2017年07月16日16時31分掲載  無料記事
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国際

ND米紙ウィークリーニュース第123号(July 10, 2017)

●目次● 
 
【ランサムウェアか 欧州で大規模サイバー攻撃】WP 6/27 
Massive cyberattack hits Europe with widespread ransom demands 
 
【ポピュリズムに対抗 カナダの秘訣とは】NYT 6/27 
Canada’s Secret to Resisting the West’s Populist Wave 
 
【米・印首脳会談 中国へ懸念】NYT 6/26 
Trump Meets India’s Leader, a Fellow Nationalist Battling China for His Favor 
 
【ロシアが米国を警告 米軍のシリア戦闘機撃墜を受け】NYT 6/19 
Russia Warns U.S. After Downing of Syrian Warplane 
 
【ギリシャ・中国 EU人権声明の妨害同盟に】NYT 6/19 
In Greece, China Finds an Ally Against Human Rights Criticism 
 
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【ポピュリズムに対抗 カナダの秘訣とは】NYT 6/27 
Canada’s Secret to Resisting the West’s Populist Wave 
 6月27日付のThe New York Times紙は、右翼ポピュリズムの台頭に伴い西側諸国で選挙が混乱し、政治状況が変化する中で、カナダではポピュリストの進出が失敗に終わっていると分析するコラムを掲載した。 
 同紙は、カナダにおいても、白人層の人口的優位性の喪失、文化・コミュニティに変化をもたらす移民の急激な増加といった不安要因は存在しており、ニュースメディアや政治家の態度には白人層への急激な揺り戻しがあると見ている。 
 しかしながら、カナダの政治は依然として安定しており、中道リベラルの確立が一般的となっていると指摘。コラムでは、白人層の揺り戻しに起因する政策が失敗していることに触れながら、中道リベラルが力を持っている理由として、1971年のケベック州の分離運動時代に当時の政権が始めた多様性の促進と広範な移民政策をあげている。 
 保守的な党であっても多様性を尊重しており、民族間に党派の違いが生じないほどであるという。 
 その他、一般家庭が移民を受け入れるなどのスポンサーシステムもあり、移民政策が国民全体に浸透している点も指摘。 
 また地理的要因として、欧州や米国と違い、三方を海に囲まれているため予期しない移民を受け入れることが少ないことも要因となっているとの見方も示している。 
 
【米・印首脳会談 中国へ懸念】NYT 6/26 
Trump Meets India’s Leader, a Fellow Nationalist Battling China for His Favor 
 6月26日付のThe New York Timesは、同日、インドのモディ首相とトランプ大統領が会談したことについて報じた。 
 同紙は、モディ首相が2013年、ムスリムがヒンズー教徒をリンチする支持者作成の偽ビデオを拡散させたことで選挙戦を有利に運んだことがあると指摘。信仰こそ異なっているものの、ナショナリストであり反ムスリムである点、自国優先の経済政策、SNSや偽ニュースの活用など、両氏には類似する点も多いとの見方を示している。 
 トランプ大統領はモディ首相を「真の友人」と呼び同氏を絶賛したほか、北朝鮮への圧力をかけることに失敗した中国への不満を表し、インドが北朝鮮への制裁を支援してくれることの期待を示したという。 
 同紙は、モディ首相もトランプ大統領への好意を示したことを伝える一方、インド政府は、米国がインド出身技術者のビザ発給を制限していることなど、米国の不明確な政策方針を懸念している点についても指摘。 
 また、インドは米国との軍事同盟に消極的だが、トランプ氏は日印米の戦艦による海上軍事演習への参加を促したこと、米政府はインドに対しインド洋において中国船を監視するドローンの売却を目指していることも同紙は報じた。このドローンは「ガーディアンドローン」と呼ばれ、売却されれば非NATO国で初となるという。 
 
【ギリシャ・中国 EU人権声明の妨害同盟に】NYT 6/19 
In Greece, China Finds an Ally Against Human Rights Criticism 
 6月19日付のThe New York Times紙は、6月にジュネーブで開催された国連人権理事会で、欧州連合(EU)が中国の人権侵害を非難する声明を発表しなかったことを報じた。 
 この背景には、中国と友好を深めるギリシャが同声明を「非生産的な批判」と述べ妨害したことがあるという。EUが声明を出さないのは初めてで、EU28か国にとって大きなイメージダウンになったとの見方を同紙は示している。 
 トランプ大統領が米国第一主義を進める一方、中国は国際貿易と国際協調のリーダー的存在として外交的影響力を強めてきた。ギリシャは中国との貿易や投資を増やし、「一帯一路」政策のインフラプロジェクトにおいて重要なパートナーとして関係性を深めていると同紙は指摘。 
 中国はEUの不干渉を利用し、米国がパリ気候協定から離脱後の地球温暖化を含めた環境問題などで有利なポジションをとるとの同紙はみている。 
 
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