2018年03月02日13時46分掲載  無料記事
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検証・メディア

「日本にメディアには取材の自由はありません」 

 「日本にメディアには取材の自由はありません」で始まるメディア研究者大石康彦氏)青山学院大学教授)の講演記録を、JCJ(日本ジャーナリスト会議)の新聞『ジャーナリスト』(2月25日号)で読んだ。安倍政権のもとで、日本の報道の自由世界ランキングは下がる一方の状況にある。『ジャーナロスト』紙の記事をもとに、大石教授の指摘を紹介する。(大野和興) 
 
 大石教授の講演は、1月末、早稲田大学で行われた「メディアを覆うタブーを打ち破れ」と題するシンポジウム行われた。シンポの主催は、インターネットで調査報道の進めているワセダクロニクルと岩波書店世界編集部。 
 
 大石教授は報道の自由をめぐるこれまでの最高裁の判例などから、日本には欧米のような取材の自由はない、と指摘する。また、現実の動きを見ても、日本では「権力への取材はある種の折り合いに立脚している」とみる。「その一つに形が日本独特の『記者クラブ』であり、そこは権力の便宜供与の場」なのだ、という。 
 
 大石教授の論理は、日本のメディアは「統治機構の一翼」であるということから出発する。せいぜい体制の中での“ほどよいうるさ型”にすぎないというのだ。そこでは、記者は「権力側のタブーを理解し折り合いをつける」ことでプロとして認められる。その究極の形が御用記者だ、という指摘はうなづける。 
 だから個々の記者に闘えというほうが無理ということになる。闘う足場がないからだ。 
 
 ではどうすればいいのか。会場からの記者志望の若者のそんな質問に大石教授はこう答えた。 
 一つは、初心を忘れず持久戦でたたかっていくこと。 
 そのために現場につながっていること。 
 
「政治の現場は永田町ではなく、沖縄であったり、過疎に悩むちほうであったり。そこが現場。その現場を見続けることで、初志貫徹していってほしい」 


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