2017年06月21日14時40分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】原発現地(町や市)で署名すると推進側はどういう圧力・攻撃をかけてくるか 『野(や)の仏が起つ時』から  柳田 真

 中嶌哲演さん(福井県・明通寺住職)らが中心になって1冊の中身の濃い本が出た。2017年5月31日発売で、本の題名は「野(や)の仏(ほとけ)が起(た)つとき−あとからくる者のために、原発も核兵器もいらない」(『野の仏が起つ時』刊行委員会、256頁・1200円)である。 
 
 私は6月5日から6日の関西電力高浜原発3号機の再稼働反対行動に参加し、その後、東京へ帰る直前に東山さんからこの本を13冊預かった。本の中味は、中嶌哲演さんの文が軸(約30頁)だが、あとは非常に多くの人(約50人)が1から3頁を書いている。知った名前もいくつかあり、読みやすい本だ。 
 
 その中で、高浜町の東山幸弘さん、石地優さんの文章=地元で原発反対署名をしたあとの、すさまじい推進側の攻撃が記されている。署名運動を提起する前に一読して、記憶に置いておいた方が良い文章なので紹介します。 
 
☆苦闘する「草の根」の署名活動  本書の一部紹介 
 「署名」という行動は、国民すべてに認められた民主主義の基本をなすものである。「小浜市民の会」の会報「はとぽっぽ通信」の編集員の一人である東山幸弘さんは、こう証言する。 
 
「小浜は立地自治体ではないので、それほど大きな圧力はなかったようです。でも、おおい(大飯)、高浜は違った。(条例要求)署名は一定期間、役場で縦覧されるのですが、だれかがすべてをチェックして、署名した元受け、下請けの労働者までどう喝する。そしてアカ攻撃です。身動きがとれないようにしてしまう」 
 
「学校の先生が署名しようものなら『これは政治活動だ。署名を取り下げろ』とやられる」。「(署名に関し)地元の民宿で会合を開き、主人が署名に同意しようものなら、不買運動のようなもので、あんたの民宿はもう使わん、とやられたんです」 
 
 署名一つにもクビを覚悟しなければならない。家族にも迷惑がかかる。石地優さん(農業)も同じような話をしてくれた。 
 
「息子が関電関係で働いているので」「署名はもうこりごり。勘弁してくれ」と言い残し、奥に引きこもってしまう。「署名をしたくてもできない人はたくさんいたと思います。公に声を上げられない。若狭地方で署名はタブーなんですよ。今でも」 
 
 敦賀市の田代枚夫さん(自営業)も、90年代の前半、「原発立地に関する住民投票条例」制定を署名で訴えた一人だ。 
 
「敦賀市民の4人に1人が署名してくれました。これを市役所はロビーで縦覧した。日本原電はこれをことごとくチェックして、下請けの人間には「おまえなに考えとんじゃ」とやられたわけですよ。挙げ句に、議会では「否決」である。 
 
 ☆本書は、たんぽぽ舎でも扱います。1200円+送料(100円)です。 


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