2017年07月16日23時18分掲載  無料記事
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コラム

パリの観光スポット バルべスのドゥドゥ―ビル街(Rue Doudeuville) 移民文化の活力とエキスがある

  パリの18区、バルべス(Barbes) という地域を少し歩くとドゥドゥ―ビル通り(Rue Doudeauville)があります。そこではサブサハラ出身の黒人の人たちがかなり高い密度で暮らしています。日本の観光客はたいてい中心部のセーヌ河の近くを観光するのだけれど、バルべス界隈も面白いんですよ。まずバルべスロシュショア(Barbes Rochechouart)というメトロ駅を降りて、地上に出るとその時点でパリの中心街とは異質の空間が現れます。アラブ系、アフリカ系の人々が多いエリアです。 
 
 駅を出て目につくのが携帯電話屋で、日本人は自分の使っている携帯を活用して中のカードを取り換えたりする人がいますが、パリでは「新しい携帯を買う」というケースが結構あります。しかも3000円くらいで買えてしまうのです。ほとんど使い捨てカメラみたいな感じかな。 
 
  路上で1ユーロ(約120円)の焼きトウモロコシを売っています。お兄さんたちが小さなトウモロコシ焼き窯をもっていて、注文に応じて焼いてくれます。1ユーロは安い!で、焼きあがると「塩を振るかね?」などと聞いてくれます。おやつにはもってこいです。この感覚はアフリカのジンバブエを旅した時に町で焼きトウモロコシを買って食べた時とまったく同じですね。そっくりそのまま、パリにそれがある不思議さなんです。 
 
  それでもう少し北にいくと、ドゥドゥ―ビル通り(Rue Doudeauville)に出ます。駅から4〜5分ですからすぐです。この通りに入る手前あたりから、町の肉屋もかなりアフリカ移民の文化が濃厚で、豚の頭から足先まですべて売っています。理髪店も黒人の女性にあった頭髪のスタイルがいくつもサンプル写真が貼られ、お洒落な女性たちで賑わっています。 
 
  さて、ドゥドゥ―ビル通り(Rue Doudeauville)です。この通りにはアフリカの色とりどりの衣装の下地を扱う店があり、美しいです。これを買って持ち帰って誰かに仕立ててもらうのでしょうか。それとも自分で作るのかな。もう一つ、この通りにはアフリカ食堂があって、これが掘り出し物でした。何がいいかと言うと魚定食ですよ。魚のフライにご飯(白米とピラフと2通り)、そして一品バナナのフライか、野菜の煮物がついています。日本の魚定食ランチみたいな感覚で、味付けは多少違うけど日本と構成が同じなんですね。これで5ユーロ=約600円。日本国内なら、ランチでこのくらいの値段は普通にあるでしょうが、物価の高いパリだとかなりお値頃感があります。日本食が恋しくなった時にここに来ると、意外と満たされるのです。 
 
  中国系の人がやってる廉価の中華料理店はたいてい一か所で大量に作って店に運んでいるのだと思うのです。あるいは店の厨房で作っているのかもしれませんが、味もメニューも基本的に同一のことが多い。でも、このアフリカ人の食堂の料理は自家製で手作り感満載です。店は黒人の家族による経営みたいで、中年のおばさんとおじいさんらしい人が営んでいて、これがまた日本の下町の定食屋を彷彿とさせていい味を出しています。店のどんつきのガラス棚の中に料理が並んでいますが、基本的に5ユーロでチキンやイカなどもあり、10種類くらいの料理があるようです。各総菜が容器に入って並んでいて、そこから好きな組み合わせをお願いすると、チンしてくれて会計です。それをもってほとんど満席の中から空いた席に座るのです。 
 
  店の中はみんな黒人のお客さんばかり。しかも、いろんなタイプの人が混在している印象です。通りの住民もいれば旅行者もいるみたいです。こうした中に混ざって飯を食うのも面白いものです。向かいの女性二人はアフリカの言語で会話しています。隣もセネガルからやってきた赤ちゃん連れの女性でした。最初は少し緊張しないでもなかったですが、3分もすると慣れて食事を楽しむ気持ちになります。 
 
 
村上良太 


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