2018年01月05日12時56分掲載  無料記事
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トランプ政権の内幕本 ”Fire and Fury: Inside the Trump White House” ( 炎と憤激 )が出版される 出版社に抗議する政権 解任されたバノン前首席戦略官の発言を多用 

  年明け早々の今週、アメリカのトランプ政権の内幕を描いた本 ”Fire and Fury: Inside the Trump White House” ( 炎と憤激)が出版された。すでにツイッターなどでも国境を越えて話題になっている。その核は一昨年の大統領選で参謀として脇にいたスティーブ・バノン前首席戦略官へのインタビューが多用されていることにあるようだ。著者のマイケル・ウルフはアメリカの雑誌などで多数の記事を書いてきたベテランの記者だという。雑誌ニューヨーカーの紹介記事によると、バノンのインタビューがかなりの割合を占めているらしく、その中には2016年の予備選の最中にトランプが息子、義理の息子などとともにロシアの要人とトランプタワーで会っていたことも触れられており、折しも進行している捜査とも重なって来るのかもしれない。 
 
  バノンがホワイトハウスを去ったのは昨年夏だったが、このことは多くの人を驚かせた。というのも、トランプの特異性というものを考える時、右翼メディアの編集者であり、アメリカ第一主義者のバノンの存在は欠かせない「トランプ政権」の一個の個性のように考えられていたからだ。それは自由貿易協定への否定であり、外国への軍事介入への否定でもあり、そうした姿勢は左翼の人々の目にはむしろ反共和党的な、新鮮なものにすら見えた。しかし、トランプ政権を考える上で娘のイヴァンカとその夫でユダヤ系のジャレド・クシュナーの存在感が増してきたことがバノンとの確執の大きな原因になっているとも見られている。パレスチナとの間で帰属の定まっていないエルサレムへあえて米大使館を移すことも娘夫婦が関係しているのだろうか。細かいことは不明だが、トランプ政権がその誕生から1年間で変質してきている可能性もあり、ただ、それが具体的にどう機能しているのかは外側から意外と見えにくい。その意味では「炎と憤激」の出版はトランプ政権の構造を解明する1つの手がかりにはなるだろう。 
 
  ニューヨーカー誌のジョン・キャシディが少し紹介しているトランプに関する記述で興味深いのはトランプがほとんど本を読まない人間らしいことだ。情報源はもっぱら人の話(支援者でもある資産家らと部屋で電話で話していることが多いようだ)と、TVだという。とくに寝室にTVが3台あり、しばしば夕方早々自室に引き上げてはTVに見入っているのだという。トランプがどのくらい本を読まないか、というと読書ができない脳のタイプではないか、と思われるくらいだそうだ。そして人と話をする際も相手の話を聞くよりは自分が話をすることに軸があるのだそうである。これでは堅実な知識の積み上げと状況の分析はできないかもしれない。特に外交問題などになると、スタッフのレクチャーだけが判断の基本情報になる可能性もあり、そういう意味では取り巻きたちの影響力が大きい政権であることがうかがえる。 
 
  トランプは本書の出版に抗議をしており、訴訟なども含めて出版を差し止めさせる手立てすら考えているそうだ。またバノンについては守秘義務を犯している、と批判しているという。 
 
 
 
■米国 エルサレム首都認定、大使館も移転方針 7日表明(毎日) 
https://mainichi.jp/articles/20171206/k00/00e/030/277000c 
 
■バノン首席戦略官「北に軍事力使わず」 トランプ氏と矛盾、「差別発言問題」でも孤立(産経)昨年8月の記事 
http://www.sankei.com/world/news/170818/wor1708180054-n1.html 
 「バノン氏は同誌に『(開戦から)最初の30分でソウルにいる約1千万人が(北朝鮮の)通常兵器で死亡するという難題を一部でも解決しない限り、(軍事的選択肢など)お話にならない』と一蹴した。トランプ政権の北朝鮮政策は、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)、ティラーソン国務長官、マティス国防長官を軸に策定されており、バノン氏は実質的に『カヤの外』に置かれている。」 


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