2017年10月16日16時16分掲載  無料記事
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政治

あと1週間 安倍のべそをかく顔を見よう  根本行雄

 10月22日投開票の衆院選について、共同通信社は10、11の両日、全国の有権者約11万8900人を対象に電話世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で優位に立ち、公明党と合わせた与党で300議席超をうかがう。安倍首相が臨時国会を9条解散したのは、内閣支持率の回復傾向、民進党の混乱、野党の立ち遅れ、新党の準備不足などをにらみ、彼の計算では、絶対安定多数の議席が取れそうだとソロバンをはじいたからだろう。安倍政権が衆議院議員の任期を1年以上も残して解散する意図はなにか。それは政権維持だ。安倍のほくそ笑む顔が見えてきた。憲法改正に反対だという意思を投票で示して、安倍がべそをかく顔を見よう。 
 
 戦後70年の大半は、「自由民主党」が政府与党として政権を担当してきている。この政党は、党の綱領に「改憲」を掲げており、「解釈改憲」という政治手法を用いて、実質的に、「戦争放棄」という3大原則の1つを、一貫して、なし崩しにしてきた。その結果、日本はいつのまにか、世界屈指の軍事大国となり、世界最大の武器輸入国になっている。そして、現在、わが国では「日本国憲法」を変えて、「自衛隊」を常備軍として認め、軍隊を持つ国になろうと主張する人々がたくさんいる。それが戦後70年を経た日本の現状である。 
 
□ 安倍政権の動き 
 
 安倍政権の約5年の動きをみてみよう。 
 2013年12月に、「特定秘密保護法(国家機密法)」を成立させた。2014年12月の衆議院選挙において自民党と公明党は3分の2超の議席を維持し、第3次安倍内閣を発足させた。2015年9月19日、「安全保障関連法(安保法制または戦争法案)」を強行採決された。(施行は2016年3月29日。)これによって、集団的自衛権の行使が可能になり、他国軍への後方支援や国際協力活動で自衛隊の任務が拡大することとなった。日本は「戦争ができる国」になった。 
 2017年5月3日の「憲法記念日」、安倍首相は改憲派の主催する集会において、改正憲法の2020年施行をビデオメッセージで表明した。 
 6月15日 、参議院本会議にて、会期延長によらず法案成立を目指した与党は法務委員会の採決を省略する「中間報告」を行う動議を提出し、15日未明の衆院本会議「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(共謀罪の構成要件を改め「テロ等準備罪」を創設する改正組織犯罪処罰法)が自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立させた。 
 2017年8月17日、日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれた。閣僚会合で河野太郎外相と小野寺五典防衛相の日本側はさまざまな言質を米側に与えた。(胴饑修領上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を自衛隊が導入する。安保関連法制で可能な、さらなる日米協力の形を追求し、情報収集、訓練など新たな行動も探求する。8こう十年間の防衛力のあり方を示す防衛大綱、中期防衛力整備計画を前倒しして改定する。このように米側に説明し、共同声明には「同盟における日本の役割拡大と日本の防衛能力の強化」が明記された。日本はさらなる軍拡の道を進みだした。 
 防衛省は2018年度予算の概算要求で、過去最大の5兆2551億円を計上する方針を固めた。安倍首相の9条解散は北朝鮮のミサイルの脅威を利用しての悪辣なものだ。安倍首相は、またしても、本音を見せてきた。あくまでも戦争ができる「普通の国」を目指し、明文改憲をし、憲法9条を形骸化し、自衛隊を合憲化し、有事の際には人権を容易に制限できる緊急事態条項の新設を目指しているのだ。 
 
□ 今回の選挙は安倍首相の「打算」から始まっている 
 
 安倍首相は今年8月の記者会見において自らの政治手法を反省してみせ「これからは国民に丁寧に説明する」と述べた。しかし、安倍内閣は、野党の憲法第53条に基づく適法な要求を無視して国会の臨時国会を召集せず、違憲状態のまま放置してきた。そして、野党が憲法に基づいて要求した臨時国会の召集に3カ月も応じなかった。そして、ようやく、開いた臨時国会は、質疑なしで解散してしまった。 
 安倍首相は「国難突破解散だ」と主張した。首相は会見で、情勢が緊迫して解散の判断に制約を受ける懸念を踏まえ「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅かしで左右されてはならない」と力を込めた。だが、そもそも選挙をするのは安倍首相の判断であって、北朝鮮が注文をつけたわけではない。北朝鮮のミサイル発射や核実験は、以前からずっと続いてきている。安倍首相は北朝鮮のミサイルの脅威を利用しようとしているのだ。 
 
□ 今回の衆議院選挙のポイントなる数字 
 
 衆議院の定員が削減され、今回の衆院選で争われる議席数は465議席。どんな数字がポイントとなるか。 
 安倍首相は「過半数を維持できれば政権を継続する」と表明しており、自民・公明の与党で、「過半数」の233議席を確保できるかどうかが、まずは、第1のポイントだ。これがとれなければ、安倍首相の読み、9条解散をしたことは失敗だったということになる。この議席数を達成できるかどうかがポイントだ。 
 次のポイントは、310議席である。議院の3分の2を意味している。憲法改正の発議には「総議員の3分の2以上」の議席が必要だから、自民・公明の与党でこの数を占めるのか、あるいは憲法改正に前向きな希望の党や日本維新の会などを加えた勢力でこの数に達することができるかどうか。 
 もう1つのポイントは、「安定多数」の244議席と、「絶対安定多数」と呼ばれる261議席である。 与党が安定多数の244議席を占めると、衆議院のすべての常任委員会で委員長を出したうえで、野党側と同数の委員を確保できる。さらに絶対安定多数の261議席に達すると、すべての常任委員会で委員長を出したうえで、全委員会で過半数の委員を確保できるからだ。 
 
□ 投票しようという考え方 
 
 森川友義著『若者は、選挙に行かないせいで、4000万円も損している?!(35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座)』ディスカヴァー新書(2009年5月刊)私たちには、この本を読んで、選挙について、学ばなければならないこと、知っておかなければならないことがある。選挙について知るためのおすすめの本である。 
 森川は結論として、「選挙における投票は、有権者1億人の一票と考えれば、ちっぽけな力ですが、その一票が日本を動かすことができるパワーなのです。」と述べ、とにかく、投票に行くことを勧めている。 
 選挙とは、公式的には、自分の代理人を選ぶことである。だから、自分の意見と同じだと思える政治家や政党を選ぶということになる。しかし、実際には、国会は過半数や、安定多数や、3分の2というような議席数によって動いている。国会は「議論の場」にはなっていないし、「良識の府」にもなっていない。それゆえに、安倍首相がナチスのやり方を模範にしているのだから、3分の2超という議席数を与えてはならないのだ。安倍政権が暴走しているのは、現在、安倍政権が必要にして十分な議席数を確保しているからなのだ。 
 選挙には、自分の意見と同じ人や政党を選ぶという側面もあるが、もう一つ、主権者の意思を示す、「批判票」という考え方もある。自民党、公明党と、改憲勢力の候補者以外に投票をするということだ。それが、安倍政権への批判となる。暴走を止めることにつながる。森川の口調をマネすれば、とにかく、投票所に行って、自民党、公明党と改憲勢力の候補者以外に投票をしよう。そうすれば、政治は変わる。 
 
□ 選挙関連のドタバタ 
 
 安倍政権は8月3日の内閣改造で、自称「仕事人内閣」を発足させた。 
 
 9月28日、安倍晋三首相は、内閣の助言と承認による天皇の国事行為(憲法7条)として、臨時国会の冒頭において衆議院を解散した。 
 
 東京都の小池百合子知事が9月25日、国政新党「希望の党」結成を発表し、自ら代表に就任した。 
 
 自民党は9月26日、次期衆院選の選挙公約の重点項目に「憲法改正」を盛り込む方針を固めた。 
 
 第2次安倍政権の発足以降、2014年衆院選と13年、16年参院選でも公約に盛り込んでいたが、安倍晋三首相の強い意向を受け、初めて重点項目へ格上げする。一方、民進党は「次の内閣」(NC)会合で、首相主導の9条改正に反対するなどの政権公約を大筋で了承した。 
 
 9月28日、臨時国会が召集され、安倍首相は衆議院を「9条解散」させた。 
 
 「どんな手段を使っても、安倍政権を止めなければならない」。9月28日の衆院解散後、民進党の両院議員総会が開かれ、前原誠司代表は「希望の党」に合流する意義を訴えた。事実上の解党につながる合流を決めた議論は、30分余で終わった。 
 
 民進党は9月30日、各都道府県連の幹部を集めた会議を党本部で開いた。希望の党の小池百合子代表(東京都知事)の民進党出身者を選別する方針への反発が相次ぎ、「民進党公認の道を開くべきではないか」(北海道連)との意見も出た。希望の党への不参加を表明する民進党前衆院議員も続出している。全員合流は困難な情勢で、民進党の一部が残留し、分裂するのは避けられない見通しとなった。 
 
 10月2日、民進党前職の枝野幸男氏がリベラル勢力の結集を目指す立憲民主党の設立を表明した。 
 
 希望の党が10月3日に発表した第1次公認では、民進党の候補予定者だった約210人のうち、半分の約100人が排除された。希望の党が独自に準備してきた候補が優先され、民進党候補の多くが押しのけられた。 
 
 10月3日、民進党の枝野幸男代表代行が衆院選に向けて結成した新党「立憲民主党」は、総務相あての設立届を東京都選管に提出し、受理された。毎日新聞の取材では、枝野氏や長妻昭元厚生労働相ら民進党の前衆院議員14人のほか、元職11人、新人23人が既に参加の意向を表明。希望の党から公認を拒否された民進の候補予定者らがさらに加わるとみられ、立憲民主党からの出馬は50人を超える公算が大きくなった。 
 
 10月6日、希望の党が衆院選の公約を発表し、主要政党の公約がほぼ出そろった。主要争点は消費増税、憲法改正、原発の3テーマになりそうだ。「自民・公明」「希望の党・日本維新の会」「立憲民主・共産・社民」の3極の違いが鮮明になっている。 
 
 第48回衆院選は10日公示され、22日の投開票に向けて12日間の選挙戦に入った。計1180人が立候補を届け出た。 
 
□ 選挙の争点とは 
 
 安倍首相は2017年8月の記者会見において自らの政治手法を反省してみせ「これからは国民に丁寧に説明する」と述べた。しかし、安倍内閣は、野党の憲法第53条に基づく適法な要求を無視して国会の臨時国会を召集せず、違憲状態のまま放置してきた。そして、軍事大国化、自衛隊と米軍との一体化に向かってひた走りに走っている。野党が憲法に基づいて要求した臨時国会の召集に3カ月も応じなかった。そして、ようやく、開いた臨時国会の冒頭において、質疑なしで解散をした。そして、安倍首相は記者会見において、「国難突破解散だ」と主張した。「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅かしで左右されてはならない」と力説した。 
 今回の9条解散は、安倍が内閣支持率の回復傾向、民進党の混乱、野党の立ち遅れ、新党の準備不足などをにらみ、彼の計算では、またしても、3分の2超の議席が取れそうだとソロバンをはじいたからだ。安倍政権が衆議院議員の任期を1年以上も残して解散する意図はなにか。それは政権維持だ。北朝鮮によるミサイル発射、核開発問題を利用してナショナリズムをあおり、政権浮揚、基盤固めを狙っているとみるべきだろう。もちろん森友学園、加計学園をめぐる疑惑を国会で徹底的に追及され窮地に追い込まれる前に先手を打って選挙を実施して、問題を棚上げしてうやむやにしてしまおうという思惑があることも明らかだ。しかし、安倍政権が約5年の政治でしてきたことは、軍事大国化、自衛隊と米軍との一体化である。 
 
 第48回衆院選は10月10日に公示され、22日の投開票に向けて12日間の選挙戦に入った。消費税率10%への引き上げや、憲法改正、原発政策などが今回の選挙の争点だとマスメディアは説明しているが、ほんとうの争点は憲法改正だ。安倍の政治に、イエスかノーか。これが肝心かなめの争点である。私たちは、安倍自民党政権や改憲勢力の人々が望んでいるような「戦争をする国」となっていくのか、それとも、日本国憲法の初心である「平和をつくる国」となっていくのか、その岐路に立っている。安倍の思惑通り、自民党、公明党などが絶対安定多数の議席をとれば、待っているのは、安倍が望んでいる戦争ができる「普通の国」である。明文改憲をし、憲法9条を形骸化し、自衛隊を合憲化し、有事の際には人権を容易に制限できる緊急事態条項の新設を目指しているのだ。たしかに、消費税も、原発も、重要な問題だが、まずは、「断じて憲法9条を改正させない」という国民の意思、平和を求める国民の意思をハッキリと示すことが必要不可欠なのだ。 
 憲法改正に反対だという意思を投票で示そう。そして、安倍がべそをかく顔を見よう。 


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