を行ったのが、経営委員に極右の友達を送り込んだNHKのニュースウォッチ9だった。 
 
●「税は議会制民主主義の基礎である」 
 
  この番組で安倍首相は一方的に自分の言いたいことだけを述べ、とどめは「税は議会制民主主義の基礎である」という言葉だった。今井尚哉総理秘書官が考え出したのか、萩生田光一氏が考え出したのか、それともイメージ戦略を請け負っている電通が考え出したのか不明だが、「税は議会制民主主義の基礎である」という言葉に、多くの国民が白け、12月の総選挙の投票率は史上最低を記録し、それによって自民党が奇跡の大勝利。安倍首相は禊を行うことができ、起死回生の復活を遂げたのだった。そして2014年末の「無意味な選挙」で勝った安倍政権は長期政権の可能性を視野に入れ、満を持して翌年の2015年5月、自衛隊が海外で戦えるように自衛隊法など一連の法改正を含めた安保法制を国会に提出したのだった。 
 
  安倍首相は2014年11月のこの時、今は延期しても次は必ず増税をするからその真意を国民に問う、という理由だったが蓋を開けてみれば2017年になったら、景気の悪化からさらに増税を見送った。それぐらい軽い言葉であり、意味のない総選挙だった。だが、日本国民は忘れるのが早いし何をしても怒らないから政治家にとって統治するのは実に楽勝なのだ。そしてマスメディアの多くは国民に忘却を促す睡眠薬として機能し続けている。今夕の会見で安倍首相のチームはその二匹目のドジョウを狙っているはずである。 
 
※安倍首相の記者会見 (6月19日) 
NHK 1チャンネル 午後6時−6時半 
 
 
村上良太 
 
 
 
■安倍首相 「税は議会制民主主義の基礎である」 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201411182309112 
 
■連戦連勝を支えた首相のメディア対策チーム  この危機を乗り切ったら現代史に名を残すだろう 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201703110229556 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。