2018年03月17日22時54分掲載  無料記事
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政治

小原隆治教授(早大・政治経済学術院)が指摘する東京都迷惑防止条例改正案がはらむ怖さ 

  地方自治が専門の小原隆治・早稲田大学政治経済学術院教授が今、注意を喚起しているのが東京都迷惑防止条例の改正案が都議会に提出されていることだ。以下は小原教授のツイッターから。 
 
小原隆治 「迂闊にも気づいてなかったが、ちとこりゃまずいなあ。東京都迷惑防止条例改正案。警視庁は東京都という自治体の警察であると同時に、首都の警察でもあるので治安機能がもともと濃い。都改正条例が法律に上乗せしてさらに規制権限を強める可能性。」 
 
  ここで小原教授が規制権限を強める可能性があると指摘しているのは迷惑防止条例の改正によって、反政府デモなどをしたら条例違反で逮捕者が出るか、あるいはその判断を治安組織が握ることによって政治的行動が抑圧されるのではないか、という危惧である。では、どんな条例案になろうとしているのか。条例の改正に反対している自由法曹団東京支部がまとめたものが以下のリンクである。そして、その一部を引用したい。 
 
●東京都迷惑防止条例改正に反対する決議(自由法曹団東京支部) 
http://www.jlaf-tokyo.jp/shibu_katsudo/seimei/2018/180224_5.html 
 「2018年2月21日に始まった第1回都議会定例会において、『公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例案』(以下『迷惑防止条例改正案』という。)が提出されるとされている。迷惑防止条例改正案では、現行の規制に加えて、5条の2第1項第1号に『みだりにうろつくこと』を、同第2号に『監視していると告げること』を、同第3号に『電子メール(SNS含む)を送信すること』を、同第6号に『名誉を毀損する事項を告げること』を、同第7号に『性的羞恥心を害する事項を告げること』をそれぞれ付け加え、新たにこれらの行為を規制の対象として、罰則を重くすることとされている。あわせて、5条第1項2号を改正し、盗撮規制の場所が拡大されることになっている。 
 これらの迷惑防止条例改正案は、市民運動、労働運動、報道活動等,本来自由であるべき市民活動に対する警察権力による介入を容易とする道を開くものであり、規制対象を安易に拡大することは断じて容認することはできない。」 
 
●東京都迷惑防止条例の正式名称は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」である。以下に条例の条文が記載されている。 
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012212001.html 
 この条例が制定された「目的」は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする」(第一条)。政府批判や正当な報道が批判されたり、報道されたりする政治家から見て「迷惑」だったとしても、この条例の取り締まりの対象とは本来ならないし、主旨が異なるものだった、これまでは。 
 
小原 「東京都迷惑防止条例改正案。自由法曹団含め「警視庁が提出する」という表現をよく見るが、制度の建前として行政側で議案提出権あるのは小池知事だけ。批判の相手はそこ。『ねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的』を犯罪構成要件にするのはわたしの素人目で見ても筋悪すぎだが、乞う専門家意見。」 
 
 安倍政権への抗議運動が活発化している今、小池知事が迷惑防止条例の改正を急いで行う狙いはどこにあるのだろうか。 
 
小原 「東京都迷惑防止条例改正案。日本共産党都議団の皆さん、都議会民進党・立憲民主党の皆さん。提案者に『これは治安立法じゃないんですね? 国会前、官邸前まで適用対象に想定しているわけじゃないんですね?』と徹底追求して、言質を取ってください。どうかお願いします。」 
 
小原隆治 (こはら たかはる) 
早稲田大学政治経済学術院教授 


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