2017年10月27日12時18分掲載  無料記事
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政治

特別国会と臨時国会  政治用語の違いは?

   まず11月1日に開催されるのが「特別国会」だとされ、一方で「臨時国会」が開かれないのはけしからん、と言われています。臨時国会は6月に野党が開催を与党に要求しながら3か月も先延ばしされたまま、9月に一瞬開かれ一切の質疑応答がなされないまま、衆院が解散され総選挙が行われたのです。そして、今、開かれないと言われているのが臨時国会です。一方、開かれるのが特別国会です。では特別国会と臨時国会の違いは何なのでしょうか? 
 
  特別国会については憲法54条にそのことが説明されていました。 
 
●第五十四条 
 
  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。 
 
  ただ、ここには「特別国会」という文言は出てきません。また特別国会は特別会と呼ばれることもありますが、これらは慣例のようです。「衆議院の解散による衆議院議員総選挙後30日以内に召集しなければならない国会である。一般にマスメディア等では特別国会と呼ばれている。」(ウィキペディア)。 
 
  ただし、衆院が任期満了による場合は総選挙後の国会は臨時会と呼ばれ、特別国会とは呼ばれないそうです。 
 
  「なお、衆議院解散による総選挙後には特別会が開かれるが、後述のように衆議院議員任期満了による総選挙後には特別会ではなく臨時会が開かれる(国会法第2条の3第1項)」(ウィキペディア) 
 
  一方、「臨時会」(臨時国会)とは何かといえば、こちらは憲法53条に基づくとされていました。 
 
●第五十三条 
 
  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 
 
  内閣は臨時会を開催することができると同時に、衆参どちらかの議員の4分の1以上の要求があれば召集を決定しなくてはならないとされています。自分で開くことができると同時に議員から要求があれば開かないといけない義務があるのです。ところが安倍首相は議員の要求を3か月も伸ばした上に、9月になって臨時会をようやく解散したら一瞬で衆院を解散して総選挙を行いました。これらは国会で森友・加計学園の疑惑を追及されたくないと言う個人的な理由からだと考えられています。安倍首相は憲法の趣旨を踏みにじってまで逃げ回っています。臨時会の召集は質疑応答なしで一瞬で終えてしまってよいのでしょうか?まず自民党や公明党の議員たちはこれでよし、とするのでしょうか?自民党のリベラル派と言われる宏池会はこれでよし、とする集団なのでしょうか? このような国会運営を恥と考えない与党議員たちは日本の歴史にそのことが刻まれることになるはずです。このまま臨時会を開かなければ、今回自民党は野党の混乱で選挙で勝利できたのとは裏腹に、次回はそうはならないかもしれません。 
 
 
村上良太 


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