2017年09月25日13時10分掲載  無料記事
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アフリカ

【西サハラ最新情報】  トランプは金メッキのゴリアテ  平田伊都子

 世界で最長老(93才)にして最長の国家指導者(在位37年)ジンバブエ大統領ロバート・ムガベが、国連総会の一般討論演説で米大統領トランプを<金メッキのゴリアテ>と、揶揄しました。ゴリアテとは聖書に出てくる他国の兵士たちを威嚇した巨人のことで、他国を滅ぼすと豪語したトランプにピッタリです。 議場は大喝采!アメリカ代表はムッツリ!! 
 さらにムガベは、「トランペットを吹く(大ぼら吹きの意味)トランプは、結束、平和、協力、連帯感、対話といったハーモニーの音楽を吹くべきだ。そのハーモニーは、われわれにとって極めて神聖な文書である国連憲章に謡われている」と、見事にくくりました。 
 しかし、国連不用論を唱えるトランプ米大統領の耳には、念仏かな? 
 以下に、ムガベ大統領も含め、西サハラを支援する首脳たちの国連演説を紹介します。 
 今年のテーマは 「持続可能な地球において全ての人々の平和と尊厳のある生活の実現を目指して(外務省)」だそうです、、 
 
(1)南アフリカ大統領の演説: 
 2017年9月20日、第72回国連総会一般討論で、南アフリカ大統領ジャコブ・ズマは西サハラ人の自由と独立運動を支持すると述べた。ズマ大統領は、「第72回国連総会一般討論で演説する機会に、ANCアフリカ民族会議を率いて南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離制度)と戦ったオリバー・タンボの偉業を改めてご紹介したい。タンボは一貫して、西サハラの人々に対する支持を訴え続けた」と、語った。さらにズマ大統領は、「国連総会はかって、南アフリカと共にアパルトヘイトと戦った。国連は、南アフリカ独立運動と同様に、西サハラの人々の独立闘争も支援すべきだ」と、国連総会場の参列者に訴えた。 
 
(2)ナミビア大統領の演説: 
 9月20日、国連総会一般討論でナムビア大統領ハーグ・ガインゴブが、西サハラ人の民族自決権を変わらず全面的に支持すると表明した。ガインゴブ大統領は、「これ以上、西サハラ人に対して、彼らの民族自決権行使を待たせるわけにはいかない。民族自決権行使と独立は、彼らのまごうことない正当な権利だ」と、言及した。 
 同日、米大統領トランプはアフリカ代表との昼食会で、「<ナンビア>の保健システムは、どんどん充実してきている」と、ありもしない<ナンビア>という国名を挙げて失笑を買った。ホワイトハウスがその後、「<ナンビア>ではなく<ナミビア>」と、トランプの発言を訂正した。 
トランプを惑わせたナミビアの大統領は、何思う? 
 
(3)ジンバブエ大統領の演説: 
 9月21日、国連総会一般討論でジンバブエ大統領ロバート・ムガベは、祖国を挙げて西サハラ人の闘争を全面的に支援し続けることを誓った。ムガベ大統領は、「国連は、西サハラ人の闘争を支持すると、キッパリ表明すべきだ。そして、AUアフリカ連合と連帯して西サハラ人の民族自決権に責任をもって対処し、西サハラ紛争に関する国連安保理決議を施行すべきだ」と、国連にハッパをかけた。 
 1980年7月3日にRASDサハラ・アラブ民主共和国を正式承認したジンバブエは、西サハラ難民政府の大使館を置いている。 
 
(4)キューバ外務大臣の演説: 
 9月22日、国連総会一般討論でキューバ外務大臣ブルーノ・ロドリゲスは、「国連は西サハラ人の民族自決権を保障すべきだ」と、強調した。さらにロドリゲス外務大臣は、「西サハラ問題が求めているのは、国連決議に基づく国際社会の実行力にある。すなわち、西サハラ人の民族自決権行使に責任をもって対処し、祖国の地で法に守られて人間らしく生きていけるよう、支援しなければならない。西サハラ人の権利を尊重すべきだ」と、訴えた。1980年1月20日にキューバはRASDサハラ。アラブ民主共和国を正式に承認し、首都ハバナに西サハラ大使館を設置している。 
 
(5)アルジェリア外務大臣の演説: 
 9月22日、国連総会一般討論でアルジェリア外務大臣アブデル・カデル・メッサヘルが、 
「国連事務総長西サハラ個人特使に元ドイツ大統領ホルスト・ケーラーが任命されたのは、西サハラ紛争解決に向けて大きな進展をもたらすと期待される。ケーラー新個人特使は、国際法と国連安保理決議に基づいて西サハラの脱植民地化を完遂させるために、両当事者の直接交渉を再現させ得ると信じている。西サハラ問題は脱植民地化の課題で、国際社会は西サハラ人の民族自決権を行使して解決していくべきだ」と、語った。 
 1976年3月6日、アルジェリアはRASDが建国宣言をした直後に正式承認している。首都アルジェには西サハラ大使館がある。 
 
(6)ボツワナ副大統領の演説: 
 9月22日、ボツワナ副大統領モクグエシ・エリク・マシシは、「ボツワナは西サハラ人が彼らの民族自決権に基づいて戦っていることを支援している」と、語った。さらにマシシ副大統領は、「西サハラが、アフリカ大陸で唯一、植民地として残っているのは残念だ。西サハラの人々が一日も早く、彼らの民族自決権を行使できるよう願っている」と、強調した。 
 ボツワナは1980年5月14日、RASDサハラ・アラブ民主共和国を正式に承認している。 
 
(7)レソト首相の演説: 
 9月23日、レソト首相トマス・サバネは、「レソト王国は西サハラ人の民族自決権支援している」と、表明した。「世の中は日々激変しているのに、西サハラ人の苦境は全く変わっていない。これは、平和的解決を約束した国連の責任だ。紛争解決を目指すポリサリオ戦線とモロッコとの直接交渉再開が待たれる」と、両当事者の交渉を促した。レソトは1979年10月9日にRASDサハラ・アラブ民主共和国を正式承認している。 
 9月19日から国連総会一般討論は始まった。なんたって、193各国の代表が喋る。一人、15分以内と時間制限ありだが、米大統領トランプにいたっては43分、、誰も守らないからズルズル延びて、タンザニア外務大臣などは23日土曜日の日暮れまで待たされた。 
 
 米大統領トランプが黒人を嫌う以上に、ジンバブエ大統領ムガベは白人を嫌っています。 
 反英国植民地闘争で10年間も獄に繋がれ、釈放後はジンバブエ・アフリカ民族解放軍を結成し白人ローデシア政府軍と戦い、1980年に首相として主導権を握った後も、白人との闘争は続きました。  ムガベ大統領は元米国務長官で黒人のコンドリーザ・ライスを、「白人が黒人の真の友にはなり得ないことを知るべきだ。彼女は白人のご主人様の声を反復しなければならない奴隷だ」と酷評しました。 
 ムガベ大統領は、「アメリカと西欧諸国は能無しの馬鹿」とも、言ってますよ、、トランプ大統領。 
 アメリカ新大統領殿、アフリカ最長老大統領と毒舌の一戦を交えませんか? 
 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之    2017年9月25日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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