2017年07月22日16時30分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】 デモに参加したら終身刑! 平田伊都子

 モロッコ国内では、王国官製デモ以外のデモは許されません。 ましてやモロッコ占領地・西サハラで西サハラ住民が平和デモをやることは、モロッコ占領当局による逮捕とモロッコ各地の監獄送りを意味します。 今から約7年前に、グデイム・イジクというモロッコ占領地・西サハラの砂漠で平和的な8,000棟のテント・デモを、約2万人の西サハラ住民が一か月間やりました。 モロッコ占領治安当局は軍隊を繰り出し、テントを焼き払い鎮圧しました。 その時、女子供を含む数百人のデモ参加者がモロッコ占領当局に逮捕され、そのうち、 約30人はモロッコ国内の刑務所に裁判もなく繋がれたままです。 2017年7月18日に、やっとモロッコのサレ裁判所で、判決が下されました。 
 
(1)モロッコ・サレ裁判所がデモ参加者に終身刑宣告: 
 2017年7月19日、CORCASコルカス(モロッコ王立西サハラ諮問評議会)が、「サレ市にある裁判所の犯罪担当は、グデイム・イジクの平和テントデモで逮捕した犯罪者たちに、終身刑から2年の判決を言い渡した。裁判所はアッバ・シデイ・アブドッラー、イブラヒム・バニ・モハメド、ブタンキズ・ルバシール、ラルーシ・アブデルジャリ、ラフファニ・アブダッラ―、スバイ・アーメド、以上が終身刑。アンナマ・ラスファリ、バンガ・シェイク、モハメド・ブライアル、以上が30年の刑。フセイン・アッザウィ、モハンマド・ムバラク、モハンマド・ジョウナ、ハサン・アッダー、モハンマド・アルアミン、以上が25年の刑。アルバシール・ジャッダ、バダッラヒ・トウバリ、モハンマド・タハリール、以上が20年の刑。さらに、デイチ・ダフには6年の刑、アルアラビ・アルバカイには4年の刑」と、報告した。 
 
(2)デモ参加者判決に反発する西サハラ難民政府: 
 7月19日、西サハラ難民政府はモロッコのグデイム・イジク・デモ参加者に対する極刑に猛反発をした。「グデイム・イジク・デモ収監者に対するモロッコ王国の判決は、モロッコ軍事裁判所が2013年に西サハラ政治囚に下した判決と、全く同じパターンだ。これは市民裁判ではない。無垢の西サハラ市民に対して下したモロッコの過酷な判決は、まさに西サハラ住民を抑圧する占領政策の一環だ。国際ルールに違反したモロッコの占領政策に、改めて西サハラ難民政府は強く非難する」と、国際社会に向けてモロッコ裁判の不法性を訴えた。 
 
(3) モロッコ王国の極刑に反発する国際社会: 
 グデイム・イジク裁判を前にした7月17日、国際アムネステイーとHRW(人権ウオッチ)が、「モロッコ裁判所は、グデイム・イジク西サハラ政治囚の証言は拷問で強要されたものだということを、しっかり認識すべきだ」と、警告を発していた。 
7月19日、西サハラ・イタリア国会議員友好連盟会長のステファノ・バッカリ議員は、グデイム・イジク・デモ参加者に対する非合法で根拠のないモロッコの判決を、強く非難した。「全ての罪状は公正ではないし、人道的にも、西サハラ政治囚に対して拷問で自白させた証言は、国際法に違反する」と、ステファノ議員はローマで語った。 
 
(4)モロッコ刑務所で西サハラ学生囚人に拷問: 
 モロッコの観光地マラケシュにあるアリュアデャ刑務所に収監されている西サハラ学生活動家たちは、モロッコ当局から迫害や拷問や、ありとあらゆる嫌がらせを受けている。人間らしい扱いも受けてないし、家族と連絡を取る事も許されていない。彼らの家族を支援するNGOや収監者たちの人権を守る会などが、「7月13日に、モロッコ占領裁判所が学生たちの罪を捏造して、3年から10年の刑を下した」と、7月19日に非難声明を出した。 
学生たちは<エルワリの仲間>という名で、平和的にモロッコ占領反対運動を続けている。 
 エルワリとは、西サハラ独立運動の創設者で、没後41年になるが、西サハラ民族にとってカリスマ的存在だ。 
 
 モロッコ北部のリーフ地方では、今も住民による<職よこせデモ>が続いています。  この平和的市民デモに、モロッコ治安警察が催涙ガスなどで攻勢を強めています。 リーフ地方の平和デモに便乗したモロッコ王国反政府組織が、リーフの中心地アルホセイマで、デモを始めました。 
 モロッコ治安当局はモロッコ国内でのデモに悩まされています。 モロッコ占領地・西サハラでのデモ参加者に終身刑などと、とんでもない極刑をくだすのは、モロッコ国内でデモの火が点き始めたからでしょうね、、 
日本でも??他人事ではありません。 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之    2017年7月22日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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